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続・南国ワーク(2000夏・シンガポール)・前編

コレがウワサのマーライオン

 またまた憂鬱な日々が開始されるのだ。
そう、シンガポール出張の第2弾!!
かんべんしとくれよう!!!
えっ?なんだかんだ言いながら、少しは楽しみなんじゃないかって?
と・とんでもない!!冗談じゃないのだ!
なにもかもが気にいらない。
ハッキリ言ってクソクラエなのだ!!!

 まあ、いまさらガタガタ言ってもしょうがない。
すでに出国手続きも済んだし、免税店でタバコも買っちゃったし。
今回は名刺もキッチリ持ってきたので、恐怖のネームカード君も恐くない。
正式に言えば、最初の一撃だけで済むと言う事になる。
どうだ!!学習能力はバッチリなのだ!!
今回は味噌汁だってこぼさなかったのだ!!!
しかしねぇ・・・・

 ああ、気が重いよう!!!
これから始まる7時間の奴隷シート&禁煙地獄!!
くるしいよう!
発狂しそうになる強烈な日差し&ゲロ暑さ!!
つらいよう!
日本語の会話が出来ない孤独感!!
さみしいよう!
完全につぶれる夏休み!!
北海道がぁ!!!!
ああ!全ての事にストレスがたまるよう!!
おっと、いまさらガタガタ言ってもしょうがないハズだった。

 夏休みのゲキ混みを予想して、わざわざ箱崎から来たと言うのに、出国カウンターはガラガラで、今居る搭乗口付近も静かなものだ。
目の前で、怪しい黄色人種(最初は日本人かど思った)のカップルがブチュブチュやっていやがる!!
人前でそういう事をやるヤツなんて、絶対ロクなヤツじゃない。
少しは恥を知りなさい!!
ケッ。

見苦しいよう!!
うらやましいよう!!
さみしいよう!!



ホテルの近くの中華街風の町並み

 全日空901便。
出発間際にドヤドヤと現れた団体で満席。ほとんどがニポンのツアー客なのだ。
おこちゃまも多く、機内を走り回っていやがる。
うっとうしいと言うよりも、うらやましいではないか!
じっと座りっぱなしの辛さ!!耐えがたいのだ。
まさかオコチャマと一緒に走りまわる訳にはいかず、仮にやってしまったら、きっとスッチーの対応は妙に優くなってしまうであろう。
「可哀想な人」とか思いながら。

 シンガポール着。
「う〜!!ヤニィ!!」などと叫びながら、団体客に紛れてノーチェックで税関を突破。
タクシー乗り場脇の灰皿を目指す。
 7時間ぶりのタバコに感激しながら、ボンヤリとタクシーを見つめる。
団体が多いせいか、タクシーの方が余っていて、案内役のオッチャンもヒマそうだ。
おっとぉ?前々から気になっていた、ベンツのタクが!!!
他の客を調整し、みごとベンツをゲット!!ラッキー。
 同じ料金なのだから、ベンツタクの方が良いに決まっている。
なにしろフツーのタクがボロすぎるのだ。
ほとんどが日本車なのだけれど、ボコボコの旧型車。
タク以外のクルマも同じようなものである。
こちらでは10年ごとに車検のような物が有り、これがオニの様に高額なのだそうである。
従ってホイホイと買いかえる訳にはいかず、新車で買ってもキッチリ10年は使うそうな。
その結果、一昔前の車種が目白押しとなってしまっているのだ。
ぶつけた少々のヘコミなどは直す習慣が無いらしく、タクであっても結構ボコボコだったりする。
まあ、個人的には日本の方が異常な気もするのだけれど。

 快適に高速を走るベンツタク。
見慣れた怪しい中華街風を通過し、いよいよホテル着。
ここでも学習能力を発揮し、オロオロと手間どった前回の10倍のスピードで部屋の中に。
言葉など通じなくても、要は気合なのだ。
(またこないだのバカだと知っていて、あえて何も聞かなかっただけかも)
 ホテルの窓には懐かしい風景。
まあ、前回から一ヶ月も経っていないので懐かしいと言うのは間違いかもしれない。
あれからずっと滞在していたような錯覚さえも覚える。
 激しくイヤな出張だけれど、ここまで来たらしかたが無い。
さあ!頑張るぞぉ!!!!
待っていやがれ!!
ネームカード君!!



