湯あがりウエディングその1(携帯版)


●事始め
世間一般的には、結婚したら披露宴を行うのがフツーである。
しかし、一昔前の様な「スモーク炊いて新郎新婦がゴンドラで・・・」などというのは問題外としても、そこそこの形態の披露宴でさえ相当こっぱずかしい物である。
ハッキリ言って、新郎新婦は見世物以外の何者でもない!!
特に新郎にとっては、人生最大の耐え難い一時なのだ。
そんなのやってられないよう!!
でも、花嫁姿を夢見ている女性だって数多く居るのだ。
披露宴を強引に却下した結果、
「いいの。あなたと一緒になれるだけでシヤワセ!!何も要らない!!」
などという新婦に限って、のちのちに
「あたしゃ花嫁衣裳も着せてもらえなかった!!くどくどくどくど・・」
と豹変し、ダンナはアタマがあがらなくなってしまう例も多々あるそうだ。
幸い、我が妻・朱蘭様は
「披露宴なんてコッパズカシくてイヤ!!」
派なのだ。
「文金高島田などを無理矢理着させられようものなら、1分以内にゲロを吐いちゃう」
とまで言い切っている。
それなら話は簡単なのだけれど・・・・
こういった場を設けなかったバヤイ、挨拶回りがタイヘンだとの指摘もある。
う~む。

協議の結果、方針が決まる。
・ 当人達も参列者も金銭的負担を最小限にする為に、会費制で行う。
・ 親族やカイシャのオエライさん達は呼ばない。
・ ゲームやアトラクションなどは行わず、只のお披露目宴会とする。
・ 全て当人達で手配・企画する。

いわゆる、披露宴二次会レベルに近い性格ですな。

●会場選び
安くあげる為にはキャンプ場でとの考えもあったけれど、それではバイク系以外の皆様が参加しにくいであろう。
雰囲気的にも、内山牧場での突発結婚発表の時と何ら変わらなくなってしまうし。
まあ、居酒屋貸し切りが妥当ですかな・・・
参加人数をザックリと予想してみると、百人程度には届きそうである。
何軒かの居酒屋の宴会資料を見てみたのだけれど、座敷にこだわるとせいぜい80人迄というのが殆どではないか!!
でも、やっぱり座敷の雰囲気が良いと思うのだ。
宴たけなわになる頃、自由に席を移動出来るのが座敷の魅力ではないか!!!。
困った時のネット検索!!さっそく『宴会』『座敷』『100人』『都内』などなどの諸条件を入力すると・・・
『該当するデータは1件です』
どりどり?・・・おおっ!!!こ・こりは!!!!
『東京健康ランド』
な・何と!!!
想像の限界を超えた結果に、思わず夫婦でのけぞる。
「これも面白いかも!!さっそく下見に行こう!!!」
あいかわらず、BAKAな夫婦なのであった。

我々ライダーにとっては、『クズの殿堂』とまで言われる健康ランド。
果してこの様な場所で披露宴モドキが出来るのだろうか?
などと考えながらも到着。
アロハやムームーをピッチリと着込んだオジオバ達を掻き分けながらフロントに。
さっそく宴会部屋を見せてもらう。
う~む、いわゆる「風呂上がりのクズり広間」とは別に、アロハムームー軍団から隔離された一角に立派な宴会部屋が!!!
大広間二つを繋げると150人は入れるとのこと。
酒を飲んで、風呂に入って、再び一般宴会場で飲んで、また風呂に入って、そのままゴロ寝!!
これが同じ場所で出来るのだ!!
これこそクズの真髄!これぞ宴のフルコース!!
それぞれの部屋の名前が『阿蘇』『白根』と言うのも好ましい。
なにしろ、我々二人が始めて出会ったのが九州からの帰りのフェリー。
そして再会したのが群馬でのキャンプ。偶然とは言え、何とも我々にふさわしいネーミングではないか!!!
殆どコジツケ的ながらもムリヤリ感激し・・・・・
こうして、アッサリと会場が決定されたのであった。

●衣装
結局、朱蘭様はウエディングドレスを着る事に。
「あたし、ウエディングドレスを着るのが、子供の頃からの夢だったの!」
などという、可愛げのある理由では無い事は前記の通り。
新婦がちったぁマトモなナリでもお披露目しなければ、ホンットに只の宴会になってしまうので、一種のケジメをつけようと言う事なのであった。
従って、高級ウエディングドレスなんかにゃ用は無かったのだけれど・・・・
タウンページを見ながら、貸衣装屋に次々とデンワ。
う~む・・・・どこも試着予約で一杯だぁ!
当日にイキナリじゃダメらしい。
「16時頃なら試着できますよぉ」
おおっ!やっと一軒目をゲット!!
しかし16時じゃ時間が有りすぎる。
一応予約し、更に別の店にデンワ。
「どうぞおいでください。すぐに着れますよぉ」
ラッキー!!!
さっそく乃木坂のA店まで、TWに2ケツで向う。

なにやら場違いな感じのタンデムで六本木界隈を通過し、A店に到着。
うっ!何か嫌な予感!!
やたらと店の雰囲気が高級すぎるのだ。
どっかのお嬢様方に混じって、オロオロとメットを手に奥に引きずり込まれる。
「あのぉ・・・・・一番安いのを・・・」
「はいっ!承知いたしました。こちらなら大変リーズナブルで17万・・・」
最後まで聞かずに、店を逃亡!!!!
恐る恐る、先程予約した店にもデンワで値段を聞いてみる。
「・・・・・。あのぉ、やめときますぅ・・・・」
やっぱり、案の定の値段だったのだ。


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