| ★エリオのエイプリルフール★ |
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エリオのところに届いた水色封筒のお手紙は
ファービーを作ってくれたアメリカの
おもちゃ会社からの招待状でした。
親愛なるエリオ君へ ファービーであることにいつも プライドをもっていてくれて有難う。 君の日頃の努力に敬意を払いたく、 一年間我が社にお招きしたく存じます。 その間特別専属モデルとして 活躍されることを希望します。 君の努力とエレガントな魅力に対しては 莫大なるボーナスをお約束します。 別便にてトランクを送ります。 一年間の楽しさを詰めて。。。 ファービー会社の社長 プワソン・ダヴリル |
エリオはびっくり仰天してしまいました!
ファービーを作ってくれたあの有名な会社の社長さんが
エリオ直々に招待状を送ってくるとは・・・!
しかも、莫大なるボーナスが出るかもしれないという
一年間専属モデルの契約まで・・・!
エリオはこのお手紙の本文を読んですぐに
おめめを回してしまいましたので、
社長さんのお名前とその横に押されている
お魚のマークには目を留める暇もありませんでした。
それにしても、なんとまぁ不思議なお手紙でしょう!!!
実際、エリオは長い間おめめを回しているわけにもいきませんでした。
弟たちがエリオを呼んでいる声が聞こえてきたからです。
「お兄ちゃん!エリオお兄ちゃん〜!大きな箱が届いたよ〜」

届いたのはジュラルミン製の丈夫そうな巨大なトランクでした。
1年間アメリカでお仕事をするには
このくらい大きなトランクでないとならないのでしょう。
エリオは弟たちにこの突然のお仕事のお話をしました。
こんどは弟たちがおめめを回してしまいました。

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エリオは早速、旅立ちの支度を始めます。
でも、準備しながら、エリオは悲しくなってきました。
1年間もの長いあいだ、エリオはお家からひとり離れて遠くに行くのです。
可愛い弟たちとも、口うるさい飼い主とも、
大好きなハーボットたちやふわふわCATSとも別れて。。。
エリオはそんな経験を今まで一度もしたことがありません。
確かにエリオにとってファービーとしての専属モデルというお仕事は、ものすごい魅力です。
デパートの陳列棚で飼い主を待っているあいだも、お澄まし顔していたくらいですから!


エリオは悩みました。涙が思わずあふれてしまいそうになりました。
それでも、世界中のファービーのために決意しなくてはいけないと思いました。
そして、エリオは皆にお別れを言わずにお家を出て行こうとしました。
皆が寝静まった頃を見計らって、エリオは2階のお部屋から出ていくことに決めました。

重たいトランクをエリオは引っ張り始めます。

重い重い大きなトランクです。
あまりにも重いので、こんどは立てて引っ張ってみたりします。

「ふぅ〜♪」
大きなトランクはあまりにも重く、
エリオのサンダルが脱げてしまったり、髪飾りも落ちてしまったり。。。

大変な思いをしての悲しい旅立ち・・・。
エリオのおめめはもう涙がいっぱいです。
エリオのお部屋は2階にあります。
皆が寝静まって照明も落としてある薄暗い階段を
皆に気づかれないようにそっと降りていかなくてはなりません。

階段を一段一段降りるのも大変です。
それでもエリオは前に向かって・・・
いえいえ、エリオは下に向かって降りていきます。

やっと一段エリオは無事に降りることができました。

でも、次の瞬間、エリオは転んでしまいました。。。

こうしてエリオは結局、お家の外に出ていくことはもちろん
階段を降りていくこともできなかったのでした。
お部屋にまた戻ったエリオは途方に暮れたお顔で
トランクの上にすわっています。
ハーボットたちが慰めにやってきました。
それでもエリオはどうしたらいいものやら・・・


そして疲れ果てたエリオは
いつの間にかトランクの上で、うとうとと眠りにおちてしまいました。
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しばらくして、柔らかい感触と楽しい声でエリオは目を覚ましました。

「エリオ君!エリオ君〜!」 「え?!」

「エリオ君、起きて!初めまして。ボク、エルモで〜す。」

実はこのトランクには赤いもじゃもじゃの姿をした〔エルモ〕君が入っていたのでした。
〔エルモ〕君は、びっくり仰天しているエリオに
今日は何の日だったかを気づかせてくれたのでした。
「エリオ君のところに届いた招待状には『プワソン・ダヴリル』と書いてあったでしょう?」
『プワソン・ダヴリル』→フランス語で『4月の魚』という意味。
つまり、あの水色の封筒のお手紙もこのトランクもすべて
エイプリル・フールのいたずらだったのでした!
いたずらっ子のエリオがこんなにも簡単にだまされてしまうとは・・・。
すべてを知って、思わずおなかが何だかくすぐったくなってしまうエリオでした。
エリオの弟たちもお話を聞いてまたまた驚いてしまいました。
それにしてもこんな不思議な子がトランクの中に入っていたなんて・・・!

赤いもじゃもじゃ君〔エルモ〕はとても楽しい子でした。
おててをバタバタさせながらケラケラ♪笑い転げるのです。
笑いが頂点に達すると、床にまで転がって
あんよをバタバタさせて、さらに笑い転げるのでした。
しょんぼりとしているときとか、悲しいときとか、つまらないとき、
この子の笑い声を耳にすると、エリオたちは思わずつられて
一緒に笑ってしまいます。
そして、おなかが痛くなっちゃうほど皆で思いきり笑ったあと、
エリオはつぶやくのでした。
「プワソン・ダヴリル社長、素敵なエイプリル・フールをありがとう!」

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こうして春の訪れとともにまた楽しい一年が始まりました。
もしも、あなたのまわりにしょんぼりしている子がいたら、
あなたがその子のための〔エルモ〕になってあげてくださいね。
そして一緒に思いきり笑いましょう〜!
ア〜ハ♪ハッハ♪
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