罪深き絆 |
第一章・奈落・序 |
次元から次元へと移動していた造物主は、生まれたばかりでまだ何もない新しい空間を発見した。 彼は新たなる宇宙をそこに建設しようと考えた。 まず、その空間の中に礎となる光と闇を呼び出した。 光から炎・緑・風を、闇からは夢・地・水・鋼と呼ばれる運行の原動力となるサクリアを生み出した。 その9つのサクリアの力を合わせて星々を、そこに住む生物を創造した。 彼は自分が造った宇宙に満足した。 生まれたばかりの宇宙は不安定で目が離せない。 だが、彼が管理すべき次元は他にも多くあり、ここにばかり掛きりではいられなくなった。と、いうよりも興味を失ったのだ。 彼は宇宙の運行をサクリアたちに任せることにした。 各々に、肉体を与え、守護聖と名付け、互いに協力するよう命じた。 さらに、彼らから心の一部を取り出し、それらを合わせて一つの心を造り、その心を一人の少女の肉体に宿した。 彼女は造物主の代わり、つまり“宇宙の女王”として宇宙の支配者として君臨した。 守護聖は女王が彼らの心の一部を持つがゆえ、否応なしに忠誠を誓い、互いに相争うことを禁じた。それは暗黙の了解となり、現在まで続いている。 光と闇はその時、持てる心の全てを他の守護聖と女王に分け与えてしまった。 そうして彼らは常に喪失感を身に纏いながら、宇宙の危機が起こる度に転生を繰り返し、永劫の時を過ごしてきた。彼らは原初の光と闇であるからこそ、変革期にはその強大なサクリアを必要とされたのだ。 幾度も、そう、幾度も。 |