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続・南国ワーク(2000夏・シンガポール)・後編
おシゴト再開なのだ。
守衛所にヤツが居ないと、平和なのだ。
朝7時起床。
この時間で、やっと朝といった感じ。
6:30位じゃ暗い程。
まあ、長距離通勤など無い国なので、これで良いのかも。
7:30、ホテルで朝飯を食う。
アメリカンスタイルのバイキング。
安心して食えるけど、毎日ほとんど同じメニュー。
まあ、タダだから・・・
8:00、タクに乗って出勤。
高速経由で20分ほど。
通勤ラッシュはあるけれど、ニポンに比べたら全然マシ。
今日はなぜか、バイクが大量に検挙されていた。
理由は不明。
8:30、客先へ到着。
平和に入門!平和におシゴト開始。
10:00、一服タイム。
喫煙所には守衛のインディーおばさんが居て
「ハワイユー」
と挨拶。
このオバサンは従業員入り口に居る守衛なのだ。
従業員は、退社の際に金属探知器でチェックを受けるのだ。
それを操るのがこのおばさん。
なかなか愛想が良く、チャドとは大違い!!!
そう。
「チャド」とは、ネームカード君の本名なのだ。
イヤガラセでヘンな書類を書かせるから、サイン欄で名前がバレてしまったのだ!!!
ざまあみろ!!チャド!!
このニワトリ野郎!!!
12:00、社員食堂で昼飯。
○○定食といった物は無く、ゴハンや麺に、○○炒めと言った感じのオカズを数種類指定してかけてもらう仕組み。
ヘンな味。
インド系のシトは手で食べている。
3ドル(200円強)あれば満腹。
15:00、一服タイム。
コーク缶が80セント(50円強)。安い。
カップ式自動販売機のジュースは20セントから。
コーク・ペプシ・ミロ以外はパクリだらけ!!
「ネスコーヒー」とか「モーニングビュー」とか。
全体的に、超甘すぎる!!
キモチワルイほど。
ネスコーヒーの販売機にピーチ味の紅茶があり、名前はズバリ「桃子」!!
笑いました。
17:30、定時大好きのミスター・ワンに帰される。
『あのぉ、ワテ、明日の午後は半休ですねん・・・』
にゃ・にゃにおう!!!
そりならこっちも、勝手に早く帰ったろかい!!
バスとMRTを乗り継いでホテルに。
お盆休みは無いけれど、お盆の行事はあるようだ。
あちこちで巨大線香を灯している。
迎え火もやっているけど、何かゴミ焼き風。
何でも燃やせばいいのかしらん・・・って感じ。
19:00、ホテルでルービ。
まだ外は明るく、昼酒の気分。
こんな平和な日々が、最後まで(今終末まで)続けば良いなぁ・・・・・
シンガポールの国民は、主に中華系・マレー系・インド系に分けられる。
大多数は中華系で、若いヤツラはニポン人と区別が付かない。
着ている物もクリソツで、日本の流行が一瞬にして伝わっている様だ。
もちろん、上げ底サンダルもウジャウジャいる。
高校(?)の制服もミニスカ!!!
さすがにヤマンバ風は居ない。
暑苦しいからか、ルーズソックスも見かけない。
(フツーの靴下をたるませて、それらしくマネしてるのは居る)
でも、それ以外はまったく同じと言っても良いくらい!
(オヤジに属するワタクシだから、区別がつかないだけかも)
夕方になるとMRTの駅の床などに座り込み、携帯でダベりながら街に繰り出していく。
人前でブチュブチュしてるのは見かけないけど、軽く抱き合っている位はあちこちに居る。
そんな彼らの性生活は・・・・・
んな事知るか!!!!
