2003年11月16日更新

渡英前準備

<ご注意>本ページの情報は2002年7月から10月にかけてのもので,特に入国に関するルールは2003年11月以降変更されています。したがって,本ページ掲載事項はあくまで参考情報としてください。

「いろいろ準備大変でしょう」
よく言われますが,本人は結構のん気だったりします。
一応,何したかなあと考えるとこんな感じです。

1.身分の確保 2.学位取得 3.受け入れの決定 4.ダイエット
5.航空券手配 6.家族の方針 7.ダンス関係 8.語学
9.文献レビュー 10.出国手続き(1) 11.荷物搬送 12.壮行会
12.出国手続き(2)

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1.身分の確保
 学生としてではなく,ポスドク研究員として留学したいと思った場合,(よほどの金持ちでない限り)何らかのGrantが必要でしょう。運がよければ受入先が確保したGrantを利用することもできるが,そうでなければ自分で確保するしかないです。
 社会科学のポスドクが海外に行けるプログラムはそんなにないです。自分は,学振の海外特別研究員,特別研究員(PD),JSTの若手研究者海外派遣(自然科学対象),新渡戸フェローシップの4つに申請を出しましたが,結局通ったのは学振特別研究員(PD)のみで,海外特別研究員は面接で撃沈,JSTは農学部所属だからと出してみたものの案の定書類審査でペケ,新渡戸フォローシップは補欠留まり(「辞退者が出た場合繰り上げ」といわれていたが,結局繰り上がらず)。
 ご存知のように,学振特別研究員として海外の研究機関に赴任する場合,いくつかの制限がある。まず,海外滞在期間が「採用期間の半分」を超えてはならない。自分の採用は3年間であるため,自動的に上限は1年半。この他に,特別研究員には科研費がつくが,科研費のルール上1年度あたりの海外渡航は10ヶ月までという制限がある。
 というわけで,自分は1年半イギリスに滞在するとは言っても,1年半の間は主たる住居を英国に置くものの,実際には何度か日英間を往復することになる。
(2003年11月追記)学振および科研費の制度はどんどん変わっています。例えば,科研費の1年度あたり海外渡航制限10ヵ月という縛りは2003年度からなくなりました。[Top]
2.学位取得

 留学準備に「学位取得」を入れるのは何とも博士をなめているが,それはおいておいて(笑)。自分は2001年度中に学位を取得することを目標にしていたわけであるが,それに加え,今回の受入先の教授から,受入条件として学位取得を指示されたため,身分の確保に成功した自分は学位論文執筆に精を出すことに。
 紆余曲折を経ながら,20021月に教室研究会(予備審査),2月末に論文提出,4月審査会を経て,20025月に学位授与決定。[Top]

