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南国ワーク(2000夏・シンガポール)・前編
結婚お披露目の宴のコーフンも覚めやらぬうちに、バタバタと慌ただしく海外を目指すのだ。
こりが新婚旅行だったらシヤワセなんだけど、仕事だから当然一人ぼっち。
正直に言ってサミシイではないか!!
朝、見送ってくれるカミさんが涙ぐんじゃったりするもんだから、妙にシンミリと出かけてきたけれど・・・・・
ここは一発!気合で乗りきらねばなるまい!!!
海外は超久しぶり。
5〜6年振りだろうか。
最後に行ったのも、今回と同じくシンガポールだったのだ。
その時は余裕をこいてマレーシアに歩いて渡ったりしたけれど、ツレが居たからなぁ・・・・・
今回はまったく一人!!
英語もロクにしゃべれないというのに。
まあ、何とかなるだろう。
海外で一番苦労するのは食い物ですな。
シンガポールは中華が食えるので、日本の中華よりは旨くないけれどもまだ安心。
マレー風モスリム料理、こりは最悪!!
絶対に避けねばなるまい。
見ためはカレー風煮込み料理でウマそうなのだけれど、何とも強烈!!
辛いとか、そういう問題では無かったのだ!!!
まるでカレーに香水や歯磨き粉をぶっかけたような匂い、味!!
「俺は食い物の好き嫌いは無い」
と思い込んでいた我が人生を、見事に覆してくれたのであった。
もちろん和食もあるけれど、みな高級レストランだったりして、毎日じゃ大変なのだ。
それに、クソ暑いテラスでマーライオンなどを眺めながらマグロ納豆をつつく違和感もヘンすぎるし。
何はともあれ、国内で最後の和食を食っとかねばなるまい。
成田空港内のレストランで、早速カツ丼を注文。
おおっ!!
白人の老夫婦が牛丼を頼んでいるではないか!!
しかも、「ミソスープ、プリーズ」などと、本格的だぁ!!!
や・やるな・・・・・・
こ・こら!!
ミソシルをレンゲで食っていやがる。
そりはダメです!。
見ろ!こうやって食うのだ!!!
ボテ!ジョロジョロジョロ・・・・
し・しまったぁ!!ミソシルをこぼしてしまったぁぁ!!!
トレイの中はミソシルの池となり、広がるワカメが気持ち悪い物体と化している。
見苦しい&こっぱずかしいよう!!
ダ・ダメです!こっちを見るんじゃない!!老夫婦!!
こんなマヌケじゃ、先が思いやられるよう・・・・・・
全日空901便、なじぇか知らないけど、ナゾの外国人団体に囲まれ、怪しい言語(英語らしいけど、何気にアジアしてる)が飛びかいまくり。
集団でガハガハ騒がしいのは、ニポンの農協旅行だけでは無いらしい。
禁煙地獄に絶えながら、やっとシンガポールにヘロヘロと到着すれば、そこはすでにニポン語禁止(?)地帯!!!
なんのなんのと気合でタクシーに乗る。
「おっちゃん!!○○ホテルまでいっとくれよう!!」
「あいよ!がってんだ!!」
みたいな感じで、ボロいセドのタクは高速をオニ走り。
やたらと目につくバイクは、ほとんどニポン製だけど、形式不明のボロばかり。
マグナとかKLXもいるけど、見たことが無いようなカラーリングなのだ。
そしてフロントフェンダーにナンバープレート!
ヘンなの・・・・
さらに、多くのライダーが、ジャケットを前後逆に着て走っているのはなじぇ?
そう。
ガキの頃にガクランを逆に着て「中国人だぁ!!」などとやってたのと同じですな。
遠回り&ボッタクリも無く、無事にホテル着。
そこでまた一苦労!!
コトバが通じないのって辛いもんですなァ・・・・
日本にデンワをしようとしたけど、何度やっても繋がらないぞぉ!!。
延々とトライしてたら、
「キサマ、いったい何がやりたいんだ!!」
と言った感じでフロントからデンワ!
でもそれがチンプンカンプン!
そのうちに
「217号室に内線しやがれ!!」
というような事を言っているラシイのでかけてみると・・・・
「なぁにぃ??あんた誰ぇ???」
おおっ!!何の事か判らないけど日本語だぁ!!。
そう、日本人どおしで助け合えという意味らしい。
余計なお世話だ!!
