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ななつのこ/加納朋子

1992年発表 創元推理文庫426-01(東京創元社)

 一部のエピソードのみ。

「スイカジュースの涙」
 “佐伯綾乃”の手紙の中にある、“人間以外の生物の血だった”(49頁)という記述には疑問が残ります。人間の血と犬の血が、肉眼で区別できるとは思えません(フクロウを飼育しているので目にする機会のある(不快に思われる方のために一応伏せ字)マウスの血(ここまで)でさえ、まったく区別がつかないのですが……)

「白いタンポポ」
 実は私は九州某県の出身で、黄色いタンポポの存在は知ってはいるものの実物はほとんど見たことがなく、“タンポポ”といえば“白”というイメージが染みついてしまっています。そのため、初読時には“だけどあの子は、タンポポまで、真っ白にしてしまったのよ”(224頁)という台詞に思いきり困惑させられてしまいました。つまり、“何が謎なのか?”が謎だったのです。作者の意図とは別のところで騙されてしまったような、何だか不思議な感じです(それとも、これもまた狙い通りなのでしょうか?)。

2004.04.12再読了

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