古銭の撮り方と編集

   平成20年6月   花野 韶  

 デジカメで古銭を撮る時、なかなか満足ゆく画像が撮れません。コインの入札誌を見ればさすがプロの撮影と感嘆します。 古銭の撮影は、デジカメ撮影でいえばマクロ(接写)撮影になります。マクロ撮影に強いデジカメ機種選びが非常に重要です。まずはコンパクトデジカメから述べます。

1、コンパクトデジカメの選択

最近の流行で広角から望遠まで撮れるコンパクトデジカメ(略・デジカメ)が多くなりつつあります。広角レンズになる機種はマクロ撮影も強いと勘違いしますが、広角撮影とマクロ撮影は違います。広角になるよりは最小が標準レンズ(35mmカメラ基準で35mmレンズ)になっているデジカメの方が接写は良く写ります。また古銭に接近して撮るので、デジカメのマクロ設定で最小撮影距離は最低でもレンズから5センチ以下であること。画素数は五百万画素以上がほとんどで気にする必要もありません。カタログから調べても、新機種がドンドンと登場しています。
 そこでカメラ屋の店頭に行って、千円札の野口英世の名前の右側をテストでマクロ撮影してみましょう。NIPPON GINKOのマイクロ文字(左斜)が綺麗に表示出来るかで目安が着きます。なおCANONは拡大表示にメモリーカード(SAカード)が必要です。撮る条件は店頭の室内で、マクロモード・曇り・ISO400・フラッシュ無し・五百万画素近辺・中央重点になり、オート撮影だけでは難しいです。ズームレンズより単焦点(標準固定)のレンズがマクロ撮影には向いているが、この形式のデジカメは現在発売されてなくデジタル一眼になります。古銭撮影で気を付けることは照明がカメラの陰にならないように・平行平面に撮る・手振れを起さないことです。
 「参照1、デジカメのチェック」

2、デジタル一眼からの選択

デジタル一眼(略・デジイチ)でファインダー撮影は、古銭の接近マクロ撮影には向きません。液晶モニターで撮れる機種に自ずとなります。交換レンズは単焦点の等倍マクロレンズ(3センチの品が最大3センチに写せる)を選びます。自然とオリンパスのE―420と35mmF3.5マクロの組み合わせが価格の点からも良いでしょう。35mmF3.5レンズであっても、近づけるのは約15cmまでであり、デジイチは古銭から少しは離れて撮ります。離れた古銭撮影では照明が問題になります。従って晴れの昼間の北窓際撮影が可能な日にかぎり、デジイチを持ち出せるとどうしても制限されます。またオリンパスE―420は最軽量のデジイチであるが、やはりコンデジより重くて持ち運びに劣ります。またデジイチの主目的がコンデジでは出にくいボケ味(被写界深度が浅い)を出すことにあるなら、古銭撮影は反対に底面までスッキリクッキリ(被写界深度が深い)に写すのでむしろコンデジが合っていると思う。

3、スキャナーの選択

 デジカメの撮影で問題になるのが、照明になります。スキャナーは照明を考慮する必要が無く手軽に使えます。しかも最近はプリンターと合体した複合機が主流で、複合機のスキャナーを選択します。複合機の選択はスキャナーがCCD型にします。最近はCIS型が多いがやはり古銭のスキャンには高額だがCCD型の方がいいです。解像度は2400DPIなどと仕様にあるが、解像度がMAXになってスキャンすることは無く、実際の読み取り解像度はかなり低いです。選択は店頭でコイン・穴銭(5円・十円・百円・寛永通寳)を並べてコピーすれば、機種の良し悪し見当が付きます。

4、古銭撮影の概要

 予算や機能を加味して、自宅での古銭撮影はスキャナーを、外出先室内での撮影にはデジカメを選択します。私が使っているスキャナーはHPの7210複合機、デジカメはCANONのIXY L2である。今日これらの複合機やデジカメには新機種が出ています。しかしIXY L2は新機種に劣らぬ性能を持っています。このデジカメは標準単焦点のレンズが明るいので重宝しているが、後継機が無いのがネックである。実際L2以降ズームデジカメのCANONパワーショットA720ISを買った、良い箇所は水平に撮り易いグリッド(格子)ラインが表示できる。しかし暗い場所のマクロ接写ではL2を超えられない。照明はフイルム検査用の小型ライトボックス及びカンテラ風小型蛍光灯が特色ある、使い道は後ほど述べる。古銭撮影の目的は入札誌の写真画像に出来るだけ近づくこととする。SOFTはIBMのデジカメの達人POWER+を基本とします。一般にはphotoshop element 3.0が多いが、スキャナーを使う場合はデジカメの達人POWER+はスキャナーメーカーSOFTに連動して使い易い。

5、スキャナーでの古銭撮影

 スキャナーに古銭を載せ、パソコン上にデジカメの達人を立上げスキャナーでの読み取りを起動させる。スキャナーは照明及び平行撮影を考慮せず夜間でも使用でき便利であるが、反面大きな欠点がある。これは副走査の光源が必ず陰影を作る。陰影はほとんどのスキャナーで向かって右側に出来る。影を見えなくする簡単な方法は黒い台紙を被せてスキャンする。これは小判・銀貨は色台紙でも良いが、入札誌などを見ると穴銭は背景が白い。陰影があるままデジカメの達人(以降「達人」と呼ぶ)で画像編集しても、影の部分は古銭の一部と判断され陰影がくっきりと残る。そこで陰影を出さない工夫が必要となる。拙者の秘伝は古銭の上に点灯したライトボックスを載せる。スキャナーに外部光が入らない様に裏地が白い遮光布を被せる。この準備をしてからスキャナーを動かす。
 

「参照2、スキャナーのセット」

 スキャナーの最大のメリットは金貨・銀貨・銅貨の3種一度に読み取ってもそれぞれの色合いの発色が出る。デジカメはこの混合団体撮影の各発色が困難である。読み取り後新ファイル名で記録する。画像編集は達人の編集を開いて、目的の画像を表示する。目的の古銭画像が開いたら天地を真っ直ぐに角度調整後・トリミングで切り出しを行う。(hp7210スキャンサンプル、参照5・図3、文銭正字)背景は薄いブルーになっているので白に替える。背景を白くするには2つの方法がある。

(1)簡単な方法は補正・色温度補正・昼間で強度バーを低める。すなわち明るくして背景を白にし、強度バーで低く調整し古銭画像はクッキリと表示する。

(2)別な方法は加工・塗りつぶしツールを開き・色を白に変え(クリックで黒から変える)・背景をクリック・さらに白くするなら・もう一度クリックする。

これらの操作でより仕上がりがいい画像を選択する。白背景の画像が出来れば名前を付けて画像を登録する。登録した古銭画像を印刷・ホームページに挿入する。