いわゆるホワイトカラー層は中華系で占められ、ブルーカラー層は各種混合、人がやりたがらない様な仕事はインド系・マレー系以外は見当たらない。
例外なのがタクシーの運ちゃんで、ほとんど中華系一色である。
そういう意味では、タクシードライバーはエリートな職業なのだろうか。
●シンガポール人不思議発見
(中:中華系 イ:インド系 マ:マレー系)
・1日中、何かを食べている。(中)
・テレビは全て英語なのに、新聞は中国語版を読む。(中)
・社員食堂でも、手掴みで物を食べる。(イ)
・バイクに乗るとき、ジャケットを前後逆に着る(全)
・電車に乗ると、デイパックを前向きに背負う(全)
・バス停や駅などで並ばず、先を争って乗る(中・マ・大阪人)
・歩行者信号は徹底的に無視(全)
・N画伯風がウジャウジャ居る(中)
・チベットS子風が時々居る(マ・中)
・日本人と中華系は、会話が出来ると思っている(マ・イ)
・トイレで、人のモノを堂々と覗こうとする。(イ?)
・そのくせ、自分は必死に隠す。(イ?)
以上、全て私見です。
昨日は午後に強烈なスコール。
そして夜中にも雷雨!
オマケに今日も雨。
ヘンな天気が続いているのです。
乗ったタクシー、珍しくアラブ系の運ちゃん!しかも相当なジイサン!。
車内はアラビア文字で埋め尽くされ、何やら偉い人(?)のお祈りシーンの写真まで。
それは別にかまわないのだけれど・・・・
外国人の年齢って判りにくいものである。
しかしこのジイサン、とにかくかなり高齢であることには間違い無い。
おまけに牛乳瓶の底のようなメガネをかけ、GPSの画面(文字だけが出るやつが、全てのタクに付いている)には、まるで金魚鉢のような極厚レンズ!!
果たして前は見えているのか?
有料のERP区間を避ける運ちゃん、かまわず突入する運ちゃん、どちらにしても通るコースは覚えてしまったけれど、ジイサンはどちらでもない方向に!!。
しかも、直進車線からイキナリ右折するという大阪的暴挙!!
初めて通る裏路地をヨタヨタ進む。
こ・恐いよう!!運転も行き先も・・・
ふいに、まるでインチキのように高速に乗ってしまう。
あ・あれぇ???
どうやら、スーパー抜け道を知っていたようだ。
ERPを通過した時よりも早いではないか!!
さすが老練!アラビアンマジック!頼れるぞぉ!
こちらでは、日本で言う4ナンバー以上の貨物は50キロ制限なのだ。
それらのクルマは、屋根にバイクのウインカー風オレンジランプが付けられていて、50キロ以上出すと点滅しちゃう仕組み。
高速では50キロと言う訳ではないけど、アタマテカテカでトロトロ走っている。
そんな貨物車と共に一番はじっこ車線をノンビリ走るジイサンタクシー。
トロすぎるよう!
うっ・うっそぉ!!!いつものインターチェンジを通過!!
一つ先のインターチェンジから平然と降りる。
あれ??と思ったけれど、なにしろ頼れるアラビアン!任せる事にする。
おおっ!渋滞だぁ!!!
そう、目的地にはこちらのICの方が近いのだ。
ただし地獄の右折渋滞地点が有る為に、みな1つ前のICで降りていたのだ。
でもヘーキ!
このジイサンには、大阪式右折という武器が有る。
問題の交差点に近づく。
あふれ出ている右折車の列!!
当然の様に、ジイサンは並ぼうとしない。
しかし直進車の量も多く、ここで大阪右折を決行したら相当にヒンシュクを買いそうだ!!
どうする?ジイサン!!!
ジイサン、交差点を通過!!!
あ・あれぇ?
で・でたぁ!!!中央分離帯の花壇に突入!!
エンセキを乗り超えて強行Uターン!!!
そして平然と左折・・・・・
アラーの神よ!!
貴方はこんな事を許しているのかぁ!!!
ホテルから客先までの、最短時間記録を打ちたてたジイサンタクシー。
だが・・・・
どういう仕組みか知らないけれど・・・・・
メーターの金額は、最高記録なのであった。
おそるべし!アラビアンパワー!!
おそるべし!アラビアンマジック!!
