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招かれざる客たちのビュッフェ/C.ブランド

Buffet for Unwelcome Guests/C.Brand

1933年発表 深町眞理子 他訳 創元推理文庫(東京創元社)

 一部の作品のみ。

「事件のあとに」
 老刑事の解決は突拍子もないもので、どうなることかと思いました。その場限りであればともかく、その後もずっと入れ替わり続けるのはかなり無理があるでしょう。それに比べて、コックリル警部が解き明かした真相は妥当なものだと思います。ただ、座長と花形俳優とどちらが大事かと考えると……どうでしょうか?

「婚姻飛翔」
 まさか冒頭の“キャクストン氏が最後の牡蠣を丸呑みにしながら”(98頁)が伏線になっているとは……。また、“なんであれ、いちばん手軽なものですますしかなかったの”(102頁)というエリザベスの台詞も見逃せません。

「カップの中の毒」
 後から書き直された帳簿が犯人の手落ちでは……と思わせて、鮮やかな解決。“最後の一撃”に向けてすべてを収束させる手腕がお見事です。

「ジェミニー・クリケット事件」
 犯罪の要因として遺伝的なものを持ち出すのは間違っているでしょう。
 ところで、ジャイルズ青年とゲームをしていた老人は、彼の祖父なのでしょうか?

「スケープゴート」
 少年が新たなスケープゴートを立てることのないよう、真犯人を明らかにした方がよかったのでしょうか。非常に難しいところです。

「もう山査子摘みもおしまい」
 ヒッピーたちの小細工が裏目に出たわけですが、それがなかったとしても犯人に仕立て上げられていたのでしょうね。

「この家に祝福あれ」
 よくもまあ、こんな話を書けるものだと思います。神聖なものへと近づく過程から、一気に闇へと突き落とされる落差。この衝撃は、なかなか味わえるものではありません。
2001.08.01読了

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