2001年 FM京都 α‐STATION α‐マンスリーカラーズ

 自分で何か趣味を始めました。じゃあ、例えば「釣りをやりました」っつったときに最初ショップへ行くわけですよね。道具をそろえなきゃいけないっていうんで、見に行くと「高っけえなあ〜」とビックリするわけですよ。「こんなんが1本こんなにするのかあ」とかっていうと「じゃあ自分で作っちゃえ」ってまずは思うわけですね。「この高い商品使いこなせるだけの腕がないんだから、じゃあまずは作れないものは一番安もん買って、それで、あとは自分で作ってみよう。これなら俺でも作れるんじゃないか」っつって、真似して作ってみるわけですね。
 そうこうしているうちに、家にはですね、もう、ホントに、カナヅチ、ノコギリ、カンナにノミにドライバーにドリルにナントカにって。そういう意味で言うと「オタク」ですね。
 夜はず〜っとそんなこと作ってたりとか、昼間っからもう「ギーッガーッ」なんつって木削ってたりとか、そんなことばっかりをしたりとか。考えてみりゃあ一番最初に買ったギター、弾くより最初にバラしてましたからね(笑)それで、それはまあエレキギターだったんですけど、まずノミ持って、いきなり、やる楽曲も考えずに「あの、ショップでみつけた、シングルコイルよりダブルコイルの方がいいな、ハンバッキングつけちゃおう」なんつって、ちょっとよくわかんない話かもしれませんが、改造を自分でしちゃったりね、「色が気に入らん」その当時はサンバースト買って「カッコイイな」なんつって「ストラトのサンバーストだ」なんて「フェンダーだぜ」なんつってたのが「どうも違う。もっと誰もが持ってないような色はないだろうか」今だったらあるだろうけど。あるかな。なんかポップなムチャクチャ派手なイエローにしちゃったりとかですね。それを「シャーッ」とスプレー缶持ってきて、1週間2週間かけて「乾いたかなー乾いたかなー」ってまた重ね塗り何度も何度もやって。それでまたクリアーを買ってきて、クリアーでサーッと仕上げて、って。ギターの腕「そう言えば弾くの忘れてた〜」みたいな(笑)「おいおいおいおいおい」って。
 なんかモノ作るの好きなんだよね。それとね、オリジナルのまんま持ってるってのがどうもダメみたいですね。オリジナルで美しいものっていうのは、そのままでいいんだけど、なんかこう、ちょっと手を加えたくなるんですよね。これ次男坊体質っていうんですかね。パンツに「3年2組おだゆうじ」って書いてるような。それとは、ま、ちょっと違うかな(笑)
 消しゴムでも鉛筆でも、学校の机、つい彫刻刀で「ガリガリガリガリガリガリガリッ」つって穴あけて、消しゴムのカス「クルクルクル」って丸めて「ポンッ」て弾けるボールペンで「ポンッ」なんつってミニゴルフやってたりとか(笑)そんな頃から始まってたんでしょうかねえ。プラモデル作ったりラジコン作ったりとか、モデルガン削ってみたりとか。そんなガキの頃からのあれがだんだんだんだん形を変えてですね、もっと規模がデカくなってきてる。「そのうち宇宙ロケット作っちゃうんじゃないか」っていう話も(笑)わかんないすけどね。
 え〜まあ、宇宙ロケット作ったらですねえ、こんなところへ行ってみたいな、というわけで、無理矢理ですが(笑)アルバム「SECRET RENDEZ-VOUS」から1曲聴いてもらいましょう。これはね、セルフカバーバージョンなんですけども、オリジナルは「STAY HERE」というアルバムに入ってたんですけど、すべてをちょっと変えて、テンポも変えて歌入れもし直した、セルフカバーバージョンの「Moon」を聴いてください。

