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魔性の眼/ボアロー/ナルスジャック

Le Mauvais OEil/P.Boileau & T.Narcejac

1956年発表 秋山晴夫訳 ハヤカワ・ミステリ349(早川書房)
「魔性の眼」
 結局、“魔性の眼”というのはレミの単なる思い込みで、犬や叔父の死は偶然にすぎなかったようです。ボアロー/ナルスジャックならばラストで何か合理的な説明をつけてくるかと思いましたが。
 一方、母親の死の真相ゆえに、レミが記憶を取り戻すことを誰も喜ばなかったという点は印象的です。

「眠れる森にて」
 ネタ自体はこれしかないともいえますが、オーレリアンの手記という体裁をとっているために、彼の恐怖と動揺が非常によく伝わってきます。また、クレールが死んでしまった後で奇蹟(復活)を願うオーレリアンの行動、そしてその挫折が印象に残ります。
 それだけに、彼の手記に基づいて冷静に推理するエリアーヌのドライさが、やや鼻についてしまいましたが。

2001.03.05読了

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