2度に渡り、ワタクシ的には長い長あい出張だったシンガポール。
明日、金曜の深夜には、日本向けヒコーキに乗っている事になるハズである。
前回は空港・ホテル・客先・その他諸々の場所で立ち往生し、ブザマさをさらし続けてきたワタクシではあったけど、イイカゲンに学習能力が発揮され始めて、けっこう平和に過ごしているのだ。
毎朝行われるタクシー運ちゃんとの攻防戦だって、んもお好き勝手にはさせないのだ!!
チャド(旧姓ネームカード君)も慣れたもので、今やタクシーから降りるワタクシの姿を見ただけで、黙っていても、ゲロ袋風透明ビニールに入った乳白色のドリンクを飲みながら、ビジターカードを用意して待っているのだ。
喫煙所のヌシと化している、館内守衛のインディーおばさん。
「ハワイユー!!」
満面の笑顔&ひとなつっこさで、コーヒーなどをおごってくれる。
岡本綾子風の食堂のおばちゃん、
「おらぁ!キッチリ食えぇ!!」
キモッタマかあさんっぷりを発揮して、大盛りにしてくれる。
あんまり大盛りでも有り難くない味だけど、気持ちは嬉しいでは無いか。
定時退社大好きミスター・ワン。
妙にインチキくさい所があり、
『明日の午後はホリデーですねん』
のハズが、トラブってくると
『ホリデー?とんでもありまへん!!研修でんがな!』
などと言い変えちゃう小心物なのだ。
確かに面倒見は良い。
(今日は、アタマが痛いなどと言って休んでいる)
現場に居るのは高級マダム風おばちゃんや、妙にチャーミングでひとなつっこいマレーねえちゃん・・・・
みいんな親しみさえも感じつつあるのだ。
チャドにしたって職務熱心なだけで、きっとイイヤツなのだ。
きっと・・・
ワタクシは明日でシンガポールを離れるけれど、彼らにとってのこの国は生活の場であり、みな、この怪しい都市国家で一生を終えるのであろう。
また訪れて、彼らと再開出来るかどうかは判らないけど・・・・・
シンガポールという国と、ここで生きている全ての人々がシヤワセであって欲しいなどと感傷に浸る中、超あやしい新キャラクターが登場してきたのであった。
セブンイレブンでルービやツマミを買い、ホテルに到着した時に、丁度ヤツも現れたのだ。
ワタクシがエレベータを待っている時にホテルに入り込んできたその男、顔は日本人にも韓国人にも中華系シンガポール人にも見える。
顔形・声の感じは小松政夫の雰囲気で、いわゆる地回り風の衣装に身を包み、マレー系ホテルマン達に
『いよう!調子はどうだい?』
的に愛想よく声をかけている。
そして一緒にエレベーターに。
ワタクシは7階、地回りは9階のボタンを押す。
2人っきりである。
『どうした?兄さん。やけにお疲れじゃねえか?』
「えっ?まあ。暑くってねぇ・・・」
『おっ・おいっ!!兄さん日本人かい?』
「そうですけど・・・」
ここで7階に到着し、ワタクシはエレベーターを降りる。閉まろうとするドアを慌てて押さえ、身を乗り出す様にして声を高める地回り。
『ちょっと待てよ!!兄さん、ホントに日本人なんだな!!!えっ?』
日本人に対する親しみというよりは、何やら企みさえも感じる視線。
「そうですよ。それじゃ。」
『そうか!日本人か!!そんじゃあオレと・・・・・』
最後まで聞かずに、とっとと廊下を歩き出す。
地回りはエレベーターから降りる事は無かった。
恐らく、このまま終わる事は無いような気がする。
ヤツは、きっと部屋の番号を調べ上げて、何か仕掛けてくるハズである。
完全無視を決め込めば、何も起こらないまま出張は終わるであろう。
反面、このまま平和過ぎる終わりかたにツマラナサを感じているのも事実である。
果たしてノックの音が聞こえてくるのであろうか・・・
まさにクライマックスを迎えつつある南国ワーク。
そのフィナーレの行方は、この怪しい地回りの手中に握られているのであった。