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地球環/堀  晃

2000年発表 ハルキ文庫ほ1-1(角川春樹事務所)

 一部の作品のみ。

「最後の接触」
 大脳と筋肉系とが分離された後、上下2段に分かれてそれぞれ“私”・“おれ”という一人称で語られているのが印象的です。不幸な接触になってしまったのは、やはり近親憎悪の一種なのでしょうか。

「骨折星雲」
 折れ曲がった銀河面に挟まれた空間そのものをメモリーとして使用するという奇想には驚かされます。そして、そこで出会った存在に圧倒されながらも、新たな使命感、あるいは野望に燃えるマキタの姿が印象的です。

「宇宙猿の手」
 可能性を提供する代償として情報量の少ない宇宙へとシフトさせられてしまうというアイデアは、逆説的で面白いと思います。怪奇小説「猿の手」に描かれた“しっぺ返し”にこのアイデアを組み合わせたところが秀逸です。

「宇宙葬の夜」
 “検屍官”という名称に一種のトリックが仕掛けられています。星系の生死を判断するという任務のスケール、そして“フェッセンデンの宇宙”のイメージが強く印象に残ります。

2000.10.17読了

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