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魔術師が多すぎる/R.ギャレット

Too Many Magicians/R.Garret

1966年発表 皆藤幸蔵訳 ハヤカワ・ミステリ1150(早川書房)

 まず、被害者及び第一の容疑者(マスター・シーン)が共に魔術師であり、さらに現場には他にも多数の魔術師がいたということで、黒魔術による殺人という疑惑を持たせておきながら、実は殺人には魔術はまったく関係していなかったというのがうまいところだと思います。被害者が実際に死んだときの不可解な状況もこの疑惑を補強していますが、偶然とはいえ、その真相には十分な説得力があります。

 密室殺人のトリック自体はC.ディクスンのある作品(以下伏せ字)『ユダの窓』(ここまで)のバリエーションですが、こちらの作品の欠点((以下伏せ字)被害者を扉のそばに呼び寄せなければ、犯行が困難である点(ここまで))がうまく解決されています。しかも、魔術を使った捜査によって、室内には被害者以外誰もいなかったことが明らかにされているのはフェアですし、犯行手段を直接裏付ける“半円形の血痕”という手がかりもよくできています。

2000.08.05再読了

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