流れクズ(1999~2000年末年始・四国)その1(携帯版)


年末年始、高知・桂浜を目指して全国から集まってくるライダー達。
そこにはバイク乗りならではの時空間が存在するのであった。


最悪の年越しでした。
30日の晩に死ぬほど飲みすぎ、生ゴミ状態で迎えた大晦日。
ロクに食い物も食えず、テントに潜り込んで恍惚の時を過ごすのみ。
そんなひとときも長くは続かない。
まどろんでいると、いきなり「がんじ」(以下、G氏)の襲撃

「おらぁ!!なにやっとるんじゃぁ!!飲まんかい!!」

「い・胃がぁ!!勘弁しちくりぃ!!!」

「なめるなよぉ!体育会のノリで行くのじゃぁ!!!」

引きずり出されて地獄宴が続く。

隙を見て、再びテントに逃亡すると、再びG氏

「おらぁ!!命削ってでも飲まんかい!!!」

と、ハナをかんだティッシュがボンボン飛んでくる。



夜。
年超しのカウントダウンには参加したい。
その為にも休養を・・・・

うっ!!テントの方へヒタヒタと近づいてくる足音!!と・止まったぁ!!

「おらぁ!!ふざけるなぁ!起きろぉ!!みね部長も寝てるから起しに行くぞ!」

被害者は、一気に加害者の一味と化し、連れだって峰部長のテントに。

4人用のテントでグッタリしている峰部長、そこへドヤドヤと入り込む。

「起きろぉ!!起きないとここでゲロ吐くぞぉ!!!」

たまらず起きる峰部長、それでも無情にテントの中で屁までコカれる始末!


キャンプ場のすぐ前の砂浜で、午前0時のカウントダウン。
3・2・1・ゼロの途端にカンパイの嵐!
手持ちロケット花火が足元を危なく飛びかう中、2000年という記念すべき年が始まったのであった。

次なるイベントは、お約束の初日の出。
それに備えて寝に入る人々にまみれてコッソリテントに逃亡。
ああ・・とても初日の出を見に行く元気は無いけど、少なくともそれまでは平和に寝れるぞぉ!!!

「おらぁ!!!今夜はオールナイトじゃぁ!!起きんかいっ!!」

や・やっぱり・・・・・

んもぉどーにでもしてっ!!!!!!

当然の様に寝る事を許されない峰部長、開き直りか本性なのか、お下劣トークを連発!!
まぐなと二人でシモネタ夫婦漫才風。
おぞましかぁぁ!!

いきなり、G氏が立ちあがる!!
こ・今度は何が起こるのだぁ!!!

「あのぉ・・・寝てもヨロシイでしょうか・・・・」

にゃ・にゃにおう!!!
キサマ、今更何を言うかぁ!!!

と言いたい気持ちをグッと堪え、

「どーぞどーぞ!!お休み下さい!!!」

これは、G氏さえ寝てしまえば自分も寝れる的なナマヤサシイ意味では無い!

さあ!!
報復攻撃の始まりだぁぁ!!!!

(翌朝、モソモソとテントから顔を出すG氏。その顔中にはオゾマシイ程の落書きが・・・)

G氏の事を極悪非道に書きすぎたので、少しはフォローせねばなるまい。
彼はただ単に凶悪なキャンパーなのでは無い。
ナイスガイなのである。

桂浜の年越しはバイク雑誌にも紹介されている為、誰も知る人の居ないライダーもやって来るのだけど、中には宴の輪の中に入ってこれずに一人で寂しくメシなどを作っているライダーもポツリポツリと居るのである。
G氏は、そんな人達の所を丹念に回って気さくに声を掛けたりして、何とか楽しみを味あわせようとするのである。
また、ヘンなニ~チャンが現れて

「おいっ!!この集まりの主催者は誰だぁ」

と言ってきても、何ら躊躇する事無く

「俺だ!!何の用だ!!!」

などと、とにかく強いのである。

彼は「キャンプ宴会」をこよなく愛し、参加する者をいたわり、妨げる者から体を張って守ったりしてしまうのだ。
いいヤツなのだ。

少しフォローするつもりが誉めすぎてしまったのだ。

そんなG氏も、年を越したあたりでエネルギーを使い果たし、日に日に弱ってきて、寝たり起きたりを繰り返す様になってしまった。
ちょこっと買物に行くにも、そんな状態でのハーレーはツラそうで、キックも弱々しく、排気音が凶悪なだけにいっそうの哀愁をおびてしまうのだ。
苦労して買ってきた栄養ドリンクをテントの前に並べ、ヒクヒクと過ごす午後なのであった。

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