ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.119 > 牧師館の死

牧師館の死/J.マゴーン

Redemption/J.McGown

1988年発表 高橋なお子訳 創元推理文庫112-03(東京創元社)

 まず、当初の供述での3人の動きは以下の通り。

 ジョージジョアンナマリアン
7:00外出外出自宅
7:10パブパブ
7:50外出
8:25アンソニー夫人宅へ
9:10アンソニー夫人宅から退去
9:30帰宅村を回る
10:00帰宅
10:05帰宅

 これに対して、真相は以下の通り。

 ジョージジョアンナマリアン
7:00外出外出自宅
7:10パブパブ
7:50エルストウ殺害後、施錠して外出
8:00パブを出て帰宅 
8:05主治医のもとへエレナ宅へ
8:25アンソニー夫人宅へ
8:30パブを出てエレナ宅へ
8:45主治医と相談
9:10アンソニー夫人宅から退去
9:30帰宅村を回る
10:00帰宅
10:05帰宅

 これらを見比べると、マリアンには当初から本当の殺害時刻のアリバイがないことがわかります。にもかかわらず真相がわかりにくくなっているのは、7:50〜8:25の“逆アリバイ”(意図的なアリバイの欠如)と、焼いたドレスのトリックのせいで、なかなかよくできていると思います。

 真相が露見してしまったきっかけが、マリアンが守ろうとしたジョアンナの証言(8時すぎに帰宅した際にドアに鍵がかかっていた)だったというのが皮肉です。

2006.01.23読了

黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.119 > 牧師館の死