DTM作品解説

Production Notes

 
1.Life Is So Good
 高校生になりたての頃、すっかりJDファンになっていた私は、ニュー・アルバム、"John Denver"を手にしました。それまでのジョンとは少し毛色の違う"Downhill Stuff"や"Johnny B. Goode"などの曲に面食らっているなかで、ひときわ「ジョンらしい」歌だとわくわくして聴いたのが、この曲でした。明るく、楽しく、歌詞はいたってシンプル。それ以来、楽しいことがあると、"Life is so good, life is so good these days"と、自然にこの歌を口ずさんでいる自分をしばしば発見したものでした。

 最近になって、ようやくこのアルバムがCD化されたのを機会に、DTMに挑戦してみました。なんといってもジム・ホーンのフルートの味をどうだすかが最大の決め手だと思い、イントロと間奏、そしてエンディングのオリジナル演奏を再現してみましたが、結果はいかがでしょうか。

<収録CD>"John Denver" 1998年9月作成


2.A Baby Just Like You

 ジョンは、自作の曲でも、トラディショナルな曲でも、クリスマスに関する曲をかなり歌いあげています。私がこの曲をはじめて聴いたのは、"A Christmas Together"で、アニーとの間に子供ができなかったジョンにとって、ザッカリー君が本当にいとおしい存在だったのだなあと感じさせる歌でした。発売はそれより前になる"Rocky Mountain Christmas"にも、ラストを飾る曲として収録されていたのを知ったのは、それからずっと後のことでした。

 ギターをメインにしたアレンジの"R.M.C."バージョンを基調にしつつ、マペッツ版で聴かれる楽器を加えて、クリスマスのにぎやかさを出すようにしてみました。この作品集の中では最新作になります。

<収録CD>"Rocky Mountain Christmas","A Christmas Together" 1998年12月作成
 

3.Dance Little Jean

 ジョンが亡くなって、これでもう新しい歌が聴けないと考えた時は、本当に頭が真っ白でした。それから1年、"Forever, John"の発売は、私のみならず全世界のJDファンにとって最高のプレゼントとなりました。ジョンが残した未発表の曲を聴いてゆく感動の中で、私が最も胸踊らせたのがこの曲でした。さまざまな苦労の末、ついに結婚にこぎつけた若い二人を祝福するために、突然くるくる回って踊りだすジニーちゃん。それを見てようやく結婚式の意味がわかり、夜通し演奏を続ける年老いた雇われ奏者。すべての音符が、こうした情景を効果的に浮き立たせている、ファンタジックで、すばらしい佳曲だと思います。

 これまたジム・ホーンのリコーダーがジニーちゃんの登場を絶妙に表現していますが、DTMでこれに迫ることができたでしょうか。オリジナルでは、後半にもう少し音を重ねるつもりだったのか、アレンジが急に単調になるので、ビブラホンで味付けをしてみました。

<収録CD>"Forever, John" 1998年10月作成
 

4.Heart To Heart

 私がはじめてジョンの生ステージを見たのは、'83年の来日コンサート(NHKホール)でのことでした。レコードではいろいろな楽器で演奏されている曲を、ステージにただ一人、ギター1本の伴奏で歌い通したジョンの姿はいまでも鮮明に焼きついていますが、歌った曲についての記憶となると、オープニングの"Boy From The Country"と、この"Heart To Heart"くらいしかありません。それだけ感動的であり、思い出深い曲だったわけです。

 この作品は、私がDTMをはじめて最初につくった曲です。まだ機械の操作や音の出し方もよくわからないまま、試行錯誤を重ねてなんとか作品として仕上げることができました。まったく弾くことができないピアノや、しくみもよくわからないドラムのパートなどは、すべて「耳コピー」で入力しました。今だったら、こういう高度なアレンジの曲は、はじめから選択しないと思います。

<収録CD>"Seasons Of The Heart" 1998年9月作成
 

5.Circus

 この曲については、特に好きだったり、思い入れがあるわけではないのですが、ある日、ジョンのCDを聴いていて、ふとこの曲がかかった時に、メロディーにかぶさってくるギターのソロフレーズがなんとも奇妙で、こんな感じをDTMで表現してみたら面白いなあ、と思ったところから創造意欲が湧いてきました。

 実際に、コンピューターで曲をつくる時には、一つひとつの楽器ごとに音を聴きとり、入力するという作業を繰り返すわけですが、ギターのパートを入れている時には、「こんな音で本当によいのだろうか」と思うくらいミスマッチな印象をうけたのですが、これがメロディーと重なると、なんと、立派な曲としてアンサンブルになっているのです。カラオケ・バージョンともぜひ聴き比べてみてください。

<収録CD>"Rhymes & Reasons" 1998年10月作成

 
6.Christmas For Cowboys

 私がこの曲をはじめて聴いたのは、高校生の時だったと思います。FMラジオから、ふと流れてきたのですが、3拍子の心地好いメロディーと、"Christmas for cowboys and wide open plains"というフレーズが頭にこびりつき、毎年クリスマスを迎えるたびに、一度聴いたきりのこの曲が、ぐるぐると頭にめぐってくるのでした。東京の中古レコード屋で"Rocky Mountain Christmas"を手に入れたのは、それから10年くらいしてからだと思いますが、針をおとして聴いてみると、はじめて聴いた時の記憶と完璧に一致していました。とても2度目とは思えない、もう何百回も聴いた曲のような印象でした。

 作品としては、ギター1本の伴奏で歌っている"R.M.C."バージョンに、"The Unplugged Collection"バージョンでパーカッション系統などを補強して、効果音なども入れてみました。はたして、クリスマスの雰囲気が出ているでしょうか。

<収録CD>"Rocky Mountain Christmas","The Unplugged Collection" 1998年12月作成
 

7.This Old Guitar

 いうまでもなくジョンの人生を3分間に凝縮した曲です。私自身も、うれしい時、落ち込んだ時、物思いにふけっている時、失恋した時と、いろいろな時に応じてこの曲を弾いていますが、どんな時でも気持ちがすうっと癒されてゆくのを感じます。ここには、ジョン・デンバーという歌手のすべてがある、といっても過言ではないでしょう。

 最初に収められた"Back Home Again"では、最後までギター1本の伴奏で歌いあげていますが、ここでは、"The Greatest Hits Vol.2"のアレンジで、うっすらとストリングスをかぶせてみました。作成期間は3日と最も短い時間でつくりあげた曲ですが、私としてはどうしてもすべての作品の最後に置きたいと思う思い入れの強い作品です。

<収録CD>"Back Home Again","The Greatest Hits Vol.2" 1998年12月作成

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December 17, 1998 written by ken