12月9日
ひきこもり探偵

創元推理文庫の件のシリーズがあるわけだが、創元の「日常の謎」ミステリー全般に言えることだが、実に「いい人」たちが織り成す物語である。
わざわざカギカッコつけてるのはもちろん悪意があるわけで、とにかく、他人の些細なことで傷つき、弱者を傷つける無関心さを持つ世間に怒りをぶつける俺カッコイイ的な魂に溢れた掌編集であるわけだが。

こないだ、マンガでひきこもり探偵モノをみつけた。こちらはガチでひきこもりである。偽善よりも痛々しさを表に出していて、逆に痛快。
妹萌えっぽいサブタイトルもついているので、その向きが好きな人は探してみて欲しい。

で、何が言いたいかというと、「寝たきり探偵」とかないかね、と。
鬼警部アイアンサイドみたいな障害を持った安楽椅子探偵ではなく、ホンモノの要介護老人がおしめを換えてもらいながら名推理するみたいな。
あれば絶対買う!

11月7日
久方ぶりに動けなくなるような風をひいた気がする。
もともと、頭痛や喉の炎症の発症が多く、風邪で発熱や脱力が起こることが少なかったので、以前にも「全身気だるくて力が入らねー。変わった筋肉痛だな」と言ったら「それ、風邪じゃない?」と教えられたこともあるくらいで。

今回も、全身筋肉痛で寝苦しいな、という自覚症状で始まったわけだが。
しょうがないので俺の空刑事編を前編読み通した。
やっぱり、本宮ひろしはすげえ。

10月27日
以前書いたと思うが、川越の蕎麦屋で俺とブルースが蕎麦を喰っていたとき、犬連れのおっさんが入店した。
もちろん、犬は店外に括って、な。
蕎麦にそれほどの愛着を持たない俺たちにも、そこの蕎麦はけっこう旨かった。
いけるね、これ、と話していたときに、そのバクダン発言が起こった。
「この蕎麦、余ったの犬に喰わすから、紙とか無い?」
おっさん!!!!
2重にやべえ。
まず、ひとつは「肉食動物にそんな食物繊維の多いもの喰わすな」ということだ。
今ひとつは……いちいち言うまでもねえ。

しかし、そのあと、衝撃の発言が、
「この蕎麦、犬も喰わなかったわ」
当たり前だ!そして、死ね!

それが10年近く前。ところが最近、友人とその店の前を通りかかったブルースが、件の話をしたらば、その友人が言ったそうだ。
「わんこ蕎麦なら喰ったのにね」と。

その手があったかぁ!!
怒ってもしょうがない奴には怒るより、シャレで流す。見事だ。
敗北感に、俺は打ちひしがれたよ。

そういうわけで、ブルースさん、そのご友人には蕎麦を奢って上げてください。お代は私が持ちます。
10月17日
ホタルイカの丸干しでパスタを作ってみた。
タマネギとイカの微塵から出汁をとるようにソースを作って、さて、味付けに「いしる」なんかピッタリ!と急に思い立って使ってみる。
いしるはイカを塩漬けにして抽出する魚醤の一種なので、きっとイカに合うんじゃなイカと思ったのだが、
ちょいときつい。
塩辛さが尖った感じになっちゃた。

そこで思い出したのがフルーツパスタですよ!
あのとき、ブルースはイカやホタテをナンプラーでまとめていた。同じ魚醤で出来ないわけがない。ならば、
と、手近にあったオレンジジュースを入れてみたら、なんと言うことがなく味がまとまり、コクのあるイカパスタが完成した。
役に立ってる。バカやってるようだが、俺なりに前進してる。
フルーツパスタやって良かったよ。
しかし、あらためて読み返すと、当時の食担当の皆さん、フルーツっぽくないパスタほど高得点を出している。
やはり既存の価値観を崩すというのは難しいものなのですなあ。
フルーツをイカに効果的に使ったかで評価すべきだろう、ああいうときは。

あ、「96時間」はブルースにネタバレされたにも関わらず、とても面白かった。


10月11日
ダシール・ハメットとエドモンド・ハミルトンは別格!
別格は当然としても、この2人を並べる意味は?と聞かれると、特に意味は無い。
まぁ、なんとなく、語感かな?

