〈サム・ホーソーン医師シリーズ〉エドワード・D・ホック |
『サム・ホーソーンの事件簿 I』 『サム・ホーソーンの事件簿 II』 『サム・ホーソーンの事件簿 III』 『サム・ホーソーンの事件簿 IV』 『サム・ホーソーンの事件簿 V』 『サム・ホーソーンの事件簿 VI』 |
シリーズ紹介 |
「昔はよかった、といつもいろいろ聞かされているだろう。わからないね。もちろん、医療状況はよくなかった。経験から言ってるんだよ。一九二二年、ニュー・イングランドの田舎医者として開業したんだ。大昔のようだろう? うん、ずいぶん大昔のことだよ! ……というわけでこのシリーズは、主役である老医師サム・ホーソーンが聞き手と一杯やりながら、若い頃に田舎町ノースモントで遭遇した事件について語っていくというものです。医学校を卒業したばかりのサム・ホーソーンはノースモントに診療所を開きましたが、自らが巻き込まれた「有蓋橋の謎」の事件を見事に解決したことで、町の人々、特にレンズ保安官に一目置かれるようになります。 基本的には毎回、聞き手に対する前振りで始まり、本題、そして次の事件の予告で締めくくられるというスタイルで、いい意味でのお決まりパターンといっていいでしょう(残念ながら、このパターンは途中で崩れるようですが)。田舎町を舞台にしているせいか、どこか牧歌的な雰囲気も漂っていて、酒の上でのほら話ではないかとも思わせられる部分もあります。また、1920年代以降のアメリカの風俗(典型的には禁酒法の影響など)が描かれている点も重要ですし、作中の時間が少しずつ進んでいくことで、町の人々に愛着がわいてくるという効果も見逃せません。 シリーズ全般において不可能犯罪が扱われていますが、短編であるせいか、比較的現象のすっきりしている消失事件が多いようです。作品数が増えてくるとどうしても限界があるのではないかと思いますが、そこは短編の名手ホックのこと、豊富なバリエーションで飽きさせません。安定したレベルのシリーズだといえるでしょう。 |
作品紹介 |
このシリーズは全72作の短編が発表され、日本では発表順に『サム・ホーソーンの事件簿 I』から『サム・ホーソーンの事件簿 VI』までの6冊(いずれも創元推理文庫)にまとめられています。 |
サム・ホーソーンの事件簿 I Diagnosis: Impossible エドワード・D・ホック | |
1996年発表 (木村二郎訳 創元推理文庫201-02) | ネタバレ感想 |
本書には、サム・ホーソーンものの最初の12篇と、非シリーズの短編「長い墜落」が収録されています。
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サム・ホーソーンの事件簿 II Diagnosis: Impossible 2 エドワード・D・ホック | |
2002年発表 (木村二郎訳 創元推理文庫201-04) | ネタバレ感想 |
本書には、サム・ホーソーンもの12篇と、レオポルド警部ものの「長方形の部屋」が収録されています。
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サム・ホーソーンの事件簿 III Diagnosis: Impossible 3 エドワード・D・ホック | |
2004年発表 (木村二郎訳 創元推理文庫201-05) | ネタバレ感想 |
本書には、サム・ホーソーンもの12篇と、非シリーズの「ナイルの猫」が収録されています。
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サム・ホーソーンの事件簿 IV Diagnosis: Impossible 4 エドワード・D・ホック | |
2006年発表 (木村二郎訳 創元推理文庫201-06) | ネタバレ感想 |
本書には、サム・ホーソーンもの12篇に加えて、「呪われたティピー」でサム・ホーソーンと共演している西部探偵ベン・スノウを主役とした「フロンティア・ストリート」が収録されています。
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サム・ホーソーンの事件簿 V Diagnosis: Impossible 5 エドワード・D・ホック | |
2007年発表 (木村二郎訳 創元推理文庫201-07) | ネタバレ感想 |
本書には、サム・ホーソーンもの12篇に加えて、レオポルド警部ものの「レオポルド警部の密室」が収録されています。
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サム・ホーソーンの事件簿 VI Diagnosis: Impossible 6 エドワード・D・ホック |
2009年発表 (木村二郎訳 創元推理文庫201-09) |
本書には、サム・ホーソーンものの最後の12篇が収録されており、恒例(?)となっていたボーナストラックはありません。作者E.D.ホックが亡くなったことによるシリーズ終了であり、特に“完結編”が用意されているわけではありませんが、ついにサム・ホーソーンが結婚するなど、期せずして区切りにふさわしい作品集になっているといえるかもしれません。
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