6月30日
ヒーロー登場!
襤褸布で顔を隠した男が、市楽碧の体を抱きとめた。
この男こそ、数日前から棺桶を引きずってニューヨークを徘徊する謎の男である。
「魂の熱い方向へ向かえば海原に会えると彷徨っていたが・・・一番の熱源が女の子だったとは、驚きだ」
我が身を省みぬ碧の熱いダイブに呼ばれて現れたというのか、この男は?
そして、地雷は無いのか?この部屋には?
男は無造作に床板を踏みつけてこの部屋に入ってきたというのに、一切の爆発は起きていない。
「夢想剣を極めれば・・・地雷にすら俺は斬れぬ!!」
なに〜〜!?
すると、こいつは!
この男は!!

6月28日
「俺が死ぬか、お前が死ぬかだ」
最近俺が気に入っている言葉。
しかし、使いどころが難しい。
シャレの通じない相手に言ったら殺し合いだ。
自分より弱い立場の人間に言ったらいじめだ。
ヤクザに言ったら生き死にだ。
俺は、誰に言ったらいい?
地雷部屋に監禁されてから試合開始までの数時間、我らが海原イレヴンは何をしていたのか?
それは、試合直前のチームならば当たり前に行うコト。作戦会議であった。
死と隣り合わせの緊張感の中、当たり前を行うコトがいかに度胸が必要か?諸君葉考えたことがあるかね?
しかし、それ以上に獅子土虎之助の話す海原フォーメイションの解説は、地雷の恐怖を一時失念させるほどに興味深い講義であったのだ。
今まで個別に与えられていた指示の全体としての意味、敵戦力を確認した後の力点分散の微調整、予想される裏NFLの攻撃に対する防御陣形のヴァリエイション、試合の転換点で使うべき鬼をも殺す奇襲技の着想。
知性派の妻鹿、吉岡、南部はメモを取ってその内容を逐一確認する。話し終えたころには、みながいっぱしの軍師になったような気分であった。
「これで、俺がいなくともみんなそこそこの作戦で闘えるだろうよ。大丈夫、お前らのそこそこは裏NFL程度、遙に凌駕する」
獅子土の体が宙に飛んだ。なんと、自らの体を地雷の盾とし、イレヴンに行く道を示すつもりだったのだ、彼は。
作戦会議はその、遺言であったということか・・・
しかし、一瞬早く、須之内巌流の腕が彼を引き戻したのだった。
「こんなこったろうと思ったぜ」
「離せ、俺にやらせろ。監督がいなくても試合はできる」
「バカ言っちゃいけない。ちょっと教えたぐらいでこの脳みそ筋肉どもがまともな作戦作れやしねえぜ。アンタは俺たちに必要なんだよ」
「一人だけ、試合に必要じゃない人間がいるわよ!」
誰もが予想していなかったことに、市楽の妹が、その身を投げ出した。一瞬の躊躇も無いクソ度胸。
誰がそれを予想した?誰が止めるまもなく、その華奢な体は入り口近くの床に向かって落下して行くのだった。
「やめろ、碧!!死ぬな〜〜〜〜!!!」
市楽の悲痛な叫びが轟いた・・・・・・

6月26日
船橋駅で、妙なアンケート調査に遭った。
観念的な設問。相手の人生観を尋問するようなしゃべり口。
とある社会人サークルによる、社会研究のための意識調査とやららしい。10中10、なんらかの勧誘である。
何故か、船橋駅はこの手が多い。
「人生において一番重要と思われることは次のうちどれ?」などという設問で、選択肢に「地位、名誉、財産、愛、家庭」と書いてあったので早速絡んだ。
何故、正義と真実と誇りが選択肢にないのだ?アナタたちはそういうものが価値がないと思っているのか?
自己啓発のために他人の意見を参考にしてしょうがないだろう?こんなことに時間を使っているより、より自分を高めるためのなにかをするべきときじゃあないのか?今は。

ウザがられたのか、すぐ消えてくれた。
勧誘の人たちは、何気ない答に絡んでその人物の人生観を否定し、うろたえさせ、そして自分の側に引き込んでいく。
しかし、こいつら攻撃方法は研究しているが、何故か防御力が弱く、こっちのペースで話すと反論できないやつが多い。
ブルースの弟が聖書を研究して、キリスト教勧誘を完璧に論破した話など聞くと、溜飲がさがるのだ。
俺も、屁理屈に磨きをかけなくては、と。
6月24日
試合まで1日!前日の夜ついに、オージーボール出身のジャッキー河内の案内で、海原イレヴンは市楽の妹が拉致られている場所を探り当てた。
「ニューヨークにも根を張る、オーストラリアンのネットワークをなめてもらっちゃ困る」
一行はメトロの駅の奥にある一室に辿り着いた。そこには果たして、市楽の妹が椅子に縛りつけられていた。
「逃げて!罠がッッ!」
猿轡を外すなり叫ぶ妹。
しかし、時はすでに遅かった。
「動くなよ、海原の諸君。その部屋に仕掛けられた108の地雷を今、ONにした」
なにッ!?爆弾に立ち往生させられた恐怖よりも、海原の心を縛ったのは、ジャッキー河内の声である。
裏切ったのか、河内?
「最初っからこのつもりだったな。俺たちにNFLを潰させ・・・しかし俺たちの大勝利の直前に試合放棄で栄光を失わせる。オージーボールに漁夫の利を呼び込むために!」
獅子土は悔しそうに歯噛みした。この天才すらも騙しおおせるとは。さすがジャッキー河内。
飛田のジャンプ力や須之内の忍術に匹敵する河内の超人能力とは、それはこの神業にも似た演技力だったのか。
「そのまま、試合終了時間まで立ち往生していればいい。一度は仲間と呼んだ貴様らの、命までは取らん」