久しぶりに「血の収穫」を読む。と言っても、10代の頃に一度読んだキリなので、記憶の中とあまりに違うので驚いた。
こーいうことってあるよね?
しかし、物語の決着は知っているが、流れは忘れているお陰で結構手に汗握って楽しめた。
街を牛耳る2大勢力をかき回して漁夫の利を得る話だったように記憶していたが、内部抗争込みの4勢力を引っ掻き回す話だった。組織同士がいろいろ付いたり離れたりだもんで、記憶の中で単純化されたようだ。
……ああ、これ、古典だから大まかな筋は書いてもネタバレ扱いにはならないよね?
「映画『用心棒』の元ネタである」くらいはそこら中で言及されまくってるし。
ハードボイルドの原点、と俺は思っていたが、文学史的にはハードボイルドはアーネスト・ヘミングウェイから、ということになるらしい。
へーー

まぁ、しかし、今読んでもやっぱり面白いね、コレ。
フニャモラーの名セリフ「チャンドラーの感傷的な文体はハードボイルドじゃない。HBはハメットに始まりハメットに終わる……いや、血の収穫で始まって血の収穫でもう完成してるからあといらねーよな」を思い出す。
まあ、作家の系譜よりも、血の収穫→用心棒→荒野の用心棒→続荒野の用心棒というような作品の系譜の方がムードの継承が進んでいる気もするが。


というか、食べバカ更新しました。今度は群馬。
高崎の「シャンゴ」という店で食べた記録がメインなので、マカロニウェスタン「ジャンゴ」(邦題「続荒野の用心棒」)に話題をつなごうと思って、最近読んだ本の話を……

次回は、エドモンド・ハミルトンに話が繋がるようなものを食べたいなあ。


10月2日
昨日気づいたんだが。それで大慌てだったんだが、9/22から別冊漫画ゴラクで俺得マンガが連載されてた。
コンビニを回ってなんとか購入に成功。発売日を1週間過ぎたマイナー雑誌の安否などは、この世にある有象無象で最も儚いものの一つ。俺はついていた。

そのマンガは「ザ・松田」
ブラックエンジェルズの松田さんが主人公のマンガだ。
ここ十数年の平松伸二のマンガはかなりデタラメで、スーパージャンプでマーダーライセンス牙をやっていて、何故か雪藤を出してタイトルまでマーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズに変更。そこに何故か死んだはずの松田さんがカッコよく登場して何故か生きている理由を「いんだよ細けぇことは」と切って捨てた後にしばらくして打ち切り。
このマンガの最後はほとんど主役が目立たず、板垣&松田のようになっていたことも懐かしい。

その後、ゴラクで外道坊を始めるが、何故か集英社のマンガとクロスオーバーして外道坊&マーダーライセンス牙に。

いつもいつも昔のマンガを引っ張り出さないと何も出来ないのか?と思っていたところで真田十勇士を題材にしたSANADA紅蓮隊をゴラクで始めるが、十勇士が2人しか揃わないところで打ち切り。昔マンガでないと人気が出ないことを証明してしまう。
しかし、コレはコレで良かったのかも。もっと続いていれば、SANADA&ブラックが始まり、戦国時代に松田さんがいる理由まで「いんだよ細けぇことは」で済まされてしまったかも……

ってわけで、別冊ゴラクに元々集英社キャラの松田さんが主役張ることになったわけだが、
昔マンガに頼る情けなさという意味では、今回がまさに最高潮だ。主役まで使いまわしなのは今回が初めてだからな。

でも、松田さんだけは別。仕方ない。俺にとっては松田さんだけは別。
ここの部分、非常に非論理的だが、コレだけはわかって欲しい。

しかし、今回の松田さん、「いんだよ細けぇことは」を連発。明らかにAAを意識している。こういう、ずれてるくせに流行におもねろうとするところが平松伸二のかっこ悪いところでもあるのだが、今回は責めないで欲しい。
松田さんが復活して「いんだよ細けぇことは」と言ったのは、このAAが流行るずっと前。

30分後追記。
調べてみたら、逆にこの松田復活の際の「いんだよ細けぇことは」が件の言い回しの語源らしい。
それで、調子に乗って使ってたのか。やっぱ平松すげえ。

ちなみに、何故か生きていたことを聞かれたとき、松田さんはこのセリフのほかに「あ〜〜?俺が不死身だってことは知ってるだろ?」もあった。俺はコッチのセリフのが好きなんだが。

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