隠し撮り! 守衛小屋のネームカードくん

 どうしたと言うのだ!朝から雨なのだ!!
しかも、スコールの様なオラオラ型の雨ではなく、ニポンの梅雨を思わせるシトシトねっとり、何か女々しい雨!!
こんなの初めてだぁ!!

 速攻でタクを捕まえる。
『グットモニングウウウウッ!!』
何気に男らしい叫び。
高倉健さんの様なシト。
ERP(繁華街を通過するクルマへの、通過料金自動徴収システム)を避けて迂回し、チャッカリ通過料だけせしめる運ちゃんが殆どだったのに、この健さんは真正面から突入!!
男らしい!!
 いつもより格段早く高速に。
日本では死滅した、速度警告音をキンコンと響かせながら、男らしくかっ飛ぶ。頼れるぞぉ!!
 こちらの高速では、バイクの2ケツやトラックの荷台に人を乗せての走行などはアタリマエ。
しかしこんな雨の日には、さすがに荷台は居ないようだ。
と思ったら・・・
どこにも、気合が入っている人は居るのだ。
一人で荷台にふんばって傘までさし、まるで台風レポーターの様な形相で頑張っているのだ。

 この健さん、男らしいけど道を知らないらしい。
地図など出して、考え込んでいる。
しかし大丈夫!!なんせ今回のワタクシ、学習能力に満ちあふれているのだ。
百戦練磨とまでは言えないけれど、10戦全敗くらいの実績はある。
道順だって覚えちゃっているのだ。
「そこ右!!そこ左!!」
『判りました。不器用ですから。』
男らしく地図をしまい込み、男らしく指示に従ううちに無事に到着。
どうだ!!

 問題の守衛所へ。
おおっ!!いるいる!ネームカード君だぁ!!
『名刺を出しやがれ!!』
へへん!!ちゃんと用意してあるのだ。
名刺を受け取ると、まるで人が変わった様におとなしいネームカード君、入門票の書き方なども優しくアドバイスしてくれるではないか!!
ところが・・・・・
『おいっ、コンピューターは持って来ていないだろうな!!』
えっ?前はそんな事聞かれなかったのに・・・
「な・ないですよう!!!」
『オラァ!荷物を見せやがれ』
ここは税関よりも厳しいぞぉ!!
『キ・キサマ!!何だこれは!!ウソつきやがったなぁ!!!』
ワタクシのカバンの中に入っていたモバギを発見するや否や、それを取り上げて、一気に恐怖黒人に豹変するネームカード君!!
「そ・そりは・・・・」

 なんて説明すればいいんだよう!!
しかし何でまた!!!
会社備品のPC持ち出しをチェックする為に、事前に持ち込みを確認しようという意図なのだろうけど、前回はまったく無かったのだ。
システムが変わったのだろうか?
前回はワカランチンだったから、確認するまでに至らなかったのだろうか?
今日が土曜日(休日)だからだろうか?
それとも・・・
このネームカード君、とにかくワタクシをイジメなければ気が済まない為にイヤガラセでやっているのだろうか・・・・
 理由はともかく、またまた今回も苦境に陥ってしまったのだ。
ああ、これで11敗目だぁ!!!!
などとグッタリしていると・・・・・
『どないしたんでっか?』
おおっ!!定時大好きのミスター・ワンが登場だぁ!!
わざわざ守衛所まで様子を見に来てくれたのだ。
『ネームカードはん、このお方はワテの客でっせ!イジメたらあきまへん!』
た・たすかったぁ・・・・

全ての書類をミスター・ワンが処理してくれ、守衛所を突破。
やったぁ!!
でも、負けは負けである。
もっと学習せねばぁぁぁ!!!



