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ファミキャンがゆく(2000秋・山梨)
秋というのは、あまりヘンな場所に行かない限りは暑くも寒くも無く、キャンプツーリングに最適なのがアリガタい。
また、ハッピーマンデー政策とかいうモノのお陰で、ドドンドドォンと3連休が連発するのも重ねてアリガタい。
当然ながらこの時期は、まるで何かを覚えてしまったサルのように、毎週のようにバイクにデカ荷物をくくりつけて出掛ける日々・・・・・
だったのだけれど、今年は事情が違っていたのだ。
思い起こせばこの年の6月。
豊田組の内山牧場キャンプの場で、朱蘭さまとのゲリラ的な入籍を行って以来、まったくキャンプが出来ないまま夏が過ぎ去ってしまっていた。
ケッコンに伴う引越し、披露宴モドキ及びその準備、お盆休みブットビも含む2度の海外出張・・・・
そんなモノドモが、テントを張らしてくれなかったのだ。
まあ、どれも大事なおシゴトであり、それはそれで仕方がない。
しかし、朱蘭さまだけはキッチリと北海道ツーリングに行っているのだから悔しいではないか。
過ぎ去った夏をウダウダ言っていても仕方がなく、何はともあれ秋の行楽シーズンの3連休、これを楽しまなければバチが当たってしまう。
それならば、夫婦となってからは始めてのキャンプツーリングを!
と言いたいところだけれど・・・・・
残念ながらソレは出来ない。
なにしろ、朱蘭さまは妊婦になってしまったのだ。
アタリマエすぎる事ながら、行楽シーズンの3連休などという条件は、全ての民に公平に訪れてくるのである。
賢者のフエの音に誘われて踊りながらついて行くネズミの群れのように、そんなクルマで高速道路は大渋滞。
こんな時、よく言われるのが
「バイクだと、渋滞が関係無いから良いねぇ」
なんてセリフだ。
しかし、ソレは間違いなのだ。
確かにスリヌケ走行によって、クルマよりは時間の短縮が出来る。
ただしソレは「クルマよりもマシ」と言うだけの事で、それなりに余計な時間は掛かる。
また、ズラっと並んだクルマから排出される排気ガスの陽炎の中を延々と走る事になり、コレはカラダに良いハズが無い。
ネズミの群れは海に沈んで総員溺死の運命だったと記憶しているけれど、バイクの群れは窒素酸化物の川に溺れる事になる。
でも我が家は大丈夫!!
結局、『チームぽっぽや』主催のキャンプツーリングに、クルマで参加する事になったのだ。
心ならずも、夫婦初のキャンプツーリングは、初のファミリーキャンプに変わってしまった。
バイクと違って、マドを閉めればクリンな空気、雨だって降るなら降りやがれ!
とは言え、渋滞の洗礼は真正面から受けなければならない。
排気ガスを浴びるバイクもヒサンだけれど、ガスを出す側だって長時間の軟禁状態はヒサンだ。
9時に談合坂に集合しているバイク部隊からの情報によれば、調布から渋滞30キロだそうな。
「ニポン人というのはセッカチなのだ。せっかくのリゾート、目をむいて早朝から繰り出す事は無い!」
などと開き直って、ノンビリと11時過ぎに我が家を出てみれば・・・・・
おおっ! 案の定、渋滞表示が減っている。
更に、進めば進むほど渋滞が減っていくではないか。
石川PAでメシなどを食っているうちに更に減る渋滞の距離。
それでも15キロ程は残っていたけれど、そのくらいなら、まあ仕方ない。
小淵沢ICで高速道路を降り、R20を進む。
武川の街からキャンプ場までは10キロ程の山道で、半分位はダートなのだ。
ここで買い出しをしなければなるまい。
そこいらへんの零細スーパーで平和に買い物をする、我らがファミキャン夫妻。
そこに現れたのは・・・・・
おおっ! バッチいバイクが4台!
