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蓬莱洞の研究/田中啓文

2002年発表 講談社ノベルス(講談社)
「蓬莱洞の研究」
 体重220キロ(!)の比夏留が40キロほどに見える体形をしているということは、密度が約5.5g/cm3(アルミニウムの倍以上)ということになってしまうのですが……。
 “法螺貝”と“竜”を“カタツムリ”でつなげた解決はよくできていると思います。洞窟内壁の材質といった伏線も一応ありますし。

「大南無阿弥洞の研究」
 思わず「そんなもの食うなよ!」(失礼)とツッコミを入れたくなる後半の展開には、まったく意表を突かれました。
 ところで、他のダジャレはともかく、“メガテリウム……目が『照』を生む……”(本文148頁)は無理でしょう。“メガテリウム”は日本語ではないのですから。

「黒洞の研究」
 わかってはいるのですが、やはり“ストッキング→崇徳院”には脱力を禁じ得ません。
 一方、カルヴィーノ氏の名前の使い方は秀逸です。“イタロ・カルヴィーノ”は少々なじみが薄いかもしれませんが、『柔かい月』『レ・コスミコミケ』などの著作がある幻想/SF方面の作家です。“カルヴィーノ”という名前が出てきた時点でここまでは予想できたのですが、それが“イタコのイタロ”へとつながったのには唖然としました。さらに“カルヴィーノ・河童絵・備前”に至っては、もはや何もいうことはありません。お見事。

2003.06.13読了

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