数時間後。マジソンスクエアガーデンに終結した裏NFL魔人イレヴンの前に、海原の顔は無かった。
キックオフの時間が迫る。しかし、メンバーは現れない。このまま恥辱の試合放棄となるのか??
誇りを取り戻しかけたアメリカ人たちの嘲笑が、観客席に、そしてグラウンドに溢れ始めるころ、しかし、一人の男が控え室からの廊下を渡ってくるのだった。
ヘルメットを脇に抱え、海原マーク輝く胸を燦然と張り、堂々と入場してきた男。
22人のモンスター相手に、ただ一人堂々と入場する男。
そう、ここで出るヤツは一人しかいない。
こんなことができるやつはひとりしかいない。
「さあ、キックオフといこうぜ!」
グランドキャニオンに沈んだはずの花井京太郎は、今、ここにいる!!
アメリカン・モンスターマンが哄笑した。
「バカめ、一人で何ができる?」
ふふふ・・・ニヤリ。
「一人じゃあ、ねえのさ」

6月23日
妄想特急トップにあるカウンターは、普段20〜30/日程度の計数であったが、22日は80、23日は200を記録した。
ナニごとかッ!と不気味になり、とりあえずアクセス解析を付けてみる。
今回の異変の主なリンク元は、ココ!

DooM帝國のグルマンくんこき下ろしコーナー・・・・・・
なんか、ココが最近巷でブレイク中らしい。
妄想特急来訪記録の9割がグルマンくんのお零れ。
これ以上の屈辱は無いッッ!!!
捲土重来を期す。
6月22日
安 楽 椅 子 探 偵アームチェア・ディティクティブ のライヴァルは 武 装 椅 子 探 偵アームドチェア・ディティクティブ
ほこりを被った研究室の奥でゆったりと座ってパイプなど燻らしながら、知り合いの目撃証言などを聞いただけで犯人を探し当てる安楽椅子探偵に対して、武装椅子探偵はアクティブである。
四脚の下から噴出すジェット推進にのって世界中を飛び回り、証拠を集め、肘掛から連射するバルカン砲の炎と背板が開いて発射するミサイルが、悪党どもを追い詰めるのだ。
まさに、武装椅子探偵は最高の男であるのだ。
弱点は脳梗塞になりやすい家系であるということ。「武装椅子探偵最後の挨拶」では、脳梗塞の手術のために遠い街へ行く探偵を、かつての好敵手たちが見送るところで話が終る。
しかし、俺たちは信じている。いつかきっと、病を克服した武装椅子探偵が帰ってくることを!

それまでの間は、パイプ椅子探偵がこの街を守ってくれることだろう。
頭が悪く、推理など決して働かないパイプ椅子探偵だが、巨悪に対する怒りは人一倍だ。
獣の咆哮を上げながら折りたたんだパイプ椅子を振り回す彼の雄姿を、君はもう見たか?見たのか!?
特に悪いヤツには、座板じゃなく、横にしてパイプ部分でぶん殴るぞ!!
6月20日
楊は辛かった。
俺、ブルース、親分、すの字、杉並、そしてまきまきさんの6人で行ったのだ。
四川の魅力満載のオカズの数々。
俺とすの字以外はわりと辛いの苦手めなメンバーで、コレ。
とくに、麻辣鶏肉炒めなどは、おそらくは食材と同じくらいの分量の唐辛子と山椒が!!
辛い上に舌が痺れて、まさに四川の魂がこもった一品でした。

しかし、5時半集合で、喰い終わったのが8時45分。徹夜明けのブルースが紹興酒で憤死。
酔拳のような足取りで駅に向かう途中、「す、座りてぇ〜。座って、コーヒー飲みてぇ〜」と、池袋西口近くの半地下喫茶店サルビアにふらり、といつもの如くに転がり込み。
しかしなんと、親分、すの字、杉並、まきまきの4人は「このまま帰っちゃうから、あとよろしく」
ええ!?
ブレンドコーヒーを注文して、飲まずにテーブルに突っ伏するブルース。
しょうがないので、読みかけのミステリー(これがブルースに借りた本だというのが設定の妙というヤツか)広げてコーヒーを飲む。
1時間後、10時になったので流石に帰りを促すと、ブルース。
ガバッと起き上がり「11時まで寝させてくれ〜」と言ったきりまた突っ伏す。
「本当に帰っちまったのかよ〜。付き合い悪ィ〜〜」
と泣き言言いながらまた夢の世界へ。
しょうがないので俺、紅茶とオペラ(チョコレートケーキ)追加してさらに本を読む。
10時45分にそろそろ閉店、と促されて起きたブルース。俺が食べたと聞いて猛然と羨ましがり、オペラを肴に2時間ごしの冷め切ったコーヒーを飲み干したのだった。

