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怪盗ニック対女怪盗サンドラ/E.D.ホック
The Thief vs. The White Queen/E.D.Hoch |
2004年発表 木村二郎訳 ハヤカワ文庫HM67-6(早川書房) |
『怪盗ニック全仕事4』に収録された「白の女王のメニューを盗め」・「図書館の本を盗め」・「紙細工の城を盗め」・「色褪せた国旗を盗め」については、そちらをご覧ください。 |
- 「レオポルド警部のバッジを盗め」
- よりによって泥棒同士がはち合わせしてしまったというのは、少々偶然がすぎるようにも思えます。が、“バールストン先攻法”のバリエーションともいえる逆転の構図は、やはりよくできています。
- 「禿げた男の櫛を盗め」
- ウィリーがトムの櫛を持ち歩いていた理由がよくわかりません。もちろん、殺人の直接の証拠となるものではありませんが、余計な疑惑を招くばかりでメリットは何もないように思えます。生前のトムと同じように、幸運のお守りにしていたというのでしょうか?
- 「蛇使いの籠を盗め」
- 南アフリカ(いうまでもなく、ダイアモンドの産出で有名です)絡みの事件であること自体が伏線となっているのが面白いところです。
- 「バースデイ・ケーキのロウソクを盗め」
- ケーキからロウソクを抜き取って、新しいロウソクを立てる――何の意味もなさそうに見える行為ですが、確かに本数が変わっていることが暗示されています。しかも、24本と25本では一見するとまったく違わないところが秀逸です。
- 「浴室の体重計を盗め」
- 盗みにつけられた条件を考えてみると、タイミングが重要であることは明らかです。新生児の足形を取る習慣は日本にはない(と思います)ので、真相を見抜くことは難しいと思いますが、体重計そのものが目当てではないところはやはりよくできています。
- 「ダブル・エレファントを盗め」
- フラッシュ・ペイパーに印刷された写真を使うサンドラの手口は「レオポルド警部のバッジを盗め」の使い回しに近い(さらにいえば「白の女王のメニューを盗め」にも)ものがありますし、麻薬をミスディレクションにした金品という真相は「蛇使いの籠を盗め」に通じます。複製画そのものではなく額縁の方に価値があるというのも、ありがちといわざるを得ません。
2004.07.20読了
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