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緋友禅/北森 鴻

2003年発表 (文藝春秋)

「陶鬼」
 読み終えた後で「陶という題名を眺めてみると、露骨なヒントのようにも思えてしまいます。もちろん、これで真相に気づく人はいないのでしょうけれど。

「「永久{とわ}笑み」の少女」
 墓の中の雪景色という幻想的な情景が、単なる幻想ではなく現実の光景であり、しかもそれが手がかりとなってしまうところが見事です。

「緋友禅」
 かけはぎという手段はわりとすぐに思いつきそうな気がするのですが、それは素人考えなのでしょうか。緋色に混じった血液という真相も、早い段階で見えてしまったのですが……。

「奇縁円空」
 生涯に12万体にも上る仏像を作ったとされる円空。その正体が複数の人間による共同名義だったという仮説は、興味深いだけでなく十分な説得力を備えているように思います。
 ところで、円空複数説の原稿を実際に書いたのは、やはり蓮丈那智先生でしょうか。

2004.07.07読了

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