第1話「燃えろォッ!」


 小笠原沖に在る、凶悪死刑囚13人を収監した監獄島。半年間の長い航海から帰って来た遠洋漁業船『いかり丸』は補給のため立ち寄るが、いきなり恐ろしげな怪物たちが襲いかかる!屈強な海の男たちが、なす術もなく虐殺されて行く・・・
 若い船員、雷城太郎は船長を助けて逃げ回り、黒衣の男と怪物たちの話を盗み聞くことになる。
 男の名は「暗闇街道」。13人の凶悪犯に術をかけて怪物に改造し、己の手先にしたのだ。
 船長は城太郎を庇って目の前で殺され、城太郎は復讐を誓い、海に身を躍らせる。

 数ヶ月後、ボロボロの姿で東京に現われた城太郎、深夜の路上で高級車の前に立ちはだかる。車の主は財界の大物豪徳大蔵。彼が監獄島での事件を握り潰したことを調べ上げた城太郎は、黒幕は大蔵だと確信したのだ。
 ボディガードを蹴散らし、大蔵の孫娘晶の居合をど根性パンチで叩きふせ、大蔵に迫る城太郎の前に、山伏姿の男が立ちはだかる。
 コイツが強い!桁外れに強い!しかし、城太郎は倒される度、打ちのめされる度、根性で立ちあがる!
 男も感心して「見事なガッツだゼ」。しかし、『幻術天地返し』の大技を喰らった城太郎は、そのまま意識を失ってしまう。
 目が覚めると、巨漢が看病をしてくれていた。轟太志と名乗るその男、以外といいヤツで、大鍋いっぱいに煮込んだ本場インドカレーを喰わせてくれる。
 豪徳大蔵は暗闇街道と闘う「無敵戦隊」を作ろうとしており、太志と昨晩の山伏、檜垣玄十はそのメンバーである。監獄島の事件をもみ消したのは、パニックを避け、一刻も早く組織作りをするためである。と、太志が説明する。
 城太郎も誘われるが、自分の動機が個人的な復讐であることから、これを断り、独自の捜査を再開する。そして遂に直接船長を手にかけた地獄獣“岩ホーク”を発見する。
 唸りとともに全力の拳骨を左右から叩き込むが、堅いその装甲に拳は砕け、血が滲む。更にロボット戦闘員に囲まれるが、漆黒のパワードスーツを纏ったファイアースピリッツと、広大な黄土のスーツを纏ったファイアーメガトンが加勢に現われ、雑魚を蹴散らしてくれる。
 「心は熱く燃えているんだ!拳よ、お前も燃えろォッ!」拳が炎を放ち、体内のモーターがフル回転する。真っ赤な激情のファイアーナックルに変身だ。『必殺爆炎拳!』炎の拳が岩ホークをその厚い装甲ごとブチ破る。
 無敵戦隊ヘルファイアーに誘う太志=メガトンと玄十=スピリッツを振り払って歩き出す。雷城太郎よ、何処へ行く・・・ 

 

第2話「お前はドン亀だ」

 建設現場で働く城太郎のところへ直接豪徳大蔵がやってきてヘルファイアーへの勧誘をする。
 渋る城太郎を車に乗せ、幼稚園や学校を回る。この子供達の未来を守りたいんだ、暗闇街道は破壊活動や幼児誘拐をしていると言うのだ。
 城太郎は、岩ホークは仲間の仇だから闘ったと言う。「俺は走り出したら止まらないイノシシ野郎だから、何が悪でなにが正義か、見極めてから走り出せってサ・・・へへへ、船長(オヤジ)によく言われたんだ」
 大蔵は城太郎を気に入り、次の用事にも付き合ってほしいと言う。一緒にいた晶は反対するが、城太郎はこの肝の太いジジイのことが好きになり始めていた。
 大蔵は城太郎を伴って研究所を訪れる。そこでファイアーエンジンの開発者である神博士に会うことになっていたのだ。
 ファイアーエンジンは被験者の心臓下部に埋め込むことによって、血流に乗せて無尽蔵のエネルギーを全身に巡らせる生体強化装置である。また、皮膚組織深部に点在するマイクロマシンをパルス電流で操作し、有機性の強化服を発生させることができる。つまり、被験者はこのエンジンが開放される短時間のみ、超人ヘルファイアーになれるのである。
 城太郎は檜垣にKOされている間に勝手に移植されていたのだろうな。
 大蔵は突然神博士を糾弾する。岩ホークが率いていた戦闘ロボ軍団は神博士の設計したものだというのだ。神博士は否定しない。裏切り者だったのだ。なに〜!いきなりそう来るか?
 怒りに燃える城太郎。その前に、博士の用心棒、流北斗が立ち塞がる。その華麗で素早い足技に城太郎は翻弄される。「そんなのろまなパンチじゃ百年経っても当たりゃあしないぜ。このドン亀め!」
その間に、神博士は試作品のロボット兵器キラー1号を起動させてしまう。戦闘ロボ軍団などとは桁の違う迫力!城太郎、大蔵、晶の命は風前の灯火である。
 ドカーン!研究所の壁をブチ破って、もうもうたる土煙の中から現われたのは、とーぜんファイアーメガトン。
豪快なパワー勝負。力ならロボットにだって負けないぜ!うおお、骨破微塵投げ!!キラー1号は叩きつけられてバラバラだ。試作品ごときで我等がメガトンに一騎討ちを挑むとは、10年早いぜ!
 一方、神博士を追うスピリッツの前に現われた暗闇街道。必殺の「血縛り死界送り」を放つ。
 間一髪、死界送りを免れた檜垣は驚愕する。
 「あの技は・・・まさかヤツでは・・・」

