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リングワールド/L.ニーヴン

Ringworld/L.Niven

1970年発表 小隅 黎訳 ハヤカワ文庫SF616(早川書房)

 ティーラ・ブラウンが“幸運の遺伝子”を持っていることは、物語の序盤で示唆されています。そして本書は、その示唆された“真相”が正しいことを証明し、併せてその幸運がどのように作用するかを明らかにしていく物語ですから、ある種の倒叙ミステリのような形になっているといってもいいかもしれません。

 しかし、(ティーラにとっての)幸運とはどのような状態なのか、はっきりと見極めることは難しいと思いますし、〈探す人{シーカー}〉に出会うために旅してきたというルイスの推測も正しいとは限らないでしょう。しかしいずれにせよ、“ティーラの幸運”のために、物語がいわばRPGにおける経験値稼ぎのクエストのようになってしまっているところは少々残念です。

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 物語前半の、パペッティア人の惑星船団という秘密には驚かされます。が、このような状態であれば当然惑星間に働く潮汐力を考慮しなければならないはずで、「中性子星」『中性子星』収録)の結末とは矛盾しているように思われます。もっとも「中性子星」の方では、(以下伏せ字)ゼネラル・プロダクツ社のウィ・メイド・イット支社長は、母星の秘密を守るためにあえて潮汐力のことを知らないふりをした(ここまで)という解釈もできるかもしれません。

 それにしても、パペッティア人が人類やクジン人に対してしたことを考えると、“パペッティア(人形使い)”という名前がどこか空恐ろしく思えてきます。とはいえ、それでもノウンスペースに欠かせない魅力的な存在であることは間違いないのですが。

2006.08.24再読了

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