ホンモノの中華街

 今日は休みなのだ。
こんなハズではなかったのだけれど、
『明日は日曜ですねん!来たらあきまへん』
ミスター・ワンの命令があったのだ。
事前に、日曜もシゴト出来る約束だったのに・・・・
 定時退社が大好きな彼、2日連続休出などは耐えがたかったのであろう。
彼に逆らうのは得策ではなく、泣く泣くムダな1日を過ごす事に・・・
 こうなったらしかたが無い。
せっかくだから出歩く気持ちと、クーラーが利いた快適な部屋でウダウダする気持ちが交錯する。
決断は他人任せであった。
掃除のオバチャンに追い出され、前者を選択する事となったのだ。

 伊勢丹に行けば無料マップが有ると聞いていたので、早速ガメに行く。
う〜む・・・さすがタダだけあってセコすぎるけど、何も無いよりはマシではないか。
そんな地図を頼りにチャイニーズタウンに。
 ここには前々回に来ていたのだけれど、その時の足はタクやバス、今回は気合を入れて徒歩なのだ。
おおっ!懐かしい場所場所の位置関係が非常に良く判る!!
やはり自力で動くのが一番!!
 わざわざチャイナタウンに行かなくても、この国は殆どが中華しているのである。
ホテルの近くにも怪しい中華街風があるし。
しかし!!しかぁし!!
怪しさのレベルがじぇんじぇん違うのだ!!!
リトルインドもアラブストリートも、なかなか怪しさに満ちあふれていたけれども、所詮はレベルが違うのだ。
怪しさのホームラン王なのだ。
 怪しいパクリグッズの数々!!
キティーちゃんはアタマが小さくて、逆に違和感があるのだ。
ポケモンのピカチューに至っては、何と白目が有るではないか!!!
わざと狙っているのかしらん・・・・
 飯屋街に。
ボロいビルの中に屋台のような店がウジャウジャひしめいている。
それぞれの店で注文し、共用スペースのテーブルで食うシステムなのだけれど、どこのテーブルもタイガービールが林立。
やったあ!!コークしか置いてない、ホテル近くの中華街風!!反省したまい!!
 ルービどころか、勝手に(?)パーティーなどを開いてるグループまでいるではないか!!
ここにも、よち夫妻のような有り難い存在がいるらしく、手作りケーキなどもデンと置いている。
怪しいよう!!
 ここで、山森おじに御推薦頂いた「カレー麺」を発見!!さっそく食う。
おおっ!こりはイケる。
ニポンの「カレー+ラーメン」を想像してはダメ!まったく別物なのだ。
でも、じぇんじぇんウマいではないか!!
何とも言えないマッタリ感!!
そして適度な辛さ!ンマイですぞぉ!!!
しかもたったの2ドルなのだ。
オーチャードの「味自慢ミソラーメン13ドル」!反省したまい!!
 おっ!!期間限定でフリーマーケットまで出ている。
ただでさえ怪し過ぎるチャイナタウン、それだけにフリマの怪しさは天下逸品!!!
泣けてくるよう!!!
思わず、マネキネコ風キュウスを5ドル(約350円)で購入!!
果てしなく怪しいよう!

さらに、怪しいホリデイはつづくのだ。



コレに乗りたかった! トレーラーバス

 チャイナタウンを後に、ウッドランドを目指す事にする。
ここは国境の街。
ここから橋を渡れば、マレーシアのジョホールバルなのだ。
5年前にイキオイでマレーシアに徒歩で渡った際、ここまではテキトーにバスに乗ってやってきたのだけれど、その後MRT(地下鉄。ただし、都心部しか地下に潜らない)が開通し、今回はそのMRTを利用。

