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宇宙捜査艦《ギガンテス》/二階堂黎人

2002年発表 徳間デュアル文庫 に1-1(徳間書店)

 デデミ(元)司祭の証言があまりにも怪しすぎるので、犯人の見当をつけるのは困難ではないでしょう。しかし、設定をうまく生かしつつ、予想を裏切るローテクなトリックを持ってくるところは見事です。ちなみに、そのトリックの一部はI.アシモフの某作品((以下伏せ字)『はだかの太陽』(ここまで))へのオマージュのようにも思えます。

 ただ、ザルック人とザロンゲ人が“原ザルルン人”という同一の種族から分離したという設定には、かなり無理があると思います。細かい説明は省略しますが、“遺伝子操作で強化された血液のおかげ”(66頁)で、80℃と-60℃という極端に異なる環境を必要とする(例えばザロンゲ人は、低温にも耐えられるのではなく、低温でなければ生きられないということです)ようになるとは考えられません。トリックの都合もあるとは思いますが、もう少し何とかならなかったのでしょうか。

2003.10.10読了

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