流れクズ(1999~2000年末年始・四国)その2(携帯版)
元旦の朝。
日本中ほとんど晴天だったそうで、ここ桂浜でも水平線からの初日の出となる。
多くの人出、観光客からこきたないキャンパーからゾクから空手寒稽古のオコチャマから、んもぉウジャウジャ居るのである。
寒稽古のオコチャマ達は海に入り、コシまで漬かってツキを繰り返す。
果たして、初日の出と共にやることによって何の効果が有るのか判らないけど、頑張っているのである。
指導者のオトナは海に入らずに口だけで指導し、こちらは頑張って無いのである。
年末年始のセレモニーが終わった後は、とにかく食道楽なのだ。
本格的な料理から怪しい残材料料理まで、バイキングの様に色々と楽しめるのである。
ここで、怪しい男が登場!!
見かけはアウトロー風、しゃべるとオタッキー風なその男、とにかくウルサイのだ。
火加減・塩加減・切り方から鍋のフタを開けるタイミングから・・・
とにかく口を出さずには居られない!!!
しかも妙に指示が細かいのだ。
そして、自分では一切何もやらないのである。
いつしか彼は、人々から「口場六三郎先生」と呼ばれ、
「口場先生!!鍋のフタは何本の指で持てば良いのでしょうか?」
「口場先生!!ハシの角度はどうしましょう?」
などとおちょくられても、本人は嬉しげに、いちいち指示を出し続けるのであった。
おそるべし!口場六三郎!!
彼の旅は、まだまだ50日程続くそうである。
去年は飲んで飲まされて全面的敗北に終わったショッカー軍団、今年は強力なのだ。
「イーッ!!頼むから寝かせてくれぇ!!!」
などとショッカーの声で逃げ惑っていたのがウソの様に、気合十分な防御体制!!
何やら秘策が有るらしいので探ってみると・・・・
な・何と、酒の合間にポカリスエットを暖めたヤツを飲んでいるではないか!
「ポカリはぬるめの燗がいい!!」
と自慢げに叫ぶのはいいのだけれど、それがあぶったイカや無口な女に合うのかどおかは不明である。
ぼんやり灯ったアカリの場合も言うまでも無い。
その他モロモロ、スルドいキャラクターの連中と過ごす日々を重ねる内に、帰りの船が出る日は確実にやって来るのである。
フェリーの出港時刻は夜8時。
昼過ぎに、いったん港までキャンセル待ちカードをもらいに行く。
その途中、無料の渡し船・高知県営フェリーに乗る。
フェリーと言っても、クルマ4台で満員になってしまうサイズで、なかなかアジアしているのだ。
姿を見せない操縦係の他に、30代・50代の男二人の甲板員。
お互いに無言でそれぞれの役割をこなしている。
バイクで乗りいれると
「そっち!!」
という風に、無言で指を指す。
何の固定もしないまま、バイクにまたがったまま出港を待つ。
他にクルマ1台、チャリ3台。
乗務員の方が多い航海も多いのであろう。
もっとも航海という程の事も無く、幅が広いと言えども川を渡るだけだから、あっさりと到着してしまう。
降り際に30代に会釈をすると、やはり無言でペコリと軽く頭を下げ返してきた。
ノンビリとした反面、大型船の行きかう航路を横ぎりながら行き来するチビフェリー、いつまでも頑張ってほしいものである。
手に入れたキャンセルナンバーは1番!!
朝一でターミナルに行った去年が7番であったのに、今年はやはり旅行客が少ないのだろうか。
まあ、ひと安心。
安心したあとは桂浜に戻り、再びルービ!ルービ!ルービ!!
ついに今度こそ、桂浜を去る時間が迫る。
薪が尽き、猛猛と白煙をあげる生木の焚き火に見送られながら、再びチビフェリーに。
同じバイクが再び乗って来た事にはまったく無関心な甲板員達は、先程と同じ動作を淡々とくり返し、同じ会釈で見送りを受ける。
さすがにキャンセル待ち1番、アッサリと乗船となる。
しかし、2番が乗船する事は無かった。
混んでいた訳ではない。
キャンセル待ちは1人しか居なかったのだ。
唯一のキャンセル待ち乗船客となり、あまりにも空きすぎていた為か、期待したドライバールームには入れてもらえず、2等タコ部屋に落ち着く。
行きと同様にバイク自体が少なく、数少ないライダー達もどこに居るのか判らない状態である。
今度は寂しさを感じる事も無く、何やら穏やかな気持ちで一人ルービを開ける。
これで正月も終わり。
全国に散ってしまったツワモノ達にカンパイ!!!!
1へ
バイク旅へ
「週末の放浪者」携帯版TOPへ
「週末の放浪者」PC版