3.受入の決定
 受入先のボスが向こうの大学内の手続きを済ませてくれたので,自分は何もせず。2001年春にGrantの申請をするときに,ボスにVitaeを送ったので,それで手続きをしてくれたらしい。自分の受入れは要するに「コネ」なので(笑),特殊なのかも。ちなみに受入身分は「Visiting Postdoctoral Research Fellow」。客員研究員というところか。[Top]
4.ダイエット
 「イギリスの食事はまずい」これ定説である。「まずいからやせる」説と「まずいからこそ太る」説がある。どちらにしても健康が一番なわけだが,それ以前に自分は4月の学位論文の審査会が終わった時点でベストより9キロオーバー(!)していたので,こりゃまずいということでダイエットにチャレンジ。2ヶ月間かけて9キロ落としました。6月初旬に大学の健康診断を受けたときに,先生から「体重はちゃんと維持していますね」と言わしめた自分はすごいかも(笑)。その方法は「変なものは食べない:ジュース・スナック・ファーストフード禁止」,「食べ過ぎない:大盛り・間食禁止」,「夜は食べない:夜9時過ぎたら水以外口にしない」,「運動する:走って基礎代謝を上げる」と言ったもの。まだダイエットに苦労したことはないけど,そのうち落ちにくくなるんでしょう。今回は体重は元に戻ったけど体脂肪率は1.5%くらい高止まりしたので。[Top]
5.航空券手配
 あたり前ながら,航空券が必要です。今回は1年半の間英国に本拠を構えるわけだが,学会参加などの都合で10月に一時帰国するため,3ヶ月オープンのチケットを手配しました。BA(British Airways)でコミコミ197,000円。4月中には予約しました。乗継便ならもっと安いのもありますが,なんだかんだで直行便にしました。ちなみに自分はスターアライアンスをひいきにしているが,日英間で使えるのはANAとSASだけ。ちなみにBAはJALと提携。
>後日談:BAは正規運賃でないとJALのマイレージに加算されないそうです。
>2003年11月追記:一年半の滞在期間中2度一時帰国しました。したがって,3ヶ月オープン,1年オープン,3ヶ月オープンという3種類の航空券を手配。[Top]
6.家族の方針
 これでも結婚していて,勝手にふらっと英国に行くわけにもいかないので妻と相談。妻はビジネスコンサルタントとして我が家を支えてくれているのだが,今回を機に退職することに。子供が欲しいとか仕事がしんどいからそろそろゆっくりしたいとかまああるわけですが,会社の側の都合もあり,妻は年内いっぱいは働き,年明けから渡英することに。というわけで最初の半年は一人暮らし。それにしても,退路は断たれたわけで。[Top]
7.ダンス競技会出場/ダンス連盟引きつき
 だんだん本質から外れている気が(笑)。自分は夫婦でダンススポーツをやっているのですが,かつてA級だったのに,競技会にも出ずにブラブラしていたら,いつのまにかC級。このまま渡英すると来年度D級,帰国する頃にはノービス。要するに一からやり直さなければならないので,重い体を引きずり4月に競技会出場。練習不足も甚だしく,ボロボロになりながらも準決勝まで生き残り,来年度B級昇格決定(来年度は出ないので,帰国する頃にはまたC級・・・)。
(ダンス連盟引継ぎ)選手であることに加え,日本ダンススポーツ連盟の仕事をお手伝いしていたので,その引継ぎ。多くは語りたくない(苦笑)。2002年7月8日に引き継ぎ完了!(終わってないって?)[Top]
8.語学
 英国に行くんだから,当然英語が必要です。「英語ができる」と言ってもどこまでできれば「できる」と言えるのかすらよくわかりませんが,少なくとも今の英語力で十分ではないことは確かなので,ベルリッツのセミプライベートコースへ。先生1人に生徒が2〜3人という組み合わせ。中級クラスに10回(20レッスン)だけ行きました。総合評価からすれば,やはりタメになります。ただし,講師による差は大きいです。いい先生はいいですが,ダメな人はダメ(自分のコースは先生がローテーションで入れ替わる)。悔やむべきはもう少し長く通えばよかったかなと(5月から通い始めたので)。でも,日常ではなかなかめぐり合わない社会人の方と知り合えたし,楽しい時間でした。ちなみに気になる費用は20回レッスンの授業料が75,000円ほど(1レッスン40分),それに入学料と教材費合わせて14万円くらいでしょうか。高いといえば高いですが,留学する人には必要な出費でしょう。
 あと,英会話スクールにもいろいろありますが,どこがお勧めなのかは知りません。ベルリッツにしたのは,複数の友人がベルリッツがよいと言っていたのを鵜呑みにしただけで,他の学校との比較はしてません。[Top]
9.文献レビュー
英国に関する日本語の文献は結構たくさんあります。まあこっちで勉強できるものは勉強していこうと。英国はいろんなことを歴史が規定している国ですから,色々と予備知識を蓄えることは有効でしょう。読んだ本の内容については読書日記を見てください。まあ,いっぱい買ったけどその多くは読まないまま向こうに持っていかざるを得ないわけですが(笑)。[Top]
10.出国手続き
(1)採用証明書
学振からの採用証明書。入国審査できちんと身分があって所得もあることを証明できる。
(2)インビテーションレター
