鹿殺し(1993GW)その1(携帯版)
バイクでは2度目の、そして2年ぶりの北海道に向け、深夜の関越道をひた走る。
時はGW、まだまだ寒さが身に凍みる。
赤城高原SAでウドンを食って暖をとり、なぜかトラックの運ちゃんに励まされ・・
越後湯沢あたりでやっと空が白んできたと思ったら、いきなりの通り雨攻撃に身を凍えさせられ・・
それでも難なく新潟港に到着!!
待ち受ける北の大地を走る喜びに比べれば、多少の寒さなんか何でも無いのだ!!!。
もっとも、上越国境を越えたあたりで表示されていた6℃という気温は、道内滞在中には一度たりとも越える事が無かったアリガタイ暖かさであった事を、後にイヤと言う程知る事となる。
●黙走
夜明け前の小樽港に。
船がかなり揺れ、少数精鋭盛り上り部隊はアッサリとお開きになったので睡眠時間は十分なハズだったけど、なじぇだか異常に寝不足感なのだ。
でも待ちに待った北海道だし、上陸しちゃえば気合が出る!
いったるでぇ!!!熱いぜぇ!!!!って・・
明け方の薄明かりの中に浮かび上がる山々は、キッチリと雪に覆われているではないか!!
ホントはゲロ寒いぜぇ・・
天気は晴れ。
羊蹄山の脇を走り抜け、洞爺湖を半周し、地球岬に辿り着いた頃には幾分温かくなってくる。
まあ、カラダが寒さに慣れてきただけだとも言う。
次なる目的地である襟裳岬を目指す。
苫小牧に至る国道を淡々と走るのだが、なんともキモチイイのだ。
「風景が素晴らしい」とか「何気に気分が良い」とか、そういう意味の気持ち良さではない。
バイクで一人で走っているので、ヘンな意味でのキモチヨサでも当然無い。
寝不足であり、何気に暖かみを感じ、適度な交通量でクルマの後ろを等速で、しかも延々と直線区間を走っている・・
そう。
「このままではヤバイ!!アブナイ!!」系のキモチヨサなのだ。
イケンイケンと思い続けるうちに、あたりは出ている訳の無い霧に包まれ・・
「ヴォオ~ン!!!」
激しいクラクションの音!!
一気に現実社会に引き戻される。
うげぇ!!超目の前に迫り来るダンプ!!
見事に反対車線を走っていたのだ。
一気に目が覚める。
死ぬとこだったよう!!
●池田にて
襟裳岬を経由し、本日のお宿である池田YHに。
到着して始めて判ったのだけれど、なんとも風変わりなYHではないか。
・ こじんまりとした、ペンション風。
・ 旅好きの若(?)夫婦がオーナー。しょっちゅう海外に旅立ってしまうため、長期休業に注意。
・ 素泊まり不可。宿泊者全員での夕食タイムを大切にしている。
・ そこで全員で記念撮影。再訪した時に見る楽しみがある。
・ グループでの宿泊不可。身内で固まってしまうから。
などなど。
受け止め方は人それぞれだろうけど、ワタクシは何気に居心地良さを感じたのだ。
この日のライダーは2名で、クルマで来ていたシトに便乗させてもらって十勝川温泉に。
ゴクラクゴクラク!!!
露天風呂でのルービは最高!!。
翌日に待っている不幸の前兆など全く感じる事も無く、シヤワセなひとときは過ぎていくのであった。
運命の朝を迎える。
もちろん本人は本日の不幸な出来事を知るよしも無く、ノンビリと朝のニュースなどを見入る。
『斜里沖で、ロシア船が流氷に閉じ込められている。砕氷船の救助待ち』
な・なんですとぉ?
流氷ですとぉ??
オホーツクの流氷は何度か眺めた事があるけれど、まさかGWの時期に流氷が接岸とは!!
網走あたりの海岸に打ち寄せられた、一塊の流氷に観光バスが群がり
「さぁ!!これが流氷(の残骸)ですよぉ!!」
などと言う光景とは全く違うのだ!!
ロシア船ですぞぉ!!
砕氷船に救助要請ですぞぉ!!
しかも、海岸から良く見える近さらしい。
こりは見物ではないか。
まさか冬の網走名物『がりんこ号』のような、チンケな観光砕氷船が救助に向っている訳ではあるまい。
そんなオフザケな船が向ったら、帝国ロシアが黙っちゃいるまい。
エリツィンだってプリマコフだってラスプーチンだってツタンカーメンだって怒っちゃうぞぉ!!
一部訳が判らないメンツが混じっちゃうほど怒るのだ。
という事は、マトモな砕氷船の出番ですな。
そんな作業風景など、一般庶民を続けている限りめったに見れる物じゃないではないか!!!
進路変更!!
オホーツクを目指すのじゃぁぁぁ!!!
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