ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.97 > BG、あるいは死せるカイニス

BG、あるいは死せるカイニス/石持浅海

2004年発表 ミステリ・フロンティア(東京創元社)

 本書の最大の見どころはやはり、犯人が優子をレイプしようとした理由でしょう。しかもそれが、もう一方の謎である“BG”の真相が明らかになって初めて理解できるところが秀逸だと思います。

 どうしても気になってしまうのが、警察による捜査のずさんさ、より具体的にいえば校長が容疑者となっていないところです。優子の遺体に残されたレイプ未遂の痕跡については、もちろん女性の犯人による偽装の可能性もあるでしょうが、やはり男性の関係者が最初に疑われるのが当然でしょう。そして、佐々木先生が容疑を免れた理由は最後に説明されていますが、校長についてはまったく示されていません。
 警察が介入していなければ、遙が当初そうだったように、校長の老けた外見に騙されてしまってもおかしくはないのですが、警察が校長の実年齢を把握していないとは考えられず、たやすく容疑を免れるはずがないでしょう。
 実際にはさらに、佐々木先生も校長の実年齢を知っていたわけですから、よけいに無理があると思うのですが……。

2004.12.06読了

黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.97 > BG、あるいは死せるカイニス