バッチい1号:PapaXR(某人の遺品・怨念仕様)
バッチい2号:Mamaディグリー(初期型・化石仕様)
バッチい3号:よっちージェベル(ミラー両方ついてる仕様)
バッチい4号:べんちゃんKLX(大型・でくのぼー仕様)
「ケッ。クルマなんかで楽しやがって」
「とっとと、我々の食い物を積み込みやがれ!」
「おいっ、酒も忘れるなよぉ!」
お上品な我が夫婦、いきなり現れた下品な集団に取り囲まれる。
バイクの人達ってコワいよう!!
小石を飛ばしながら前方に消えて行ったバイクに続き、ノタノタと夕暮れのダートを登る。
フラットダートとは言え、なんだか対向車も多く、クルマで走ると中々シンドいのだ。
やっとの事でキャンプ場に到着すれば、すでにアタリは闇につつまれてしまった。
駐車場からサイトまでの距離は数十メートルとは言え、暗闇の砂利道の荷物運びはカッタルイ。
バイクのように荷物を積んだままコッソリとサイトまで行っちゃう訳にも行かず、なにしろファミキャンなのでヤタラと荷物が多い。
しかも朱蘭さまは妊婦だし、一人で全部運ばねばならないのだ。
おおっ!
先着のバイク部隊が、テキパキと荷降ろしを手伝ってくれるではないか。
ありがたやぁ!!!
しかしコレは、善意100%の行動ではない。
ルービなどの酒類がクルマに積まれていたから以外の理由は無いのだろう。
何はともあれ、BBQの始まりはじまりぃぃ!
なんってったってファミキャン、BBQコンロ持参はアタリマエ。
椅子だって肘掛つきなのだ。
「やあ、バイクのキミタチ、地べたなんかに座ってちゃいけないよ!」
などとエバリながら宴会がスタートする。
炭火で焼きながら食うってのは、なんでこんなにウマいのだろうか。
肉はモチロンの事、シイタケをあぶってチョロチョロっと醤油を垂らしただけで、何とも言えないマロヤカな味わいで、コレはルービが進む進む。
「ホラッ、そっちのシイタケ、もう食べられるよ。」
「う・うん・・・・・」
なぜだか、返事ばかりでシイタケを食べようとしないPAPA。
まあ、食べたくないなら、その分を食べたいヤツが食っちゃうってのが食料の有効活用なのだけれど・・・・
世の中、リクツどおりにはいかない事もあるのだ。
人間、弱みを見せたら終わりで、陰湿なイジメが容赦なくPAPAを襲う。
「シイタケと肉は抱き合わせ販売です。シイタケを食べなきゃ、肉もダメ」
口々に責められ、弱々しく焦げかけた玉ねぎなどをつつくPapaであった。
(後に、よっちーもシイタケが食えない事が判明!!同じ運命をたどる)
しかし、Papaに対するイジメは、コレだけでは済まなかった。
突如泥酔したベンちゃんが、おもむろにウイークエンダーのテーマを口ずさみながら
「クヌギ家のヒミツ、その1ぃぃ!!!!」
などと、いたいけな家庭のプライバシーを暴露する暴挙に出た。
クヌギ家とは言え、責められているのはPapa一人。
先月のキャンプの際、Mamaをクルマで送迎したべんちゃん、Mamaから仕入れたPAPAの悪行を(グチを)、片っ端からチクリ始めたのであった。
これにはたまらずテントに逃げ込むPapa。
こうして夜は更け・・・・・
翌日の林道バトルへの遺恨は、否が応でも高まっていくのであった。
まだまだ爆睡中の朱蘭様を横目に、久々のテントからの起床。
サワヤカな朝なのだ。
他には誰も起きてこないうちに、一人で朝るーび!!
コレは何気に好きなシュチュエーションなのだけれども・・・・・・・
この日はネボスケばっかりで、いつまで経っても誰一人姿を見せず、あまりにもヒマすぎる。
よぉしっ、ここでイッパツ良い所を見せとくか。
全員の食器類を洗いに炊事場に向う。
我ながら働き者ぉ!
