光の行く道標

 

リヒト−光・1

 




 終わりというものは、あっけなく訪れるものだ。
 この私とても例外ではない。
 その日、私は遠駆けを楽しんでいた。

 いつもの休日と同じように、崖に向かって馬を走らせる。
 林を抜け、聖地を見下ろす高台が目に入った瞬間、私は不意に息苦しさを感じた。
 馬から降り、襟元を緩め深呼吸をする。  

「ジュリアス様、ご気分でも……?」
 傍らに降り立ったオスカーが心配そうにそう言った。
「何でもない。少し風が強くなったようだ……帰るぞ」

 私は再び馬上の人となり、帰路についた。慌てたオスカーが私に続く。
 気づかれては、ならない。
 特にオスカーだけには。

 私はその時、そのことだけを考えていた。



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