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見えない凶器/J.ロードInvisible Weapons/J.Rhode |
1938年発表 駒月雅子訳 世界探偵小説全集7(国書刊行会) |
題名からして気を持たせる“見えない凶器”の正体が、実はパチンコで飛ばされた角氷だったというのは、正直なところかなり拍子抜けです。しかしながら、冷蔵庫がそれほど普及していない時代であることから、凶器となった角氷のサイズをもとに容疑者を割り出す過程はなかなか面白く感じられます。古き良き時代の味を感じさせられるというべきでしょうか。 事件全体の構造は遠大な計画に基づくもので、なかなか面白いと思います。犯人にとってゴドフリー卿を殺害するのに邪魔になるフランシャム氏をまず殺しておき、しかも格好のスケープゴートとなるソーンバラ医師に罪をかぶせるという計画は、二人の被害者が隣同士に住んでいるという接点しかないため、本来は危険度の少ないものだと思います。しかもウィリントンという身代わりまで用意していたのですから。しかし、詰めが甘かったのが致命的でした。 2001.11.01読了 |
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