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学ばない探偵たちの学園/東川篤哉

2004年発表 ジョイ・ノベルス(実業之日本社)

 第一の事件の密室トリックは、偶然だったということもあってそれほど感心しませんが、ツツジの植え込みで死体が弾き飛ばされるという現象の伏線はよくできています。そして、音楽教師の小松崎律子が残した“振り子”という言葉が、音楽教師ならではの“振り子”を意味していたという真相が非常に面白いと思います。

 第二の事件では、鍵がうまく寝室のスツールの上に載ったところは偶然とはいえ、ドアによるジェット風船の跳ね返りを利用したトリックがよくできています。不自然に開かれたドア(137頁の見取図参照)と笛吹きケトルの音は手がかりとして弱いようにも思えますが、これは仕方ないところでしょうか。

 ただ、第二の事件のトリック解明がまったく犯人の特定につながらないところは難点かと思います。もちろん、作中の展開のように第一の事件の方で特定はできるかもしれませんが、八ツ橋の解決と石崎の解決がバラバラで、結果的にせっかくの解決場面がぐだぐだになっているように感じられます。あるいはそれも作者の狙いなのかもしれませんが、個人的にはやや残念。

2005.12.05読了

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