 

第3話「カレーをなめるなよ」

 砂塵舞う荒野に、檜垣玄十と流北斗が対峙している。北斗の挑戦を檜垣が受けたのだ。
「ヘルファイアー最強のあんたとやってみたかったぜ」「何が目的だ」「俺はただ、スリルを味わいたいだけさ」「・・・スリルなんて生易しい言葉じゃあすまない、本当の闘いの凄みを教えてやろう」
気合と共に跳躍。跳び蹴りが交錯する!

 一方の城太郎は、その北斗にバカにされたのが悔しくて特訓をしていた。流北斗の神速についていくには、1にも2にも足腰の強化しかない。大岩を担いで心臓破りの神社の階段を何往復もしていると、太志も現われて一緒に特訓に付き合い出す。最初は迷惑そうな城太郎だが、いつしか太志のペースに乗せられてしまうのだ。
「ホレ喰え、たんと喰え。運動して、飯喰って、初めて強くなれるもんだぜ」太志と檜垣が経営するカレーショップで、城太郎はメチャクチャ御馳走になっていた。
 しかし何故、スーパーヒーロー達がカレーショップなどを?作中では触れられてはいないが、俺はこう想像する。
 大蔵は当然命懸けで悪と闘う2人を優遇しただろうと思う。でもきっと檜垣のことだ、「毎日の糧を自分の手で汗水垂らして稼がないような男に正義を語る資格などない」とか言って断ったのに違いない。きっとそうだ。そうに違いない。
 おっといかん。本筋とは関係無い俺の想像を書いてしまった。これじゃ妄想だよな。すまん、すまん。では続きを。
 モリモリとカレーを平らげる2人のところに、晶が檜垣を尋ねてくる。なんと!妹の遥が地獄獣に誘拐されたというのだ!
 遥の身柄と引き換えにヘルファイアーメンバーを呼出している暗黒街道。肝腎要の檜垣がいない、この時に・・・
 しかし、2つ返事で引きうける太志と城太郎。う〜〜〜この、超ナイスガイどもめッッ!
晶「でも、判ってるの!?必ず罠を張られてるんだよ!」太志「たとえ罠があろうといかなきゃならない時はあるだろう」城太郎「罠があると聞いちまったら、行かないとは言えねぇなぁ」
 太志のジープに乗って、3人は山道を行く。案の定、敵の待ち伏せだが、イキナリ砲弾だ〜!
 かいくぐって走り抜けるが、爆発で落石が起こり車ごと崖下に落下する。メガトンに転身した太志が怪力で2人の乗ったジープを抱えたまま岸壁にしがみつくが、そこへ砲弾の雨嵐!
「行け〜2人で遥ちゃんを助けて来い〜」いくらやられても決して放さないぜ!
 しかし、ナックルに転身した城太郎が晶を連れて崖上に跳びあがるのを見届けたメガトンは、力尽きて奈落に吸い込まれていく。
 ナックルと晶も、遥をたてにとる敵に囚われてしまう。
 敵の指揮官は13人衆の一人、「極ジェンマ」。山腹の山荘に3人を監禁し、ヘルファイアーの秘密を聞き出そうとするのだ。
 実際は晶のほうが城太郎より詳しいのだが、城太郎はいかにも情報を隠しているような素振りを見せ、極ジェンマに拷問される。
 極ジェンマは、遥を無事に帰すことを条件に、晶に城太郎を鞭打てと命令する。
 悩む晶だが、城太郎はニヤリと笑って言い放つ。「やってくれよ。さっきから痒くて痒くてたまらねえんだよ」
 血まみれだぞ!血まみれでこの大口を叩きやがる。晶の心を強く打った。俺だってコレ書きながら思い出して感動しなおしてるんだ。読んでる君もここで泣いてくれ!
 その時突然大地震が!いや違う、山荘だけが揺れている。ファイアーメガトンが山荘を土台ごと引っこ抜いて揺さぶっているのだ!
 死んだはず・・・生きていたって崖から落ちて体はボロボロのはずだ!
 極ジェンマの問に太志が応える。俺は毎日カレー喰ってるんだ!その俺が、あの程度で死ぬものかぁ!
 メガトンの迫力に呑まれた極ジェンマはもはやザコと化した。縛めから脱した城太郎の新必殺技、鍛え抜いた下半身のダッシュ力で爆炎拳を叩きつける、その名も『激突爆炎拳』に吹き飛ばされた。