Moon

 アルバム「SECRET RENDEZ-VOUS」から、「Moon」を聴いてもらいました。
 この曲、さっきも言いましたけどね、セルフカバーなんですよ。セルフカバー。自分の曲を自分でもう1回、アレンジも全部やり直して、テンポから何から全部変えて、歌入れもし直して。実はオリジナルの方は「STAY HERE」っていうアルバムに入ってるんだけど。これね、ライブとかでやってるうちに「なんかもうちょっとテンポを落として歌いたいなあ」とか、そういうのって出てくるんですよね。で、ちょうどアルバム「SECRET RENDEZ-VOUS」では何曲か、セルフカバーっていうのをしようっていう話をして作ったうちの1曲で、特に「やっぱり、この曲凄くいい曲だな」って自分で思ってたんで、もっとより良く、「あの時の化粧とは違う化粧をしてあげたい」っていう。こういうの「こだわり」っていうのかもしれないんだけど。
 なんかね「こだわり」でいうと、例えば、そうだな。服の話なんかでもそうですけど、僕は基本的に機能性をまず重視します。服に関してとか、身につけるものに関して。ただ飾りだけのものって、ネックレスとかブレスレットとか、そういうのはつけません。つけるとしたら「認識票」になっちゃうでしょうね。それとか、ピルケースをつけるとか。なんか意味のあるものが好きなんですね。
 今日はどんなカッコしてるかって言うと、長袖の白いTシャツで、ちょっとまあ柄が骨のような柄で実はサイクリングっちゅうか、チャリンコの柄が入ってて、それがなんか人間の骨みたいに見えるんですけど。珍しくそんなのを着て、その上にあの大リーグのインディアンズのユニフォームみたいなメッシュのやつを着て。で、下はジーンズに、靴は青島くんが着てたコートの色と同じグリーンのコンバースはいてます。目の前にサングラスもありますけど、これもレンズも自分でこのレンズがいいっつって。
 実は最近なんですけど、30代になってまた賞を戴いたんですよね。それが、笑っちゃう人もいるかもしれないけど、ベストドレッサー賞ってやつで。僕と石原慎太郎さんが2回最多受賞だっていうことで。
 ファッションリーダーじゃん、オレ!(笑)
 なんの話してんでしょうね。すいません。こんな男で。で、そんときに、授賞式が凄い暑くてね。ネクタイをしてったんですけど、あまりにも暑くて「ジャケット、ネクタイなんかしてられるか」っていうくらいの暑さで。ぬいでもぬいでも汗ダラダラで。ハンカチ切らしちゃったんですよね。「男の身だしなみ。すいません」つーんで。その時にパッと思いついたのが、まずホテルの係の人に「タオル、タオルくれ」って目で合図するんですけど、気付いてくんなくてですね(笑)「うわあ〜まいったな〜」って思って。しょうがないから、ネクタイで汗拭いたんですよね。ネクタイ、バアーッてはずして、キュッキュッキュって。ネクタイって確か、ナプキン代わりに昔使ってたところが発展したような話を聞いたことがあって「だから汗拭くのにも使っていいんじゃないか」ってパッと思って。
 ファッションて確かに美しさってあるんだろうけど、僕は「機能性があって初めてのファッションだ」っていう考え方なんで、意味ないチャラチャラとかって好きじゃないんですよ。ネクタイしてても「ネクタイの裏で見えないところでクチ拭いちゃったっていいじゃないか」とか。もしハンカチを切らしてたらね。「かえってハンカチ入れてるほうがポケットが膨らんじゃってやだな〜」とか。だったらあっさり「ネクタイで、潔く、拭いてしまえ」っとかね。そういう(笑)それがいさぎいいかはどうかはわかんないすけども。
 ひとつひとつ、時計でも何でも、そういうものの機能とかっていうのが、自分にあわせていく。それに着られる、とか身につけてるのがイヤじゃなくて、自分がそれを着てることとかそれを身につけてることが嬉しくなるような。そして、それに支配されない。「自分が使ってるんだ。あくまでも」っていうのが好きですね。
 こんなことが、映画やドラマやってて小道具や衣装だとか、芝居でも何でも、歌のアレンジでも。
「今、ここに君はいる」でも「頭はもっと心臓がドクッドクッとなるような感じの心臓の鼓動をイメージしてくれ」とか。陸上競技で、実際見に行ったときに、100mとか短距離始まるときに「ファッ」てみんな静かになって、「Ready?」「Start」「パアーンッ」てなる一瞬のその静寂がね、「フッ」てした間が好きだったりして。それを「曲の中にも取り入れたいな」て。Dメロでね、ちょっと変調するところが「今、ここに君はいる」であったと思うんだけど、そこは最初は音がいろいろガチャガチャ入ってたんだけど「全部抜いてくれ」「もう素にしてくれ」それで「そっから徐々に出てくる歌だけにしてくれ」って。♪〜「いつも答えは誰も知らない わからない」っていうところは「素で行け」って。これは自分に対して、プレッシャー掛けることにもなる、素でもつかどうかっていう問題もあるけど、俺はその「音がないっていうのも音だ」ていう考えがあったりして。なるべく「どうせつけてる音ならやっぱ意味がないとつまらないな」とか「効果的になる方法はないだろうか」とか「みんなをビックリさせたいな」とか「ドキッとさせたい」とか、いろんな思いを含めてアレンジとかそういうのもこだわったりとかね。みんなそれをいつも織田の無茶な注文に応えてくれてありがとう(笑)え〜この場で携わってる人たちにありがとうと言いたいです。
 え〜でもね、聴いてもらわないとしょうがないんで、是非、聴いて欲しいなと。こんなとこにも実はたくさんのこだわりが詰まってるんですって。そういう意味で言うとですね、聴いたことないかな〜。ん〜。アルバムタイトル自体もかなり自分で、まあ思いつきもありますけど、つけた「Hot & Sweet-Sour Soup」というベスト盤のアルバムから。
 今一番新しいアルバムではあるんですけど。これ「Hot & Sour Soup」っていう中国のスープがあるんですけど、これをもじって「辛くて甘くてすっぱくて、恋の味」みたいな、そういう混ぜこぜの、ラブソングを集めた「BEST of LOVE SONG」っていうサブタイトルを書いてます。そういうベスト盤の中から、ここにしか入れなかった、この曲を聴いてもらいたいと思います。「空の向こうまで」のイングリッシュバージョン。どうぞ。

空の向こうまでEnglish Version

 ということで、お送りしてきました、織田裕二のαマンスリーカラーズ、10月の2回目なんですけども、いかがでしたでしょうか。今回はパーソナル篇と題して、織田裕二の近況を(笑)「何をやってんだ、おまえは」という声も聞こえてきそうですが。そんなことも含めて、質問等とかいろんな感想とか、こんなこと実はこの織田裕二にちょっと聞いてみようかな、聞いてみたいななんてことがありましたらですね、是非、FAX、お便り、お待ちしております。え〜、今から、じゃあ、住所とか言いますのでメモの用意はいいでしょうか。

(ここで、お便りのあて先とプレゼントのお知らせ)

さてですね、来週なんですけども「織田裕二フェイバリット・ミュージック」と題してですね、僕の大好きな音楽「実はこんな曲が僕は好きなんです」みたいな音楽のベストセレクションをお届けしようかなーと考えております。
え〜じゃあ、今夜のお別れは、この曲で。「歌えなかったラブ・ソング」のアコースティックバージョンを聴きながらお別れしたいと思います。じゃあまた来週。織田裕二でした。

歌えなかったラブ・ソングAcoustic Version

第1回 10月14日放送(3)