6、外出先で古銭撮影

 古銭撮影でデジカメが最適な照明は北側窓越しの晴れの自然光である。また古銭を外部で撮る時必然的にデジカメになるが、室内で暗い場所がほとんどである。従って照明が一番問題である、北窓越しの自然光などまずは期待できない。室内は天井蛍光灯がほとんどの環境である、人間の目はネコほどでは無いが暗さに慣れる。しかしデジカメは微妙に暗さが変化しても、ISO感度は大きく違う。ほとんどのケースでISO感度は室内で400に設定する必要がある。照明機であるがマクロ撮影ではフラッシュは止めて外部連続照明機になる。
 拙者も照明には頭を悩ませ、古銭デジカメマクロ撮影の最適照明方法を探り出せないでいる。試行錯誤の中から現在は下地に真っ白の紙シート・カンテラ風の小型蛍光灯を使っている。この小型蛍光灯と小型LED灯を古銭の回りで画像が最もよく写る場所を手探りで探っている。様は照度の環境は常に変化しているのでそれを探る。
 デジカメの設定はIXYL2ではプログラムAE(A720ISは絞り優先でF2.8)・マクロ・曇り・ISO400・中央重点平均・約500万画素にしている。さらに撮る古銭の種類により露出補正が必要です、金貨ならー0.7、銀貨なら0、銅貨なら+0.7に露出補正する(ただしデジカメにより数値は前後する)。撮影モードはくっきりカラーを選ぶ。その後平行撮影・手振れに気をつけてシャッターを切る。撮影後は必ず画像を表示し確認をする。
 あとはパソコンへの入力になるが、達人でカードリーダー(スマートメディア・コンパクトフラッシュなど)からの読み込みになる。なおカードリーダーは複合機からも読めるが遅いし複合機メーカのSOFTが自動稼動するので、別途高速のカードリーダーをUSBに付けた方が良い。(撮影サンプル参照5、canonIXYL2(図1)・canonパワーショットA720IS(図2)、曇り北側窓越し、設定は既載の通り、文銭正字)後はスキャナーと同じ画像編集を実施し背景を白色に加工する。なお平行に撮影できなかった画像の修正は、紙幣など四角形は可能であるが、円が楕円に撮れた物の修正は無理と考え複数枚撮る。 

「参照3、デジカメ照明のセット」


なお北側窓際の自然光で撮っても陰影が出来る、この影を消すには点灯したライトボックスに古銭を載せて撮る方法もある。

7、拓本の概要

 古銭画像のもう1つ大きなテーマに穴銭の拓本画像がある。拓本の方法に湿式と乾式があるが、穴銭では油墨を使う湿式が一般的である。しかし湿式の拓本採りは根気・手間と経験を必要としなかなか上達がしない。また拓本に合う良い画仙紙を探し出すのに大変苦労する。和紙を含めて中国紙も同じ銘柄でも生産時期が違うと画仙紙の出来上がりが一定しない。油墨の選択も難しく、色合いの好みなどで人により墨は違うとも言えるほどバラツキがある。
 拓本は意外と新しく江戸時代に中国より渡来した。湿式は乾式より細かい部分も明確に採れるが、欠点として乾くと紙が縮むことである。なお乾式は水分が無いので縮むことも無く取り扱いが楽である。写真の無い時代は古銭の画像は全て拓本で、拓本を元に版木を彫り銭譜も残されている。拓本画像をパソコンに取り込むはスキャナーで入力する。

8、穴銭現物から拓本画像を作る

 穴銭現物があり拓本の画像を作る場合、職人芸を必要とせず誰でも同じ拓本の仕上がりを求めて、乾式の拓本方式で採り編集する。なお湿式が得意な人は勿論正式拓本をとる。

(1)捺印マット・穴銭・トレシングペーパー(下部)・カーボン紙・トレシングペーパー(上部)・ガイド枠順に置く。ガイド枠紙を左手で押さえ固定する。ここで紙の選択であるが、拙者は乾式拓本のときは製図用の無地のトレシングペーパー(もっとも薄い40g/u)を2枚使う。
(2)まずはバレン(版画刷り竹皮コテ)で穴銭全体を擦る。次にツゲ印鑑の横腹・頭で穴銭の凸部を擦る。次に蝋墨(釣鐘墨)で古銭の凸部を筆順に沿って丁寧に擦る。蝋墨が無ければ色エンピツで代用できる。
(3)浮かび上がらない凸部をチェックして、さらにチェック箇所を集中的に擦る。
(4)トレシングペーパー上を蝋墨で穴銭全体がくまなく擦りあがれば作業を終了する。拓本は下のトレシングペーパーに出来る、即ち一番上のトレシングペーパーは捨てる、擦り残し箇所を見つける工程チェックシートである。(拓本サンプル参照5・図4、文銭正字)
(5)達人でスキャナーから拓本を取り込み、後は通常の画像編集を行う。なお薄く汚れた箇所はモノクロで黒・白の2極化にして黒色を減らす。またはブラシツールの消しゴム又は白いマーカーで消す。

