右向け右・その3(携帯版)

(レポート:したっけ兄さん)



ルート確保の精鋭隊と待機組に別れた我々第2小隊。
オイラは待機組。
B隊員に声をかける、「大丈夫?、寒くない?」
B隊員「痛みの方は落ち着いてきたけど寒いです。」
寒いと聞いて補佐の自衛官、透かさず上着を取り出しB隊員の肩越しにかける。


時刻は8時に成ろうとしている。
吐く息が白い。
温度計を見るY隊員。
Y隊員「今ね、9℃位。寒いよねー、暖かいコーヒーが飲みてー!」
Y隊員今度はランタン取り出し、ローソクに火を着ける。
Y隊員「懐中電灯の電池もったいないから、これで灯りはOKでしょう。」
何て用意いい人だ。
リーダーは携帯ラジオを取り出す。
リーダー「これを鳴らしとけば熊よけになるかな。」
用を足したくなったので、川の方へ行こうとすると、
補佐「待て、何処へ行く」
おいら「トイレです。」
補佐「熊に遭遇するかもしれないので一人で行動するな!」
連れションと相なる。
こうして待機組ののどかな?時間が過ぎていく。

1時間近くは待っただろうか。
精鋭隊が戻ってきた。
ルートは見つかったのだろうか。
あれっ、バイクは?
T隊員「バイクはすぐ向こうに置いてある。ルートは見つかった。トラックもそこで待機している。」
教官「B隊員、大丈夫か?立って歩けるか?」
肩越しに支えてゆくりと立たせる。
B隊員「大丈夫です。歩けます。」
教官「よし!!」
上着を繋いで担架を作る必要はなさそうだ。

教官「これから次の作戦に入る。また待機組と搬送組の二班に分けて行動する。搬送組はルート確保に自分他2名、B隊員を支える者1名、無線機を持つ者1名。ルートの確保はまたT、S両隊員に任す、Y隊員おまえがB隊員を支えろ、無線はおまえが持て。」
えっ、おいらがですか、ラジャー。

ランドセルのような重たい無線機(ベトナム戦争映画に良く出てくる背中に背負っている大きな無線機と同じタイプ)を背負わせられる。
教官「自分の暗号は○×△だ、この呼び出しがあれば応答し現状況を報告しろ」
言われるままに背負った無線機、重要な任務を任されてしまった。
うまく応対ができるだろうか。

B隊員搬送部隊、樹海の闇の中を地図とコンパスを頼りに行進(バイクでなく、歩いての搬送)して行く。
重要なコンパスワークはT隊員とS隊員が行う。
まずS隊員が先に進み10m程の所で止まって合図する。
その位置に向かってT隊員がコンパスを当て、進む方向が正しいか確認し、ずれていれば右に何歩左に何歩とS隊員に指示を出す。
進む方向がOKであればそばの木に蛍光ペンで印を付ける。
この作業を繰り返し、少しづづ慎重に前進して行く。
この作業をミスれば、我々は樹海の中をさ迷う事になる。
果たして無事トラックの所までたどり着けるだろうか?


おいらは無線係り。
歩き始めて15分程経ったろうか、突如無線が入る。
「こちら●●●、○×△連絡くれ!」
うん、○×△は教官の暗号だからお、おいらが応答しなければいけないのか。
「こちら○×△どうぞ」
「○×△、怪我人の状況を報告してくれ。」
「怪我人は両脇を支えられていますが、歩いて進んでます、どうぞ」
「●●●了解した。こちらからそちらの灯りは見えないが、そちらかは見えるか?」
どうやら搬送トラックからの無線らしい。
「見えないです、どうぞ」
「灯りを確認できたら●●●に連絡くれ。」
「○×△了解しました。」
交信は何とか形になったようだ。

10分程歩いただろうか、また無線が入る。
「こちら●●●、○×△連絡くれ!」
「こちら○×△、どうぞ」
「こちらから灯りが見える、確認したいので合図してくれ」
教官に報告すると、教官は懐中電灯大きく回して合図を送る。
「合図を確認できた、そちらからは見えるか?くれ」
「まだ見えないです、どうぞ」
「了解、そのまま直進しろ」
数分後、トラックの灯りが見え無事林道に出る。
B隊員をトラックに乗せ、搬送の任務無事終了。

B隊員の代理ライダー(自衛隊員)と共に来た道を同様の方法で戻る。
行きよりは速いペースで20分程で待機組と無事合流。

教官「よーし、第3の指令の任務再開する。」
休む間もなく直ぐ出発となる。


ダウンヒルセクションをまだ下っていないのは、おいらを含めて3人。
教官「また怪我されてはこまるので、無理であればロープを使うぞ。」

3人共ロープを拒否。
ルートは二通りある。
一つは下って直ぐハンドルを右に少し切って斜めに降りるルート。
この斜めのルートは木の間隔が広いので容易だが、ハンドルを切るタイミングをミスして直進してしまうと木に激突してしまう。
もう一つは、直進ルート。
前半に障害物はないが、後半に大きな木が二本平行して立って居り、バイクがすり抜けられるぐらいの間隔しかない。
B隊員はこの木に激突して怪我した。
おいらは後者のルートを選択、慎重に狙いを定めてイザ。
スピードが速い、何とか木の間をすり抜ける。
げっ、すぐそこに川が......。
ブレーキ!!ふうー、何とか止まり無事成功。
他の二人も成功。
更に闇の樹海への進軍は続く。


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