うどん2杯、やきそば2杯。
早朝から始まった食べまくりの最終目的地は大泉。
近くに工場があるので、ブラジルからの出稼ぎ労働者が多く居住している。
なぜ、わざわざ地球の反対側であるブラジルから?
入国管理が厳しい日本では、日本人の近親者という在留資格で働きに来るブラジルなどの日系3世、4世が雇用に有利、ということらしい。

街のところどころがブラジル。
日本語表示の無い店もちらほら。
日本からの移民がブラジルでコロニーをつくり、故郷の料理を細々と食べていたように、いや、その頃よりも流通が段違いで進歩したが故に、本場故郷の食材も安く直輸入し本物の味を味わうことが出来る大泉のブラジル人たち。
彼らのご相伴に預かることで、群馬食べまくり旅行の締めとしたい。


マーケット。本場の食材がずらり。
マーケット内の店で夕食を、とも思ったが、あまりメニューは多くないらしい。
夜の街を彷徨い、煌々と輝くブラジリアンカラーを発見した喜び。


シュラスコとあるが、ここまで食いまくった後にまたシュラスコとか喰ったら修羅スコになるな・・・などと考えながら。


入店。

まず、メニューで気になった“キビ”を頼む。


全粒粉の大麦と肉を捏ねて焼いた肉団子。
さっくりと肉っぽい、おいしい団子だ。

さて、メイン。
シュラスコってのは焼いた肉全般の名称なんだな、なんてことが判りながら、やっぱりブラジル人がよく食べる定食を頼むことにする。
ようするに、ブラジルの日本人街でブラジル人がサバ味噌定食を頼むようなものだ。








ガガーーン!!
こ、これがサバ味噌定食・・・・・・?
肉、肉、肉・・・肉で塗り固められたこの食卓。ウハハハハ。笑うがいい。肉の圧力に呆然と立ち尽く魚食文化の民を、笑うがいいブラジル人どもよ。
上から、
俺が頼んだフェイジョアーダ定食。豆といろいろな肉を煮込んだブラジルの代表的な汁。フェイジョアーダはほかの定食にも付いているが、そちらは肉は入れず豆だけの淡白なお味。
しかし、この煮込んだフェイジョアーダは・・・肉!肉汁そのものを口に運んでいる錯覚すら覚える。いや、錯覚ではない。本当に肉そのもの。牛も豚も腸詰もゴロゴロと塊で入っている。この脂の凄いこと。
飯が無ければ喰いきれない。いや、果たして俺はこれを食べ切れるのか。
恐怖、した。

真ん中のヤツはブルースのビッフェアパルメジャーナ。
牛カツにトマトソースをかけてチーズをかけて焼いた料理。
カツに!トマトソースに!チーズ!やりすぎにもほどがある。
脂、脂、脂。濃い、あまりにも濃い。
だが、それがいい。
いいのか?いいのか?
ブルース「いや、うまいよ。確実に旨いよ。うどんとやきそば喰ったあとでなけりゃ大喜びで食べたよ」
・・・・・・なるほど。

最後が、すの字のマスペットミストグレリャード。
判るだろ。
肉だよ、肉。
見たまま肉と肉と肉と肉を串に刺して焼いた料理。


全部が全部、肉、肉、肉だ。そりゃブラジル人はでかいよ、強いよ。肉ばっか喰ってるんだもの。最後には、体全体が肉と脂で出来ているような気分になって店を出てきたのであった。

インパクトはもちろん今日最高。
シュラスコ以外のブラジル料理などあまり食べる機会の無い我々日本人にとって、この衝撃は筆舌に尽くしがたい。
いや、舌の衝撃を筆で表せない、といったところか。

しかし、この王道を外れた衝撃の味が初心を思い出させてくれたこともまた事実。
何故俺が、完成度の高い水沢うどんよりも吉田うどんに惹かれるのか?
なぜ、日本人の王道が米だと結論づいた後に敢えて麺ばかり食べまくっているのか?

定番、王道の辺縁に位置する飯を、追い求めていたのではないだろうか?
それが新食べバカ。
多分違うと思う。だけど、今そう決めた。だから始める。
次回から、食べバカ辺境シリーズ開幕。




戻る