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サム・ホーソーンの事件簿 IV/E.D.ホック

Diagnosis: Impossible 4/E.D.Hoch

2006年発表 木村二郎訳 創元推理文庫201-06(東京創元社)

 一部の作品のみ。

「二つの母斑の謎」
 ドアの構造がわかりにくいため、トリックを解明されても今ひとつピンとこないのが残念です。

「要塞と化した農家の謎」
 真相そのものもよくできていますが、それ以上に、犯人が不可能犯罪を演出した目的と、それに沿ったバカミス的なダミーの真相が印象的です。特殊な登場人物と不可能状況がうまく組み合わされた快作。

「呪われたティピーの謎」
 夾竹桃が有毒であることを知っていれば、真相は見え見えです。

「青い自転車の謎」
 シンプルなトリックですが、自転車の残されていた場所が秀逸です。

「田舎教会の謎」
 これも教会の構造がわかりにくいので、トリックの切れ味が今ひとつ。牧師の近視という伏線は面白いと思いましたが。

「グレンジ・ホールの謎」
 ズボンのポケット越しに注射するというのは面白いと思いますが、いくら被害者が黒人とはいえ、他の(以前の)注射痕を見逃すというのは、釈然としないものが残ります。

「消えたセールスマンの謎」
 消失トリックを可能にする避雷針という小道具が非常に秀逸です。

「革服の男の謎」
 “革服の男”が存在しないことになった理由が三つも用意されているところが見事です。三つ揃ったのは偶然とはいえ、やはりよくできた作品といえるでしょう。

「毒入りプールの謎」
 出現トリックと毒殺トリックとが緊密に結びついているところがよくできています。手がかりも秀逸です。

2006.01.29読了

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