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探偵を捜せ!/P.マガー

Catch Me If You Can/P.McGerr

1948年発表 井上一夫訳 創元推理文庫164-01(東京創元社)

 本書のような状況では、物語としての結末はかなり限られてくると思います。最初の段階では、“四人の中に探偵はいなかった”という可能性も考えられないではないのですが、チャーリーが死んだ後に車の点火栓の鍵が持ち去られていることから、残った三人の客の中に探偵が存在すると考えるのが妥当です。したがって、あとは探偵が勝つかマーゴットが勝つか、ということになると思ったのですが……。

 マーゴットの次の標的は、当然ながら次の探偵候補だと予想していたのですが、彼女の殺意がトムリンソンおばさんに向いたのは意外でした。しかし、マーゴットの味方であるトムリンソンおばさんが、同時に致命的な弱点となりかねないことは納得できますし、この殺人によってマーゴットの複雑な心理がより強く印象づけられていることは確かです。

 そして、マーゴットが結局は探偵を捜しあてることができないまま自滅し、命を落としてしまうという結末は、ある程度予想の範囲内ではあったのですが、首の骨が折れた状態でわずかに意識を残したまま、真の探偵であったシェルダンの口から、しかも何とも皮肉な説明を聞きながら逝ってしまうことになるとは思ってもみませんでした。この、これ以上ないほど強烈な印象を残す結末は、やはり見事というほかありません。

2003.07.03読了

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