しかも今回はファミキャンなのだ。
普段はめったに使わない(もしくは、誰かのをコッソリ使う。要するに持参する気が無いだけ)洗剤だって使っちゃうのだ。
備え付けのスポンジにタップリと洗剤をつけ、洗ったるでぇ。
んにゃ???
確かに汚れは落ちるけど、じぇんじぇん泡立たないのはなじぇ??
今日日のキャンプ用洗剤ってこうなの? コレは地球に優しいの?
食器類は見事にピカピカ・・・・というよりも、なじぇかベトベトに・・・・
おうっ! こ・こりは洗剤じゃねぇ! 食用油だぁぁぁ!!!
やりつけない事をしたもんだから、食器に不要なワックス掛けを施し、地球にも厳しくしてしまったではないか!
だ・誰も見ていないし・・・・ええいっ、洗い物終了!!!!
この日のモーニングコーヒー、お味はいかがでした?皆様・・・
林道バトルの出発準備に勤しむ2輪部隊を尻目に、我らファミキャン夫婦はクルマでお出かけで、一足先にダートの山道を下る。
サワヤカな鳥のさえずりに混じって、後方から「ガッチャーン!!パリン!!」などと聞こえたのは気のせい?
曇り空の高原を走り抜け、クルマは富士見町のソバ屋に到着。
ここはフツーにソバを食うだけではなく、そば打ち体験をさせてくれるのだ。
ズラリと並んだそば打ち台では、既に数組の客がチャレンジしている最中だった。
お揃いのピンクのエプロンを着せられ、ワクワクと講師の登場を待つ。
「はぁい!始めましょうかぁ」
やってきたのは、漬り過ぎたナスのような、妙にしなびたオバチャンだった。
おもむろに、ザルに乗せられたヤギのフンの様な物体を示して
「これがソバの実ですよぉ。今年ももうすぐ収穫だわねぇ」
などとシナビ笑顔を浮かべる。
にゃ・にゃにおう??すると、このソバは去年のかい??
10月は新ソバの季節と聞いていたのに、どうやらフライングしてしまったようだ。
トホホホホ・・・・・・今が一番ソバがマズい時期だったのね・・・
「はいっ!!こうやって、こうやって、こうよ!やってみて!!」
ナスおばちゃんの講義が始まる。
しかし講義といっても、肝心な作業はすべておばちゃんがやってしまうのだ。
「はいっ!!こうやって、あと10分ほどコネてね!!」
単純労働な部分のみを我々にやらせるナスおばちゃん。
料理番組の場面で
「これを○分間○○したのが、こちらです!!」
と省略される部分が、我が家の担当らしい。
「次は***して****してね」
えっ?なんですかぁ???。
独り言の様に小声でブツブツとつぶやく漬り過ぎナスおばちゃん、ヌカのような声でサッパリ聞こえない。
仕方が無いのでテキトーに麺棒で生地を伸ばすうちに、切れ目が入ってしまった。
コレはマズい。
伸ばせば伸ばすほど、切れ目が巨大化していくのだ。
「あらぁ!!失敗しちゃったのぉ!!惜しかったわねぇ・・」
こりはアタシがミスった訳じゃ無いのよお! と周りにアピールするが如く、こういう時だけ妙に大声でハキハキとする、ナスおばちゃんなのであった。
何はともあれ、ソバは完成。
さっそく試食してみると・・・・・
キッチリとコシがあり、なかなかンマイではないか。
コレは日本酒にもピッタシと合うに違いない。
しかし・・・
このソバ屋は町営で、クルマでしか来れない位置関係なだけに、酒類は置いてない。
でも、そんな事は予想していたのだ。
事前にコンビニで買ってきた生酒を取り出し、コッソリと飲む。
ぶひょひょひょひょお! んまいよう!
