右向け右・その4(携帯版)
(レポート:したっけ兄さん)
B隊員を無事搬送した我々第2小隊は、再び闇の樹海の中の進軍を開始する。
第3の指令(孤立した民家の被災状況の調査)の目的を果たすために。
ヒルクライムセクションが連続して続く。
B隊員がいなくなったせいか、ペースが速い。
いかん、遅れ始めてきた。
離されないように必死でついて行こうとするが、倒木や木の根が進路を遮り思うように進めない。
前方のバイクのテールランプが闇の中へ吸い込まれ見えなくなる。
おいらの後方のY隊員、H隊員も同様に苦戦しているようだ。
Y隊員「もう体力の限界だ。
次に怪我するのは俺かもしれない。」
おいらも限界に近づいて来ている。
おまけに水も残り少ない。
あとどれくらい走るか解らないので飲み干す訳にはいかない。
小1時間位走っただろうか。
漸く樹海を抜け出す。
と、同時に教官の叫び声が突然上がる。
教官「人が倒れている、保護しろ!」
みんなバイクを止め、何事かと教官の方に掛け寄る。
迷彩服の自衛隊員が倒れていた。
最初本当に怪我か何かで倒れいるのかと思ったが、どうやらここが目的地で、民家が在る事を想定した場所らしい。
被災者役の自衛隊員無事保護し任務終了。
それにしてもこの自衛隊員、どれくらいここに居たのかな?
教官「本来ならばまだ訓練を続ける予定だったが、怪我人が出たので本日の訓練はこれにて終了とする。10分間休憩としそれからベースキャンプ地に向かう。キャンプ地まではまだ距離があり、不整地を走るので各自油断しないように。以上、今日は御苦労様でした。」
やっと終わった、水が飲める。
時刻は夜の10時、B隊員が怪我しなかったら何時までやったのだろうか。
一路キャンプ地へ。
普通の林道のナイトランが楽に思える。
結構みんなハイペース、20分程でキャンプ地に到着。
沼津RBのサポート隊の歓迎を受ける。
「テントの設営が終わったらこちらのたき火の方に来て下さい。暖かい飲み物と食べ物がありますので。」
甘酒とコーヒーがあり、おいらは甘酒をもらう。
B隊員の事を尋ねると、怪我のほうは打撲と少々の火傷と軽傷だが、一応大事をとって宿舎での宿泊との事。
大した怪我でなくてほっとする一同。
第一小隊はまだ戻って来てない。
悪いと思いつつ、アルコールが入り宴会モードになる我々第二小隊の面々。
突如そばにいた自衛隊員が言い出す、
「よーし交代、今からおまえらに引き継ぐぞー!」
えっ、交代って、引き継ぐって何を?
我々は自衛隊の野営の意味を知る事になる。
自衛隊員「これからおまえらに審番をやって貰う。まー所謂見張りだ。野営地の安全確保を目的とする警護で、我々の野営は必ずこの訓練が含まれる。訓練内容は二人一組みで1時間交代とし、朝の6時まで行う。やる事はたき火の火を絶やさない事、バイク、テントの見廻りを行う事、以上の2点だ。第一小隊が戻って来たら彼等にも伝えろ。では後宜しく」
宴会モードが一気に冷めていく。
とりあえず順番を決める。
我々第2小隊はB隊員が抜けてるため7名、11時~2時まで2、2、3人で分担。
2時以降は第一小隊に引き継ぐ。
12時を回った頃第一小隊がようやく戻って来る。
スバルラインの5合目の駐車場まで薮こぎウッズルートで行って来たとの事。
お疲れーと言って暖かい飲み物を振るまい、一息寛いでもらった後に審番の件を告げる。
驚き更に疲れた表情を見せる彼等、まさに容赦のない地獄の訓練である。
我々第2小隊は第1小隊に比べ、B隊員の負傷退場のおかげで楽をしたようだ。
午前2時、審番の役目を終えおいらは床につく。
「起しょ~う、起しょ~う!!」
午前7時、自衛隊員の声が響わたる。
「よく聞け~、今から30分で荷物を整理して朝食、8時までにテントを畳んで荷物をトラックに積め!」
寝ぼける間もなく慌ただしい朝となる。
配布されたサンドイッチを食いながら、まだ朝露で濡れたテントを畳む。
本日の訓練は、各自のペースでのヒルクライム等の走行訓練。
昼で解散の予定だから昨日のようなハードな訓練は無いようだ。
自分のペースで走ると楽しい。
特にコース4週の模擬レースは楽しかった。
12時に訓練を終え、昼食と風呂。
午後2時に集合し最後に本訓練の隊長が挨拶。
「みなさん御苦労様でした。みなさんにとって厳しい内容だったと思いますが、災害ボランティアとしてしっかりとした行動ができるように、敢えて我々と同じ内容の訓練をしてもらいました。よって本訓練に参加されたみなさんには、我々は信頼して任務任せられます。来年は更に厳しい内容の訓練を行います。もっと体力と技術をレベルアップしての参加をお待ちしてます。
では皆さん気を付けて帰路に着いて下さい。
きょうつけ!
右向けー右!
解散!!」
3へ
ゲストルームへ
「週末の放浪者」携帯版TOPへ
「週末の放浪者」PC版