お察しのとおり、市街局番「03」の「0」を抜いていなかったという、初歩的なミスが原因なのでした。
約束のデンワを待ちきれず、朱蘭様の方からデンワしてきて
「そんなアタリマエの事も知らないの?あほう!!」
と、優しく教えてもらったのでした。
さらに先が思いやられる、南国の夜が更けていく・・・・
朝7時で、やっと明るくなるシンガポール。
いよいよ今日から仕事なのだ。
目指す「日本大手企業の子会社・A社」まではタクシーで20分弱。
前回は
「○○タウン・パーク2・A社」
と言えば十分だったのだ。
パーク2とは、2丁目といったニュアンスらしい。
さっそくタクをゲット!!
おんやぁ?女性ドライバーだぞぉ!!!
と思ったら、限りなくオバチャン的なオッチャンではないか。
日本でもこういうタイプのオッチャンにはロクなのがいない。
注意せねば・・・
行き先を告げると妙に甲高い声で
『了解ですねん!○○タウンでっしゃろ?』
と、調子がいい。
(注意:『 』の部分は推定。以下同じ)
なんか記憶と違うインターチェンジで高速を降りるオバうんちゃん。
あれぇ?
こちらも確信は無く、そのまま身を任せる。
走る事1km位。
『やってもーたぁ!!行きたいのはパーク2でっしゃろ?』
「そうだけど・・」
『間違えましたねん。パーク3に着いてもうたぁ!!』
こ・このオヤジ!!!!
何気に計画的な匂いがするぞぉ!!
しゃあしゃあと高速に入り直し、パーク2界隈に。
『お客はん、ここいらがパーク2ですねん』
「だめだよう!!A社まで行っとくれよう!!」
いきなり見覚えの無い中華風界隈をさまようオヤジ。
走る事しばし、
『わてには判りまへんがな!乗り変えてちょ!!』
「ダ・メ!!!A社!!!」
こっちだって、こんな所で放置されたらヤバすぎる!!
オヤジ、再度探すと言うよりは、まるで最初から知ってたかの様に右に左に路地を抜け・・・・
「あっ!!あそこがA社だぁ!!!」
『なぁんだ。あれのこと言ってたんでっか!!』
わざとらしすぎるぅ!!!
通常ならば10$前後の道のり。
それをはるかに超えたメーター。
それでもオヤジ、守衛が止めるのも無視して、正面玄関まで入り込んで更に1メーターを上げる始末。
こんなオヤジを儲けさせてはニポンのハジではないか!!
メーターを無視し、10$札のみをオヤジにつきつける。
自動ドアでは無いので、カネだけ置いて降りてしまおうかとも考えたけど、無賃乗車などと騒がれたらやっかいだ。
黙ってオヤジの反応を待つ。
オヤジとにらみ合う事しばし・・・
『あいやぁ!!わかりましたがな・・・』
カネを受け取るオヤジ。
エッ?????
オツリに1$まで出しやがる!!!!
勝ったぁ!!!
気分良く守衛小屋に。
『名刺を出しやがれ!!このやろう!!』
えっ?
国内では訪問者の名刺を入門票に使う所は多いけど、ココでも??
前回はそういう仕組みでは無かったので、今回、名刺は持ってこなかったのだ。
『おらぁ!!名刺だって言ってるだろう!ばかやろう』
タダでも恐そうな黒人の守衛。
「あ・あのぉ・・・・無いんですぅ・・」
言葉が通じていないと考えたのか、他の日本人の名刺を振りかざし
『ホレッ!!キサマのコレを出せって言ってるんだ!ボケ!!カス!!』
「そりは判りますぅ・・・でも無いんですぅ・・・」
結局、散々とバカ扱いされた上に、なんとか入れてもらえる事に。
恐かったよう!!
まるで○立の守衛みたいだよう!!
今日の仕事は終了。
バカタクにハメられるのもイヤだし、バス&電車で帰る事に。
前回もバスは楽勝だったのだ。
あんれぇ??いつのまにか整理券方式になっている!!