打ったソバは4人前。
この打ち立ての美味なソバをキャンプ場に持ち帰れば、今頃ダートを走っているハズのバイク部隊にも賞味して頂ける事であろう。
しかし窓の外は、雨の降り出しが時間の問題とも思われるほどのドンヨリとした曇り空。
「ドロドロになって戻って来る皆様には、ンマいソバなど似合わない」
うなずき合いながら、すっかりとソバを食い尽くしてしまう、我らがファミキャン夫婦なのであった。
念願のソバ打ちを終え、温泉にも入っちゃったファミキャン夫婦、もう思い残す事も無く、後はバイクチームのサポートに徹するのみ。
晩飯の買い出しの為に、富士見のAコープに向う。
皆様のリクエストはトン汁。
食材を選んで、次々と買い物篭に投入していると・・・・・
平然とシイタケをカゴに放り込む朱蘭さまの姿にダブって、Papaとヨッチーの笑顔が目に浮かぶ。
プププププププ!!!人生ってヤツは、キビシイのだ。
おおっ、こんな山の中のスーパーだというのに、「北海道産・ホッケ」を安売りしているではないか!
そ・そういえば・・・・・・
今回の参加メンバーのうち、この夏の北海道に行っていないのはワタクシだけなのだ。
悔しいよう。
迷わずホッケも購入。
ちったぁ北海道の気分を味わうぞぉ!!
ケケケケケ!!!人生ってヤツは、リカバリーがきく物なのだ。
そうだ、木炭も買わねばなるまい。
何しろ思わぬ寒さで、我が家から持ち込んだ分は、昨夜のうちに暖房用として使い果してしまっていたのだ。
売り場には見当たらなかったけど、レジのねえちゃんに聞いてみる。
「有りますよお。でも、ちょっと量が多くなっちゃいますけど」
まあ、余ったら我が家でも使うし、今夜も冷えるだろうから多少は余計に買っといた方が良いであろう。
「買いますぅ!」
「そうですか。1袋が15Kgですよお?」
「買えないですぅ!」
田舎の商店は軒並み日曜休みで、コンビニを回ったけれども木炭の姿は見えない。
どうやら、ここいらのキャンプシーズンは終ってしまったらしい。
一夜のキャンプを過す程度の木炭は、遠い夏の日の思い出と共に消え去っていたのだ。
こりは困った。
セブンイレブンもローソンもダメ。
地元の中小スーパーもダメ。
最後の最後、キャンプ場への山道に入る直前のコンビニである、○○○゛○○゛○○ーに。
おおっ!明らかに売れ残りを発見!
流石に、大手とはいえ弱小コンビニならではの出来事なのであった。
木炭探しで手間取り、山道に入る前から真っ暗闇になってしまった。
雨は降ってはいないものの、少し霧まで出てきて、とにかくキケンがアブナい山道をオロオロと走る。
ふと気がつけば、朱蘭さまのヨメイリ道具であるこのクルマは、さすがにウインタースポーツ専用車だっただけに訳の判らないフォグランプの類がジャカスカ付いているではないか。
こりは明るい! 見やすいよう!
と、気が付いたのは、キャンプ場の200メートル手前だったのだからマヌケなのだ。
とにかくとにかく、キャンプ場に到着。
我が家が全ての買出しを任されていたので、メシ&ルービをオアズケくらっているであろうバイクチームは、さぞかし餓えと乾きに苦しんでおいでであろうか。
イソイソとサイトに向うと・・・・
まだ林道チームの姿は無く、Mamaが一人でお留守番をしていた。
けな気に薪を集め、キッチリと焚き火までおこしてあるではないか!さすがに地位ナンバー1。
しかし、働く量もナンバー1なのであった。
これは喜ぶべきことか??
などと考えているうちに、やがて林道チームも帰還。
バイク3台、ミラーは5個。プププププ!!
散ってしまったミラーのヌシを一通りいじめた後は、慌しく晩飯なのだ。
さっそくホッケを焼く。
ぐ・ぐぇぇぇ!!!殺人的な旨さ!!!
