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聖遺の天使/三雲岳斗 |
2003年発表 (双葉社) |
奇蹟を示す香炉の謎については、香炉に注意を引きつけておいて別のところにからくりが仕掛けてあるというトリックは、なかなかよくできていると思います。
一方、磔になった死体のトリックは、柄刀一の某作品((以下伏せ字)『マスグレイヴ館の島』(ここまで))と似たような印象があり、今ひとつ面白味に欠けるといわざるを得ません。しかしこのトリックが、正確にいえばレオナルドがこのトリックを解き明かしたことが、 “天使{アンジェロ}”が人名だという真相は予想できてもおかしくなかったのですが(アンジェロ・ディ・リービオというイタリア人サッカー選手が……)、“天使”という字面が強調されているせいか、してやられてしまいました。余談ですが、欧米人の命名の感覚は、ごく平均的な日本人からすると理解しがたいところがあると思います。スペインあたりでは“ヘスス”(=Jesus)という名前までありますし……。 そのアンジェロ少年については、ホムンクルスというダミーの解決によってコンタリーニが怯えてしまうというこの時代ならではの展開も面白いと思いますし、アッラマーニが彼を幽閉した理由の鮮やかな反転も印象的です。 2005.10.18読了 |
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