「参照4、乾式拓本のセット」

「参照5、撮影・拓本無修正無加工サンプル」
図1canonL2 図2canonA720 図3hp7210 図4乾式拓本
L2画像の修正 A720画像の修正

注)スキャナーはライトボックスを被せるだけで、ほぼ無修正で使用可能です。デジカメでは陰影を消すに曇りの日でもライトボックスに穴銭を乗せ、さらに画像編集で明るくした事例がL2・A720画像の修正です。デジカメ・デジイチの銅等金属の色再現は一般にフイルムカメラよりも劣ります、これは今後の課題でしょう。

9、穴銭写真から拓本モドキの作成

穴銭現物が無い場合に穴銭写真をデジカメ撮影して、写真(画像)から拓本画像作ってみる。達人の例で述べるが、他社SOFTでは一致する用語(意味が同じ操作)に置き換えて画像加工をしてください。

準備・達人おまかせのナビ→写真を編集する→簡単できりぬく→ファイル・フォルダーから開く→加工目的の画像を選び、これを「穴銭画像」と呼ぶ。

(1)穴銭画像を効果のモノクロのグレースケール画像にする。ツール・選択ツール・似た色選択で白部分の背景、追加で穴の中をクリックし選択範囲を決め、選択範囲の反転をクリックする。
(2)編集の選択範囲外の削除をクリック、すると選択範囲(古銭)外が透明になる。ツールのブラシツールを使い、白マーカー・消しゴムでゴミを取る。
(3)効果・グレースケールの2階調化(白黒化)をクリックする。2階調化のサブ画面でしきい値のレバー右にスライドすると、拓本画像が見えてくるので黒くなりすぎない時点でレバーを止める、OKをクリック。
(4)予め背景が白の用紙画像をファイルの新規作成で用意して置き、背景透明の画像を編集でコピーをクリックし、白用紙画像に編集の貼り付けをクリックする。ツールの移動で拓本画像を白背景の真中へ。なお新規画像は消すが慣れないときは、別途名前で保存して置く。
(5)ツールのブラシツールをクリックし、消しゴムを選んで凹面の残りゴミを消す。ファイルの名前を付けて保存で拓本画像が出来る。

「参照6、拓本モドキ例」

 ゴミ消しはブラシのサイズ変えてこま切れに消し、間違えば編集で元に戻して再度消し作業を進める。ゴミ消しは慣れと根気が必要です。消しゴムが使いにくい箇所はマーカーペンで白塗りを行うなど試す。
 穴銭写真は凸部と底の凹部のコントラストがはっきりしている方が拓本モドキはうまく出来る。また凸部が白く凹部が黒い場合はネガの反転を行って、2階調化作業を実施する。

10、撮影後の電子メール添付fileの作成
 古銭撮影後はホームページに載せる人、印刷する、CD(DVD)化する、仲間にメール添付する人と色々な場合があります。この場合餅は餅屋と専門のSOFTを選択します。特に電子メールで添付fileにして送信する場合のSOFTの選択が重要です。写真はJPGであり、送信用にヘタにピクセルを削ると小さい表示になり見易さが欠ける。ピクセルは圧縮されるが表示画像はある程度のサイズ(640×480ピクセル=
156×117mm)が望まれる。また旅行写真などは1枚だけでなく複数枚(15枚位)まで一度に送信処理できることも必要です。そんな機能を持つSOFTとしてCANONカメラを買えば添付されているZoomBrowser EXがお勧めです。送信写真の複数ピックアップ選択から電子メール添付機能まであり重宝します。例では元が1.4MBの写真のJPGを圧縮して106kbと約7%にして送信した。なお相手の返信に添付する場合は一時フォルダに書き込む手間は必要です。Outlook Expressを使用例でツール・アカウント・プロパティ・詳細設計として送信サイズを200Kb位に分割して送信すると、相手が受信時に自動的に組立統合される。
  また相手に送信する時は相手の回線種類を確認することが必須です、ヘタに一般電話回線の相手に送れば回線がパンクして、プロバイダーの送信サーバーを消去する騒ぎになります。

おわりに、拙者は写真撮影も画像加工技術も専門家ではありませんが。この古銭画像の作り方がヒントとなり、さらに磨きのある古銭の画像が出来ることを願っております。以上