 当時は、とてもシンガポールらしくないゴチャゴチャした街。
古い平屋が立ち並び、ある意味でアジア的な喧騒に満ちあふれていたのだ。
マレーシア側のジョホールバルが「巨大都市国家への入り口の街」であるのに対し、こちらは「まったく郊外の、しかもイナカ国家への出口の街」なのだからしかたあるまい。
でも、その怪しさが良かったのだ。
それが・・・・
 到着してみれば、全然雰囲気が違っている!!
延々と、そして整然と立ち並ぶ巨大団地群!!
整備された駅前には大型のショッピングセンター!!
MRTの開通と共に、マレーシアとは無関係にベッドタウンとして再開発されてしまったのだろうか。
駅とショッピングセンターをつなぐ広場は都会的な人々で埋め尽くされ、フルートを奏でるストリートミュージシャンに次々と小銭が投げ込まれる。
もうこの街には、何も魅力は無さそうだ・・・・

 真新しいバスターミナルを覗くと、おおっ!!トレーラーバスが!!!
このバス、オーチャード界隈でも見かけるのだけれど、フツーの4輪バスに2輪の客席だけのバスが繋がっているのだ。
走ってるのを横から見ると、「ヘ」の字になったり「V」の字になったり、かなり過激な乗りごこちが期待出来そうで、前々から乗ってみたかったのである。
2階建バスもあるけど、それは東京にも走っているし。
行き先を見ると「マリーナなんたらかんたら」と書いてあり、どうやらシティーホール(都心部)の近くのようだ。
ようしっ、乗っちまえ!!

「あのぉ・・・終点までいくらですかぁ?」
運転手は、石森章太郎そのものズバリのおっちゃん。
『えっ?どこだって?ロボコン!!』
「マリーナなんたらかんたら」
『マリーナセントラル?1ドル60セント!!サイボーグ009!』
「うっ!小銭が10セントたりないんですけどぉ・・・」
『ツリなんか出せるか!!仮面ライダー!!』
結局、泣く泣く2ドルを投入。
 クルマ酔いするシトの訓練には最適なのだ。
ボンボン跳ねちゃうのだ。
しかしすさまじいエンジン音の割にはトロく、フツーのバスに次々と抜かれていく。
ヘビの様にクネクネとうねりながら車線変更し、右左折の際には何車線も塞いじゃう大迷惑な走り!!
しかし、自分が乗っている場合はこれが快感なのだ。
ベンツもBMWもオロオロとせき止められるしか無いのであった。

 島国シンガポールとは言え、縦断するとなると結構時間がかかる様だ。
ましてやトロいトレーラーバス、ついつい居眠りをすると・・・・
あっ!目が覚めると、自分を除く最後の客が降りていく所!
ヤバイ!終点だぁ!!
慌てて後に続いて降りる。
あ・あれぇ?終点では無い!!
石森章太郎が怪訝そうにこちらを見ている。
『終点までじゃ無かったのかい?キカイダー!!』
まあいいや。
今更こっぱずかしくて戻れるか。
と言いつつ、ここはどこ?
ウゲゲゲゲ!!なんてこったい!!!
先月、アラブストリートの帰りに道に迷い、延々と逆方向に進んだあげくにたどり着いた場所!!
まさにその場所なのだ!!
これは偶然なのだろうか。
それともここは、ワカランチンがたどり着くサルガッソ海のような墓場なのであろうか!!!

 あせってはいけない。
前回はオロオロとさまよいながら、果てしなく時間と体力を消費しながら、汗まみれで歩いて帰ったのでけれど、今回はイイカゲンながらも地図が有るのだ!!
最寄りのMRTの駅を目指して、気軽に歩けば良いのだ!!
 地図を見る。
駅までそれほど遠くないぞぉ!!おやぁ?マーライオンも割と近いぞぉ!
せっかくだから、いっちょ寄ってきますか!!
ついでにボートキーも・・・・
さらにコリア街も・・・・・

こうして、前回以上に体力を消耗してしまったのであった。
明日から、再び南国ワークだと言うのに・・・・・


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