思い起こせば去年の北海道。
デマカセ的な 腹黒おぐらん の口車に乗り、無謀にも『ホッケのチャンチャン焼き』なる食べ物造りにチャレンジしたおぐらん、はたぼー、ワタクシの3名。
新鮮なホッケは、この世の物とは思えない食い物と化して、霧多布の海に沈んだのであった。
嗚呼、今から思えば何とも勿体無い事をした事か。
追記:
極悪な食い物を我々に食わせた おぐらんは、反省するどころか・・・・・
その後、寒さのあまり宴会場として解放されたテント(はたぼー所有)の中で屁をこく始末。
極悪おぐらん、恐ろしかぁ!!さすが元祖腹黒だぁ!
腹黒はたぼーも真っ青になる一夜だったのだ。
恐ろしい事だ。
アウシュビッツも真っ青。
哀れホッケは、影も形も無くなってしまった。
当然、アタマもホネもシッポもである。
そしてトン汁。
余った汁で『ほうとう』を作る前提である為に、最初からカボチャも投入されている。
もちろん、シイタケも煮込まれている。
「こんなもの食えるか!!」
シイタケを見苦しくはじき出すPapa。
「・・・・・・」
弱々しく、無言でシイタケをつっつくヨッチー。
しかし・・・・・
あまりこの男を追い込んではいけない。
おとなしいフリをしているけれど、テントに火を放つ事など平気でしでかす危険人物なのであった。
一息ついた食後のひととき。
焚き火を囲んでの、本日の反省会(という名のクズリ)の最中、林道攻撃チームの報告によると
「今日、南アルプス沿いの道で、はたぼーと遭遇した!!!」
そうなのだ。
なにやら怪しげな理由をつけて、キャンプ参加を拒絶したはたぼー、いったいどこで何をしていたというのだ。
「ヘンなオネーチャンと登山をしていたらしい。」
にゃ・にゃにおう????
こりは本人から事情を説明してもらおうじゃねえかぁ。
で?それから?
「今日は家に帰って、明日、雨が降ってなければココに来るってさ」
な・なんと、そりはアタマワルすぎる。
殆どUターンではないか!
ホントに、はたぼーは来る気があるのだろうか??
そりとも、相変わらずのごまかし腹黒発言なのだろうか・・・
翌朝、雨である。
かなりの雨足である。
「なじぇだぁ!史上最強の雨男・ぽっぽやは来ていないというのに!」
テントの中で聞く雨音、これは強力な子守り歌なのだ。
案の定、誰一人起きてくる気配を見せない。
しかし、これに打ち勝つ強力な目覚まし、『尿意』に追い立てられるようにテントを出る。
おおっ!!なんてこったい!!
雨に打たれながら、一人で食器を洗う男の姿が。
べんちゃん! えらいっ、偉すぎる!!
初日の晩にチクリ星人と化し、Papaを陥れた償いか?
それとも、骨の髄まで染み込んだ下僕体質の成せる技なのか!
なにはともあれ、偉い行動には違いない。
ゴホウビが必用である。
起き出してきた朱蘭さまも加え、3人で『フライングヤキソバ』(寝ているヤツを無視し、コッソリと作って食い尽くしてしまう、証拠隠滅タイプのヤキソバ)などを作り、食い始めた正にその時!
で・でたぁ!!!はたぼーだぁ!!!!!
ビンボー色のカッパを着、被ったままのヘルメットから雫をダラダラと垂らし、雨で箱がボロボロになったルービ半ダースを抱えながらサイトへの道をヨタヨタと登って来るではないか!
よくぞ、このゲロ雨の中をやってきた!
エライッ。偉すぎる!
一気にヒーローと化し、ヤキソバや残ほうとうなどでもてなされる、ヌレネズミのはたぼー。
やがてノソノソと起き出してくる面々も、はたぼーの姿を見るや、口々に褒め称える。
「良く来たぁ!」
「タイヘンだったねぇ!」
ついさっきまでのヒーロー・べんちゃんの立場は、一気に一般ピーポーに成り下がっている。
よくよく考えれば、実際に役に立っていたのはベンちゃんであり、はたぼー登場の意味の無さには、誰一人気がつかないのであった。