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第四の扉/P.アルテ

La Quatrieme Porte/P.Halter

1987年発表 平岡 敦訳 ハヤカワ・ミステリ1716(早川書房)

 まず、ツイスト博士の登場には驚かされます。普通のミステリのつもりで読んでいたものが作中作(しかも解決のないミステリ)だったという趣向は、なかなか面白い試みといえるでしょう。しかもその作中作が現実の事件の再現であり、語り手(ジェイムズ)と思われた記述者(ロナルド)が犯人(ヘンリー)だったというひねりまくった真相には、脱帽せざるを得ません。密室殺人を扱ったトリック中心の作品かと思わせて、実はプロットで勝負するという、非常に凝った作品といえるでしょう。

 プロットが凝っている分、事件自体は意外にシンプルです。密室殺人の方は歌野晶午のある作品((以下伏せ字)『長い家の殺人』(ここまで))を思い起こさせる一発トリックですし、アーサーの死の原因が銃の暴発というのも、意表を突いてはいるもののやや拍子抜けの感は否めません。しかし、ドルー警部の誤った推理がヘンリーの犯行を誘発してしまったという真相は、何ともいえない皮肉を感じさせます。

2002.06.01読了

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