しかも日本と違い、サッパリ判らない方式なのだ。
なにやらカードをさし込み、自分でボタンを押して券を買っている人もいれば、料金箱に直接払っている人もいる。
オロオロオロ。
今度は正真証明のオバちゃんドライバー。
『あんた!なにオタついてるのさぁ!!ゼニ払えぇ!!』
「え・駅までですぅ・・・」
『60セント!!!』
小銭は1ドル玉と50セント玉しか持っていない。
両替機など存在しない。
「こ・これしか無いんですう」
『ケッ!やっかいな客だねぇ。じゃ50セントでいいわよ!!』
ラ・ラッキー!!!
ホンモノのオバは優しいぞぉ!!!
明日も、この手を使おう!!!
今朝に乗ったタク、なんか市街地をミエミエに迂回しやがると思ったら、繁華街へのクルマの乗り入れは有料なのであった。
しかも料金自動課金式の「ERP」とか言うシステム。
呼び名は違うけど、日本のETCと同じですな。
ERPに対応する為、どのクルマもレーダー探知機のような物がつけてあり、それにテレカみたいな物が指し込んである。
なんと、バイクも同様なのだ!!!
クルマより一回りちいさめのヤツを、ライトやメーターの上に取り付けてあり、キッチリと防水カバーまで付いている徹底っぷり。
カブみたいなのでさえ例外ではない。
や・やるときゃやるな!シンガポール。
と言う事は、日本だってバイクへの対応は可能ではないか!!
晩飯を食いに街に出る。
ビッチリと軒を並べる、怪しい中華街風食堂。
ウマそうだけど・・
呼び込みのニイチャンも張り切って声を掛けてくるけど・・・
だ・誰が食うか!!ふざけるなぁ!!!!
な・なんと、殆どの店がルービを置いてないのだ!!!
「ドリンク?コーク?」
ば・ばかやろう!!!海鮮中華をコーラで食えるか!!
地元のおっちゃん&にいちゃんねえちゃん!
いいオトナが、ルービも無しで晩飯を食うなよお!
ヘンなジュースで語り合うなよう!!!
ルービの看板が有るのは、店内が見えないアヤシゲな店ばかり。
高級な店には、当然ルービの一つや二つは置いてあるのだけれど・・・
駄菓子菓子!!!
公共の室内は全て禁煙なのだ!!!
なめるなよう!!!
こちらのタバコを愛するシトビトは、汗をダラダラ流しながら、屋外のテラスでグッタリと飲み食いするしか無いのだ。
さまよう事しばし、おおっ!!見慣れた赤い提灯!
日本語で「ラーメン・ギョウザ」などと書いてある。
ノレンまであって、すみっこに「味自慢」などと書いてある念の入れよう!!
こちとら、イイカゲンに日本語に飢えているのだ。
会話は当然、テレビはモチロン現地語だらけ!!
日産サニーだって、日本で見た事が無い怪しいコマーシャルと化している。
海の上を走るなよお!サメを蹴散らすなよう!!
などなど、余計な事を考えながらラーメン屋に。
うっ!メニューにルービが!!!
しかもアサヒドライではないか!!!
迷わず、味噌ラーメンとともに注文!!
日本率75%のラーメンであった。
しかも高かった。
ラーメンとルービで、約1400円。
トホホホホ・・・
まだ飲み足りないよう!!
セブンイレブンを発見し、ツマミと共に買い漁る。
ルービは高い!日本よりも高い!。
「カルビー」のパクリみたいなポテトチップスは安い!!
「馬鈴薯片・珍珍」などと書いてある。
これらを抱え、ホテルに帰還。
フロントの前を、持ち込み持参で堂々と通過。
「持ち込み禁止」といったニュアンスの注意書きがしつこく書いてあるけど、誰も何も言わない。
それもそのはず。
なにしろワタクシ、まったく言葉の通じない厄介な客として知れ渡ってしまったのだ。
なんでもやりたい放題なのだ!!
カギだって持ったまま出歩いちゃうし、チップなんか払いやしないし、朝飯食ってもサインもしないし・・・・・
いちいち注意したって無駄だと思われてしまったのだ!
ざまあみろ・・・・
威張れないよう!!
情けないよう!!
(シンガポールは、基本的にチップ不要な国だったそうな。)
今日も良い天気!
と言っても、スコールさえ来なけりゃ殆どが晴なのだ。
朝から快調にタクを拾い、快調にA社に到着。
さあ、快調にシゴトでもおっぱじめるかぁ・・・・・
ゲッ!!
