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奇蹟審問官アーサー 神の手の不可能殺人/柄刀 一 |
2002年発表 講談社ノベルス(講談社) |
4つの殺人の中では、最後のパサレラ殺しが一番よくできているのではないかと思います。目に見える現象(扼殺の痕が浮き出てくる)が鮮やかで、不可能性も高いと思いますし、青酸ガスによるものという真相も秀逸です。逆に今ひとつなのがケロール殺しで、窓の鍵の構造などがわかりにくいため、解決にもピンときません。ただ、いずれもよくできたトリックであることは間違いありません。 事件の犯人はうまく隠されていると思います。特に、バーソロミューが墜落してきたガルデルの死体と遭遇する場面や、パサレラと争った結果ガラスの剣に突き刺される場面などが直接描かれていることが、見事なミスディレクションになっていると思います。共犯という真相にはやや物足りなさも感じられますが、致し方ないところかもしれません。 また、動機が宗教絡みになってしまうのはある意味当然ですが、その背景となっている天然原子炉のくだりは意外性も高く、よくできているといえるのではないでしょうか。 2002.11.12読了 |
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