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殺しも鯖もMで始まる/浅暮三文

2002年発表 講談社ノベルス(講談社)

 ダイイングメッセージの謎は、まずまずといったところでしょうか。“ミソ”→“シン”があくまでもカタカナという範疇での変形にすぎないのに対して、“サバ”→“芯”の方はカタカナにしか見えなかったものが漢字だったという意外な真相で、先入観を覆す非常に鮮やかなものです。ただし、死に瀕した被害者が漢字の部首の組合せによって犯人を指し示すというのは、かなり無理があると思います。

 第一の事件の“土中密室”では、上からではなく下から掘り、内側から被害者にふさがせるという逆転の発想が印象的です(現実的には困難かもしれませんが)。また、犯行の形跡を隠すためという動機も納得できるものです。一方、第二の事件のロープの密室では、作者の趣味である釣りが存分に生かされています。いずれもなかなかユニークなものだと思います。

2003.01.04読了

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