その1時間後、ヤツの帰宅を確認。

教訓:酔っ払いの世話は大変。酔っ払いの世話押し付けて帰る奴らとの付き合いはもっと大変。
6月19日
ゲバラ!ゲバラ!赤白着けろ!
ゲバラ!ゲバラ!今日が俺の・・・ラララ命日だーー!
      <ゲバラーマン主題歌>

ニューヨークの裏道を、謎の男が歩いていた。
頭からズダ布を被って顔は見えないが、ただならぬ殺気を漂わせるその男に、本場の犯罪者たちもちょっかいを出しかねていた。
何より不気味なことに、その男はヒノキの白木の棺おけを引きずっていたのだった!

市楽馨の予感は妹の死であったのか?
それとも、それは海原の死であったのか?
試合まで2日。海原が勝つことは妹を見捨てることになる。
ギリギリの勝負になったとき、自分はゲームを決めるパスを捕ることができるのか・・・・
こんな気持ちで試合に出る資格など無い!獅子土に申し出て、一人妹を探しに行くはずの市楽であったが・・・獅子土は他のメンバーに全てを語ってしまったのだった。
「仲間の妹ならば、俺たちの妹も同然!俺たちも行くぜ!!」

6月15日
6/13から延期となった池袋の「楊」。20日に行くことになろう。
当初はコレで食べまくりを一つ書く予定であった。
何度も開店時間以外に行って喰えなかったことを繰り返したし、偵察と称して3人だけまず食べに行ったし。
それまでの経緯が面白いし、味もそこそこにおいしかったからであるが、
しかし、その間にいろいろあってしまった。
インド料理ハティと雲南ミャンマー料理昆明飯店である。
おそらくは、楊は第2部開始のきっかけとまではなり得ないんじゃないかな。


6月14日
食べまくりバカ第一部完結から5日。
この“完結”は元々意図したものではなかった。
昆明飯店の素晴らしさを伝えるために、なにをどう書くべきか?思考の試行を錯誤しているうちに志向の柵越えを試行してしまったというか・・・つまりは俺個人の嗜好の問題になった。
相変わらず大仰な表現のオンパレードとなったが、実はそれほどの粉飾ではなく、心の底から出てきた結構、素のままの気持ちでもあるのだ。
その流れでの第一部完。とりあえず、ココまでの俺が書くべきことはもう書き尽くしたことは確か。
ココからの俺が書くべきこと、ってのが存在するのか?これから現れるのかってのは、全く判らない。
あればいいなとは、思う。

ところで、せっかく第3部が始まったってのに、5月11日から約1ヶ月も音沙汰無しのアメフト魂。
日本中に確実に3人はいると言われている熱狂的読者のために、俺はそろそろ続きを書かなくてはならないのだろうなあ。

裏NFLの凄みを見せ付けられた翌日、ひしひしと迫る最終決戦の予感に闘志を高める海原イレヴンであった。
が、ひとり、フランカー市楽馨のみが己の死を予感していた。
今まで常にチームのムードメイカーであり、その根拠の無い楽観主義がみなを支えていた市楽が、である。
仲間に黙って、一人町に出た。今までのNFLとの勝負で、得た金を日本に送金するためである。
裏社会でギャンブルの対象となった海原VSNFLで、全財産を海原に賭け続け、倍倍ゲームで儲けた大金である。
日本で、奇病の手術のために大金を必要としている妹のためであった。
しかし!通りすがりの男が見せたのは、その妹の写真であった。
どことも知れぬ一室で目隠しをされ、銃を突きつけられている写真。
突きつけている男が、その、写真を持参する男そのものであった。
「俺は、愛国者でね。おまけに、ひいきのチームが負けると暴れだすかんしゃく持ちでもある」
遠まわしな脅迫だが、言葉の意味するところは明白だ。
市楽にはなす術が無い。
危うし、海原!
危うし、市楽馨!
危うし、市楽の妹!!

6月3日
昨日(2日)はちょっとした冒険。
でも、命は救えませんでした。合掌。

これは前に書いたことかもしれませんが、美濃の国の中心を“岐阜”と名づけたのは織田信長。
織田の正室の父でもある斉藤道三が実の息子斉藤竜興に攻め殺された後、更に国を奪い取ったのが織田。
つまり、自分の義父の領国だった土地を岐阜と名付けたわけ。
義父を岐阜とね。

古い徒然肉

妄想特急トップ