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審判の日/P.アンダースン

After Doomsday/P. Anderson

1961年発表 砧 一郎訳 ハヤカワ・SF・シリーズ3076(早川書房)

 真相へとつながる手がかりは、ミサイル内部の隔壁に残されたメモですが、それは次のようなものでした。

ABCDEF
MNOPQMR
BA:NQ
ABIJ:MOQMP
 作中では、“ABCDEF”及び“MNOPQMR”(MNOPQRの間違いでしょう)が1から6までの数字を表していると推理され、12進法と6進法の間の換算表だと結論づけられています。つまり、4行目を10進法で表記すると、
“ABIJ” → “1,2,9,10” → 1*123+2*122+9*12+10*1=2134
“MOQMP” → “1,3,5,1,4” → 1*64+3*63+5*62+1*6+4*1=2134
となるわけですから、12進法で表された数字を6進法に換算していることになります。フォルラクは10進法を採用していて、6進法を使っているのはモンワイングです(本文77頁参照)。したがって、犯人はモンワイング人という結論になります。この手がかりはなかなか面白いと思います。

 ところが、実は3行目がおかしなことになっています。12進法の“BA”は25(2*12+1*1)ですが、6進法の“NQ”は17(2*6+5*1)になってしまいます。25を表すのは“PA”(4*6+1*1)でなければならないのですから、結果的には誤った手がかりということになります。ミステリの手がかりとしては、ややお粗末といわざるを得ないでしょう。

2002.10.10読了

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