第10話 「凶弾・雨に消えた刑事の涙」


「俺たちの仕事は被疑者を逮捕することだ。」
「上の者には、もう何も言わせない。」






和久の定年退職まであと1週間に迫った日、青島は六本木のモグラから取引を持ちかけられる。和久の追う被疑者の情報と引き換えに手下を海外に逃がせろと言う。そんな取引はダメだと、和久は自分でその男を探しに行くが見つからない。室井にも捜査の要請をするが「青島とモグラの癒着が問題だ」と相手にしない上層部。あせる和久を見かねた青島は、再度モグラの所へ行くが、「俺は誰とも取引はしない」と取引を断る。そんな青島の姿にモグラは情報を和久にタレこむ。
任意で連れてきた男は「警官殺しはフィリピンで知り合ったダチだ」と言う。右頬に傷のある安西という男で、拳銃を何丁も密輸したと言うのだ。
その頃、雪乃と真下は駅前で電話ボックスを壊す不審な男に出くわす。職務質問する真下。雪乃の見守るその前で、真下は閃光と共に崩れ落ちた。慌てて近寄る雪乃が見た男の右頬には傷が・・・・・・。
「真下撃たれる」の報に愕然とする湾岸署。現場に駆けつける和久と青島。拳銃携帯命令と緊急配備が発令される。降りしきる雨の中、黙々と検問を行なう湾岸署の署員たち。
「そばにいてあげてください」という雪乃を病院に残し、和久は捜査へと向かう。
拳銃と防弾チョッキを取りに署に戻った青島に、捜査本部設置に湾岸署へ来た室井は言う。
「上の者にはもう何もいわせない!」
雨の降りしきる中へと、再び捜査に飛び出していく青島。




伝説の第10話。
モグラの提案(取引)に最後まで迷いつつ、情報を書いたカードを「捨て札入れ」へと押し込む青島の姿。
真下の撃たれたシーンの、雪乃の視点からの映像。弾痕を探す青島の眼。雨の中の検問シーン。病院から捜査へ向かう和久の後姿。バックに流れる「Love Somebody Jesus version」。
ただただ、澤田監督の素晴らしい演出に唸るしかない。
本来「踊る」では「禁じ手」の「殉職の匂い」だが、「復讐」ではなく「検問」にしたところはさすがの君塚本。
おかげで視聴率が上がり、映画化が実現したのだから、この「禁じ手」は仕方がないだろう。
オープニングではすみれのお見合いが楽しい。なぜか見合い相手の男性を見つめ、妙な笑いの副署長が不思議。着物姿の素敵なすみれ♪ 着物で回し蹴りは難しかろうに。結婚資金欲しさに強盗をする渡嘉敷勝男の結婚相手とはどんな女性だろうか?
シリーズ中唯一登場の真下パパはさすがにカッコイイ。モグラのカジノのディーラーとして出演しているマキシ・プリーストにも注目。




ただもう感動です。
雪乃さんに「勉強教えたのは僕」と言う真下のいじらしい恋心。叶うどころか撃たれてしまう可哀相な真下。
冒頭の「逮捕するときが危険なんだ」の和久の言葉を身を持って経験する真下くん、哀れ。
「真下撃たれる」の後は、BGMが「Jesus version」に変り、スローモーションになる映像にただ引き込まれます。素晴らしい。
青島からの捜査の依頼の電話に、まず青島の傷の心配をする室井さん。青島の力になりたいのに上層部に阻まれ思うように出来ない悔しさが心に迫まる。
そして、捜査できていれば真下は撃たれなかったかもしれないのにと、悔やむ室井さんの気持ちは察するに余りあります。
そして何より、拳銃を取りに戻った青島くんの表情には言葉もありません・・・・・・。

(最終話)

(ツボインデックス)

「息子は警察官です。覚悟はしていました。」
「最後の現場だから。」