 処変わって、決闘場では傷だらけの北斗が伸びていた。「すげえ・・・すげえ強さだ。あんたに殺られるなら本望だぜ」「それには及ばん。もう勝負はついたのだからな」「その上男らしいぜ。何から何まで俺の負けだ。俺も仲間にしてくれ」

第4話「全滅!無敵戦隊」

 青木が原の大樹海の地下に着々と建設中のヘルファイアー秘密基地に地獄獣13人衆(すでに11人だが)が侵入。破壊の限りを尽くす。
 乗っ取った基地に神博士が現われ、システムを作り変え始める。
 檜垣は太志と城太郎を連れて偵察に忍び込むが、そこには暗闇街道と13人衆の半分がいない。「しまった!読まれていたか」檜垣が気づく。
 暗闇街道は檜垣の逆をついて、手薄になった東京の大蔵を狙っているのだ。東京戻ろうとする3人の前に戦闘ロボット軍団が立ち塞がる。
「ここは俺にまかせろ!」太志の開いた突破口から、檜垣と城太郎が抜け出す。これくらいなら、メガトンならばあっという間に片付けて追いついてくに違いない。太志に絶対の信頼をおく檜垣は一刻を争って東京に向かうが・・・
 突然、隠れていた数百の戦闘ロボがメガトンを取り囲む。わらわらと集まる大波のごときロボ軍団に呑み込まれ、メガトンの姿が消えて行く。
 その頃、基地の中では流北斗が神博士とメガトンのピンチをモニターしていた。メガトンを助けるチャンスを伺う北斗。しかし・・・
 床から足枷が飛び出し、あっというまにはるか上方の通風孔に鎖で宙吊りにされてしまう。
「ははははは、馬鹿め、貴様の裏切りがばれていないとでも思ったのか」神博士は基地の動力源、ファイアー反応炉に火を入れる。30分後には数百度の熱排気が吹き出すのだ。「焼け爛れて死ね。裏切り者にはそれが相応しい」
 一方、ひたすら東京に向かう2人。檜垣は危険を修験道の超感覚で察知し、バイクを急停止させるが、城太郎はノーブレーキで飛び出してしまった!そこは実は崖だ。暗闇街道の幻術時限残像で道が続いているように思わされていただけなのだ。
 落下する城太郎が空中で転身する炎を眼下に、「死ぬなよ」檜垣は一人走り出すしかなかった。
 迂闊だった。我々を一人づつ引き離して全滅させるのが奴等の策だったことに気付かぬとは・・・
 北斗は宙吊りで鎖を外そうともがいている。メガトンはロボット軍団に呑み込まれて行く。そして、落下のショックで怪我をしたナックルは、そっくりの赤いファイアースーツの何者かに襲われていた。

 