きょ・今日の守衛は、あの「巨体黒人・ネームカード君」だぁ!!
そう。
初日にワタクシの事を散々と叱り付け、イヤってほどバカ扱いしてくれた御人である。
なんかイヤな予感が・・・・・
『オラぁ!名刺を出しやがれ!!め・い・し』
ま・まただぁ!!!
名刺を忘れたワタクシ、名前入りのビジターカードなる物を作られ、帰る時に守衛小屋に返し、朝に受け取る仕組みになっていたのだ。
「あ・あのぉ、小屋の中にビジターカードが・・・」
『何を言っていやがる!このやろう!名刺を出せって言ってるんだ!』
小屋から飛び出してくるネームカード君。
皆様は、相手を見下ろしながら怒っている黒人の恐怖を御存じだろうか。
しかも、確実に自分に対して怒っているのだ!!
小屋の中に残っていた、マレー系の老守衛、
『おいおい!コイツ、こないだのバカだよ』
そう言いながら、名前も聞かずにワタクシのビジターカードを取り出す。
ホッ、ありがたや&情けなかぁ!!
ところが・・・・
受け取ろうとしたら、ネームカード君に取り上げられてしまったぁ!
『これはキサマのか?キサマの名前を言ってみろ!!』
「ホ・ホントに、み・みーのですぅ・・・・」
ネームカード君はカードを手渡しながら建物を指差し、
『ケッ。おらぁ!!これを付けて、キッチリ働いてきやがれ!!』
く・くやしいよう!!!
10時の休憩。
怪しい言葉が飛びかう、混み合った喫煙ルーム。
おんやぁ?なじぇか奥の方だけが空いているぞぉ?。
向かってみると、あっ!!ここ、A社の社長様!!(日本人)。
なんでこんな作業員用の喫煙室に???
思わず御挨拶。
「お久しぶりです」「おおっ!キミかぁ!!」
なじぇワタクシ如きが大会社の社長と面識が有るのかと言えば、ワタクシがA社の親会社の末席を汚していた時期、所属部署の当時の本部長様だったのだ。
その後こちらに就任したことは知っていたのだけれど、当時だって300人からの部署、面識があった程度だし、わざわざ御挨拶に出向くなんて図々しい事はしなかったのだ。
でも、久々の日本人との会話!
馴れ馴れしくても何でもいいのだ!!
喫煙室内の目が、こちらに注がれる。
『おい!あの国籍不明の作業員、なじぇウチのボスと会話を・・・』
ざまあみろなのだ。
キサマらに散々バカ扱いして頂いた奴は、キサマらのボスの知り合いなのだ!
「今日は何時まで働く?よぉしっ。ヤキトリ屋にでも連れてってやる」
「あ・ありがとうございますぅ!!」
重ねて、ざまあみろなのだ。
水戸黄門に付きまとっているだけの理由で、ついつい威張っちゃう「うっかりはちべえ」の心境なのであった。
グフフ!!
17時半が楽しみなのだ!!
なんたって社長様と同行!!
きっと黒塗りの高級車が待っているに違いない。
インド系の運転手がターバン巻いてデコに赤いポッチかなんかつけて、ドアを開けて待っているのも確定的であろう。
こちとらVIPなのだ!
コキタナいナリしてると言っても、社長様に招待されているのだから仕方あるまい。
おっと!門を出るときはビジターカードを返さねば。
まてよ?こちらはVIP。
わざわざ守衛小屋の前で降りて返しに行く事もあるまい。
守衛がクルマまで取りに来るべきなのだ。
なんたって、くどいけどVIPなのだ!
カードを取りに来る守衛??グフフフフフ・・・・・
そりは「巨体黒人・ネームカード君」意外に誰が居る??
イヤだったって、御指名で呼んじゃうのだ!!!!
『キ・キサマ!な・何でボスのクルマに?????』
驚きやがれ!!慌てやがれ!!
後ろでアゼンとしているマレー系老守衛!
キサマも散々な事を言ってくれたな!
「彼らとなにか有ったの?」
おそらく社長はそう聞くだろう。
その時・・・・・
ぶひょひょひょひょお!!!!楽しみばいっ!!!!
そんなラッキータイムが、まもなくやってくるのだ。
まあ、今までの我が人生をかえりみても、実際にはヒサンな結末が待っていそうな気はするのだけれど・・・・