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アプルビイズ・エンド/M.イネス

Appleby's End/M.Innes

1945年発表 鬼頭玲子訳 論創海外ミステリ27(論創社)

 豚や牛とすり替えられた彫刻の出所を考えれば、レイヴン家の人々が関わっていることは明らかでしょう。そしてそうなると、エヴァラードが意図的にアプルビイ警部を誘ったこともわかります(アプルビイ警部の顔写真と名前が掲載された新聞という伏線もあります)。しかし、どこかユーモラスなその動機はよくできていると思います(ちなみに、似たような動機の作品を読んだことがある気がするのですが、思い出せません)。また、それが相続問題にまで発展してしまうという、“犯人”たち自身も予期せぬ展開が秀逸です。

 そして、アプルビイ警部はおろか、陽動作戦を試みたスミス司祭まで巻き込んだ大騒動に、それまで傍観者の立場にあったクラリッサが爆弾宣言でけりをつけてしまうという結末が素敵です。

 それにしても、アプルビイ警部の手の早さ(?)には驚かされました(笑)。

2006.05.29読了

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