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七人のおば/P.マガー

The Seven Deadly Sisters/P.McGurr

1947年発表 大村美根子訳 創元推理文庫164-4(東京創元社)

 冒頭のヘレンからの手紙の中にある、“おばさまがご主人を毒殺したと告白されたという記述が絶妙です。ここに仕掛けられたトリックは、告白によって明らかになった事実は何なのかが曖昧にされていることです。実際には、毒殺事件が起きたこと自体が犯人の告白で初めて明るみに出たにもかかわらず、誰が犯人かということ以外(少なくとも被害者が亡くなったこと)は公然の事実だったようにも読めるのです。そのために、サリーは事件が最近起きたものだと思い込み、それに引きずられて読者も騙されることになってしまいます。

 それでも、“七人のおばたちのうち、誰が夫を殺したのか?”という犯人探しから、“七人の夫たちのうち、誰が殺されたのか?”という被害者探しへと方向転換できれば、夫たちの中で唯一姿を消しているバートの特異性が浮かび上がってくることになり、真相を見破りやすくなるはずなのですが、あまりにもおばたちのキャラが立っているために、被害者中心に考えるのが難しくなっている面があるのではないでしょうか。つまり、全編を通じておばたちが主役となっていること自体が、壮大なミスディレクションといえるのかもしれません。

2004.03.03読了

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