- 「邪馬台洞の研究」
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“〈独楽〉の奥義『地面から重いものを持ちあげる術』” (41頁)というフレーズがツボにはまってしまいました。
“ヨコシマな馬”もなかなかのものですが、“『君{ひみ}恋し』”には呆然。“山大黒”は素直にうまいと思いましたが。
- 「死霊洞の研究」
- 普通ならば“しりょうどう”と読むはずの“死霊洞”に、あえてルビをふらないことで、“シ・レ・ド”という真相を隠しているあたりは巧妙です。
“音霊”というアイデア(要はダジャレですが)も面白いと思いますが、さらに“蘇我氏”や“レガシー”が組み合わさって暗号になっているのが非常に面白いところです。しかし、“ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか……” (129頁)がわかるのは、やはり30代半ば以上に限られてしまうのでは……。まあ、“みんな悩んで大きくなった”ということで。
- 「人喰い洞の研究」
- “人喰い洞”と“人杭洞”はかなり反則気味ですが、“はそこんはたしまや”の真相はなかなか面白いと思います。序盤の比夏留の勘違い(174頁)が伏線なのはもちろんですが、所在を尋ねるメールに対する“洞”という返事(225頁)も、あるいは伏線かもしれません。つまり、“洞杭人”(人杭洞)という返事を送るはずが、“洞”だけ入力したところで送信してしまったのではないかと……考えすぎでしょうか。
ちなみに、一番笑ったのは“《独楽》gotta土壌” (236頁)でした(→「駒形どぜう」参照)が、“蕎麦が羽織を着て座っておりました” (252頁)もまた見事です(落語「蕎麦の羽織」(または「羽織の蕎麦」)が元ネタなのはいうまでもないでしょう)。
2005.03.21読了 |