第5話 「無敵!ヒーロー揃い踏み」 

「この野郎!てめえ何者だ?」城太郎の前に現われたもうひとりのファイアーナックル。それは神博士の作った新しいファイアーエンジンを埋め込まれた男だった。
 新型エンジンの出力は旧来の1.2倍。爆炎拳がぶつかり合い、弾き飛ばされるのは城太郎の方なのだ。怪我と出力差をモロに被る形となった城太郎。勝機はあるのか?
「根性だッッッ!俺が奴に勝るものは根性しかねぇ!」
 北斗は宙吊りから脱出せんと、必死にもがく。時間が迫る!
 北斗の体内から強烈なモーター音が唸り出したが・・・無常にも熱排気が全てを焼き尽くした!!
 富士の裾野、見渡す限りの戦闘ロボの海に巻き込まれながら、メガトンが大見得を切る。
「獲れるもんなら、俺の首を獲ってみろ!」
 遂に豪徳の屋敷まで辿り着いた檜垣であったが、時既に遅く、屋敷は炎に包まれていた。止める間もなく、晶が飛び込んでいくが・・・
 大蔵は虫の息で炎に包まれていた。「私はもう駄目だ。晶よ、これを受け取りなさい」と、床の間の刀を渡す。居合術の免許皆伝の証だ。
「檜垣君たちと共に闘え。お前にもファイアーエンジンを・・・」
 しかし、晶は傍をはなれようと」しない。「お前は行かなければいけないだろう。・・・姉妹仲良くな・・・」 
 大蔵と晶は炎に飲み込まれていく。
「ふはははは!もう全滅か?案外脆いものだな、ヘルファイアー」
 檜垣の前に暗闇街道と、地獄獣の金狼、コスモ嵐、迫撃ジャンク、幽玄道士、魔人Zが現われた。
「いいや、まだ終わっちゃぁいない。紹介しよう、無敵戦隊の勇士を!」
 陽炎が檜垣を取り巻き、そして炎と化して燃え上がった!!
「正義不滅!無敵、ファイアースピリッツ!!」ババーン!
「ばかめ!たった一人で戦隊を名乗るかぁ」
 だが、足元のアスファルトが捲れあがり、戦闘ロボが地下から次々と放り上げられてくる。その穴から、爆発と共にメガトンの登場だぁ!
「金剛力!不動、ファイアーメガトン!!」ドジャーン!
 疾風が走り抜け、地獄獣たちを蹴散らす。流北斗だ。閃光を散らし、転身。
「まつろわぬ風・・・無頼、ファイアーフラッシュ!!」ヒュオーン!
 屋敷の焼け跡を吹き飛ばし、豪徳晶登場!抜刀の火花が全身を包む。
「怒りの刃!不退転、ファイアーブレード!!」シャキーン! 
 そしてそして、ファイアーナックル登場・・・あれ、ばったり倒れた。 「どうやら一人は欠けてしまったらしいな」と暗闇。
 しかし、その後ろから雷城太郎参上!してみると、このナックルはニセ者の方か。
 ダッシュしながら転身。そのまま激突爆炎拳を暗闇街道にかますが、それは幻術による分身であった。
 勢いあまって壁に自爆!!ドガーン!4人は構わず決めポーズ!
「悪党どもを焼き尽くす地獄の業火、無敵戦隊ヘルファイアー!見ッッ!参ッッ!!」
 暗闇街道の幻術天地返しに、スピリッツの天地返しが噛み合う!天も、地も微動だにしない!
 少しでも隙をみせた側が天地を返されてしまうのだ!互角!全くの互角!
 動けない2人とは別に、4人のヘルファイアーと5人の地獄獣が絡み合う。
 ナックル、メガトン、フラッシュが金狼たちを引き受ける間に、ブレードは、直接大蔵を手にかけた仇、魔人Zと対峙する。
 Zの熱戦攻撃を体捌きで躱しながら、しかし、まだ剣を抜かない。静かに心を奥深く沈めるのだ・・・
 それは祖父の教えでもあった。「全てを魂の深淵に沈め、心を空にするのだ・・・ただの空ではない、真の空に・・・」
 Zの間合いに入った刹那、全てが消えうせた。鯉口の光を見たと同時に、Zの視界は真っ二つに切り裂かれた。・・・誰も刀身を見ていない。抜いたのか?抜かなかったのか?・・・ついに達したか、晶よ。
「奥義、真空斬り」それは剣の師でもある、亡き祖父への鎮魂歌であったろうか・・・
「退け!これ以上戦力を減らしてはマズイ」幻術を使い果たした暗闇は遂に撤退を命じた。
 勝った!これが正義の力か!しかし、闘いは始まったばかりだ。燃やせ、ヘルファイアー怒りの炎を!! 

戻る?それとも次回第6話「嵐呼ぶ転校生」