てっちゃん北へ(1996~7年末年始・襟裳岬)その1(携帯版)

とある中堅観光地に、バイク好きな管理人のYHが有るそうな。
その管理人を中心に人の輪が出来、バイク系の企画なども行い、なかなかに盛り上がっているらしい。
そんなウワサを聞き、さっそくそこへ行ってみると・・・
様子がおかしい。
YH内の壁には電車や機関車のパネル。
フロントの棚に飾られた鉄道模型の数々。
な・なじぇ?

「バイク?知るかっ。そりは前の管理人だ。オリは鉄ちゃんだぁ!!」

しかし、目指す道は違えども、お互いに旅行好きには違いない。
なかなか面白い管理人だったので、数ヶ月後に再び、フラリと訪ねてみると・・・
おおっ!!
『てっちゃん大会』をまさに開催中であった。
それは要するに、常連のてっちゃんを集め、みんなで盛り上がろうと言う企画の日だったのだ。
館内にウジャウジャと溢れる鉄ちゃん達・・・・
今まで経験した事が無いような、フシギなジャンルの凄まじいパワーだぁ!!


この管理人、YHの集客アップを目論んで、今だにやってくるライダー達に目を付けた。
そう、『ライダーの集い』なる企画をブチあげたのだ。
管理人はバイクに乗らないので、バイクを引き連れてあちこち走り回る訳にはいかない。
そこで、
「前夜にドンチャン騒ぎ」
「翌日、YHから20Km程のダム湖まで移動し、湖畔で皆でお昼ゴハン」
なる計画を立てたのだ。
非常に盛り上り、いよいよダム湖に到着するまでは良かったのだけど・・・・
軽自動車で先導する管理人はバイクのバの字も知らないものだから、コース設定がマズかった。
湖畔に降りる道は急な下りのダート。
ヘアピンカーブまでもある。
ひどいガレという程ではなく、オフ車なら余裕なのだけど・・
バタバタ倒れるオン車のオネーチャン達。
曲がりきれずに完全ガレバに入り込み、身動き出来なくなるFJ1200&BMW。
唖然とする管理人。
「バイクって、こういう道は駄目なのぉ???」


盛況だったので、懲りずに「第2回ライダーの集い」を企画する管理人。
少しは反省し、どこからともなく半分腐ったチャッピーといふチンケな原付を借りて来て、みずからが先導してYHの裏山の展望台を目指す。
今度の道は舗装路なのだけれど・・・・
とにかく超・急な登りなのだ。
オヤジのチャッピーは喘ぎに喘ぎ、時速5Kmでトロトロ登る。
続くライダー達は半クラッチの嵐!!!!
遂に握力が衰え、薮に突っ込むクラブマン。
なじぇか前触れも無いまま立ちゴケするTTR。
唖然とするオヤジ。
「なんでぇ??どうすりゃいいのぉ??」


それから、月日が流れて1996年の冬。
すでにYHを辞めてクニに帰っていた、あの元管理人の鉄ちゃんオヤジからお誘いがあった。
「年末年始を襟裳岬で過さないかぁ???」
この年、F2小湊でアタック中に崖から落ち、夏は入院生活を送ってしまったワタクシは北海道に飢えていた。
「行く行く!!!」
二つ返事であった。

新幹線などを乗り継ぎ、日本海側の街にあるオヤジ邸に到着し、翌朝の新潟⇒小樽フェリーに備える。
誰かがクルマを出す訳では無く、ただ単に安いと言う理由でフェリーを選んだのだ。
フェリーを降りてからの全行程はJRとバスで、メンバーはオヤジ夫妻・ライダー3人・鉄ちゃん2人の計7名。
すでに全員がオヤジ邸に集結していて、怪しい鉄道クイズなどに苦悩するうちに夜は更ける。


なんだかんだで船の中。
冬の日本海ならではの荒波である。
オヤジ夫妻はアッサリとグロッキーになり、ベッドの中でマグロ化する。
残ったメンツで卓球を始める。
揺れるフェリーの中での卓球、体が思うように動かなくて、それはそれで面白いのだ。
唐突に、オヤジがヨタヨタ現れる。
サリーちゃんのパパのような奇怪なネグセのアタマ!アル中の様な足取り。
このオヤジ、人が楽しんでいると自分も参加しなくては気が済まない性格なのだ。
「オリにもやらせろぉ・・・・」
しかし、5分もしないうちに・・・テレビドラマの妊婦の様に
「ウッ!!」
と一言。流し場にしがみつき、哀愁の後ろ姿を見せるオヤジなのであった。


早朝、小樽港に到着。始発の列車まではかなりの時間がある。
フェリーターミナルでタクシーに分乗し、先導するオヤジ号についていけば・・・・・・・
到着したのは小樽駅ではなくて、その隣の南小樽駅。
「なんで?」
「こっちの方が港から近いのだ。それに、ここからキップを買った方が、一駅の違いだけれど○○円も安い」
そりはそうかも知れないけれど・・・・
始発を待つ間、待合室さえも開いていないチンケな駅での吹き曝し寒冷地獄!
カンベンしとくれよう!!!

列車を乗り継ぎ乗り継ぎ、襟裳岬への入口である様似駅を目指す。
ただただボーっと乗ってるだけの、死ぬ程ヒマな時間なのだ。
てっちゃん達は、相変わらず鉄道クイズ。
その一例を挙げると
「隣りの駅が、5個有る駅を挙げよ」
すかさず鉄ちゃんの答えが飛び交う。
「大宮」「赤羽」「西船橋」「岡山」・・・・
ヒマなので参加する。
「新宿はもっと有るよ」
「ダメ!!JRじゃなきゃ認めない!!」
「な・なんじゃそら!!そりじゃ東京は?」
「ダメ!!新幹線は別!!」
色々ムツカシイのであった。
それでいて、
「う~む。拝島もそうだと言うのは感動的だ!!」
意味が判らない!!!
な・なんか異次元な世界を感じるのだ。

そんな事をしているうちに、終点の様似駅に到着。
ここからはバス。
それぞれの世界を持つ人々を乗せて、バスは何も無い岬を目指してひた走るのであった。


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