受入れ先の大学からのインビテーションレター。入国審査で「招待」されて来ていることを証明できる。
(3)学位取得証明
受入先には,学位を取ったことを口頭(というかメール)で伝えているだけなので,きちんと取ったことを証明しないと(笑)。
(4)国際免許証
はやいところ取っておかないと(2002年7月1日)。無事に取得(7月2日)。
(5)保険
3ヶ月まではクレジットカードでカバーできます知らなかった。
(6)労働許可証
日本人の場合,滞在1年以内の研究者には労働許可証はいらないのだが,1年を超えると必要らしい。これは本人というより大学にやってもらう作業なので,詳細については渡英後に書きます。
(2003年11月追記)労働許可証など入国に関するルールは2003年11月より変更されていますので,英国大使館できちんと確認されることをお勧めします。[Top]
11.荷物搬送
まだ送ってない。大して荷物がないなら別にいいんだけど.。要するにまだ荷物をまとめていないということか(2002年7月1日)。
特別郵袋印刷物というのがある。郵便局が用意する袋に印刷物を入れれば安く本を送ることができるというもの。ダンボール4箱にセーブしたのだが,50キロで4万円ほど(SAL)だった。ちなみに量り売りのような形で,キロ当たり800円くらいで特にボリュームディスカウントはない。文系の場合,これは必須でしょう。さて,7月8日に発送したが,いつ届くか?
>後日談:7月12日に届いた。東京国際郵便局を7月9日に出たようだけど,ちょっと早すぎ?
>さらに後日談:10月23日夜に出した第2弾は10月31日朝到着。約1週間。
家の荷物(衣類など)は,普通にSAL便で送付。こちらは約10キロ×3箱で4万円弱。7月9日に発送。
>後日談:7月29日着。正味20日間。ガイドブックの「2〜3週間」にぴったり(笑)。
>さらに後日談:10月17日に出した第2弾は25日到着。同じSAL便なのにこの気まぐれな所要日数は謎。[Top]
12.壮行会
ありがたいことですね。一緒に仕事をした先生方(6月17日)/高校の陸上部の同期のみんな(6月29日)/大学研究室(7月2日)/ベルリッツでご一緒したお兄様方(7月3日)/大学院生有志(7月4日)/結婚間近のカップル(笑)(7月7日)/妻の会社の上司&高校の先輩(7月8日)⇒皆さんありがとうございました![Top]
13.追記(2002年10月):本格渡英
(1)住民票・健康保険
国外転居の場合も通常の転出手続きをしますが,転出先を「海外」と申告すると「転出証明書」は発行されません。帰国時に改めて転出証明書を発行してもらい,新たに新住所の手続きをすることになります。つまり,海外にいる間は住民票がどこにもないわけです(当たり前か)。
 国民健康保険に加入していた場合,当然ながらそれもなくなります(受け入れ市町村がないので)。
(2)国民年金
 海外にいる間は国民年金を払う義務はありません。ただし,何らかの理由により海外在住中も国民年金を払いたい場合,@最後に住民票があった市町村に家族がいれば,家族に頼んで払う,A「日本国民年金協会」で手続きをする,の2通りがあります。自分の場合,練馬区に家族は住んでいないのでAに該当。要は専用口座を開設し,そこにお金をいれておけば月々引き落としてくれる,という仕組み。
(3)家具・家電
 練馬の賃貸マンションを引き払い,かみさんの実家の一室を倉庫代わりにするという戦略をとりました。英国に持っていくのは主に衣類。家電は電圧が大きく違う(240V)ので,ほとんどが持っていけません。
(4)電話加入権
 水道光熱関係は,通常の転出手続きで十分ですが,電話加入権は「利用休止」の手続きが必要。5年間は預かってくれます。また,東京電話など他の電話会社と契約していた場合は,そちらへの連絡も忘れずに。
(5)住所変更手続き
 海外への登録住所変更に対応してくれるところは少ないので,大抵は国内に転送先を設定することになります。自分の場合,研究に関連するものは大学に,プライベートなものは実家に登録住所を変更し,大学の方は後輩の院生に「英国転送係」をお願いしました(実家は当然両親)。
 郵便は転居届できちんと転送してくれますが,雑誌の定期購読などはクロネコメール便など宅配業者を利用しているケースも多く,転送されない場合があります。自分の場合,明らかに宅配業者が配達しているものはきちんと住所変更してから渡英しました。今後,自宅・大学を経由して転送されてくる郵便物を見ながら,引き続き住所変更手続きを継続していくことになるでしょう。
(6)戸籍謄本(抄本)
 自らの身分を証明する一番のツールはパスポートですが,戸籍謄(抄)本は役立つことがあります。もちろん日本語が通用しない現地でそのまま通用することはありませんが,現地の日本大使館で何らかの申請をするときに戸籍謄(抄)本が要求されることがあります。海外からの戸籍謄(抄)本申請は不可能ではないと思いますが面倒なので,出国前に取得しておきましょう。
(7)銀行残高証明書
 再渡英時に入国審査で結構時間がかかったという話をしましたが,銀行の残高証明証を持参すればもっとすんなり審査に通るそうです。[Top]

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