ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい |
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト/作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.48 > 迷蝶の島 |
迷蝶の島/泡坂妻夫 |
1980年発表 文春文庫378-2(文芸春秋) |
作品の[紹介]にはかなり苦労しました。怪しげな書き方になっていますが、嘘はないと思います。本書を最後までお読みになった方はおわかりのように、最初の段落に書いた“二人”は達夫と百々子で、次の段落の“二人”は達夫と桃季子を指しています。
事件のそもそもの原因となった、名前の誤認による人物の取り違えは面白いと思いますが、不自然に感じられる部分もあります。文庫版24頁の自己紹介の場面がそれで、 達夫の手記については、非常によくできていると思います。特に、“殺したはずの桃季子の復活”という(達夫にとっての)幻想が描かれていることで、彼の錯乱という解釈が補強されているところが秀逸です。 そして、その手記に仕掛けられた桃季子のトリックも、非常にシンプルで見事です。ただ、9月3日から一人で漂流していたはずの達夫が15日になってようやく手記を書き始めたことに、捜査陣の誰も疑問を抱いていないのは不自然ではないでしょうか。 2002.11.27再読了 |
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト/作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.48 > 迷蝶の島 |